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今回紹介いたしますのはこちら。

「異世界ヤンキー八王子」第1巻 奥嶋ひろまさ先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


奥嶋先生は猿渡哲也先生のアシスタントを務めたのち、07年にデビューした漫画家さんです。
デビュー後、様々な雑誌で様々なジャンルに挑戦し、現在もなんと「アシスタントアサシン」など、四作品を連載中という八面六臂の活躍をされております。

そんな奥嶋先生作品と言えば、ヤンキー要素やバイオレンス要素が切っても切れない関係となっております。
本作はそんな奥嶋先生二大要素の一つ(?)ヤンキーが主役になっている作品です。
ですがそのタイトル通り、異世界転生ものなのですが……?



八王子覇権工業高校一年、機械科の星野は辟易しておりました。
今日星野は、覇権高校の番長格を一撃KO。
それをみて慌てて一斉に襲い掛かって来たその手下たちも、眼鏡の参謀的ポジションである電機・情報技術科の藤澤、ママ大好きで手先が器用なインテリアデザイン科の堀井、かつてはケンカばかりしていたライバルだったものの今は仲間の土木科の加藤、という親友の三人組とともに蹴散らしてしまいました。
4人は星野が見事番長になった事を祝し、花火を買い込んみ、誰もいない学校の屋上に忍び込んで花火パーティーとしゃれこむのです。
……が、番長になった本人である星野はうかない顔。
燃え尽き症候群だ、というのです。
不良に憧れた子供のころからの夢であった、覇権工業の頭になる、という夢をあっさり叶えてしまい、生きる目標を失った、とのこと。
藤澤は、だったら格闘家にでもなればいいと言うのですが……それができれば苦労はしません。
藤澤の家は親の経営する小さな工場。
卒業したらその工場を継がなければならず、工業高校に通っているのもそもそもその為なのです。
星野が自由でいられるのは、高校を卒業するまで。
だと言うのに、名のある不良達は噂が独り歩きしているだけで皆星野にとって雑魚同然の者ばかりでした。
覇権工業の番長だった「不死身の直哉」の他、「浜の狂犬」「暴れる猛牛」「キレた獅子丸」……立派なキャッチコピーのついた不良達は皆名前負けも良いところだったのです。
前番町の弟の水産高校とか、立川デスペラードとかは骨のあるやつかもしれないぞ、と藤澤はまだ見ぬ強豪……かもしれない者達の名前をあげてみますが、もう確信の無い噂ではテンションも上がりません。
俺のこの有り余ったエネルギーをどこにぶつければいい?
俺を燃えさせてくれる相手は一体どこにいるんだよ!!
星野がそう叫んだ瞬間のことでした。
ドン、と凄まじい衝撃が襲ってきたのは!!
一同を、いや学校全体を揺るがすようなすさまじいその衝撃は……大地震でしょうか!?
あまりの激しい揺れに、一同は立っていることもできず、地面に伏せて自身が止むのを待つしかないのでした。

しばらくたつと揺れは収まります。
すぐに堀井はお母さんが無事か連絡しなきゃと電話を取るものの……なぜか電話が通じません。
そして藤澤が周囲の様子を見ようとフェンス際まで歩いて行ったのですが……そこで、驚くべきものを目撃するのです!!
それは
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今まで街中にあった学校の屋上からは見えるはずのない、広大な森!!!
夢でも見てるのかと一同はお互いの顔を叩きあったりして見るのですが、もちろん覚めるはずもなく……
とにかく一同は様子を見るために屋上から降りて行くのですが、一同はそのせいで、ここがどこなのか知るための手がかりとなるそれを観ることができませんでした。
屋上に降り立った一匹の鳥が、ドラゴン、としか形容できない生物に食われてしまったことを!!

いざ外に出てみますと、どうにも言いようがないほど「森」でした。
八王子にこんな森があるはずがありません。
きょろきょろと周りを見回しておりますと、一同の下に女の子が悲鳴を上げながら走ってきました。
彼女は一同を見ますと、「魔物」に襲われているんです、助けてください、と駆け寄ってきました。
ナマモノ?と聞き間違えてきょとんとする星野ですが、すぐにその答えがわかることとなります。
少女を追いかけるようにして、
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髑髏の様な顔のついた「樹」が、歩いてやって来たのですから!!
そしてその樹は、出会いがしらに星野を枝で思い切り殴りつけてきます。
一発でダウンしてしまう星野……
戸惑う一同ですが、このまま黙ってみていても仕方ありません。
死ぬときは一緒だ!と藤澤が音頭をとってみんなで一斉に魔物に勝負を挑もうとするのですが……
加藤は女の子を守らなきゃいけない、と少女を抱き寄せ、堀井はいまだお母さんに連絡しようと電話に夢中……
藤澤は、それが星野が一発でやられたことに怖気づいての行動だと見抜き、あきれ果てるのですが……
そこで、星野が起き上がります。
木刀で袋叩きにされたときに比べりゃ余裕だぜ、と心強い台詞付きで!!
そして星野は、その魔物「人喰い人面樹」とのバトルを開始します!!
振り回される枝の攻撃を巧みに避け、まともにくらえば三日は飯が食えないと言われるボディブローを放つ星野!!
手応えは……ありません!!
結局樹を殴っているわけですから、生身のパンチでは早々ダメージが与えられないのです!!
なんとか攻撃をかわして粘る星野ですが、このままでは時間の問題。
一同はそんな星野の様子を妙に冷静に眺めながら、学校の授業は役に立たないな、魔物の倒しかたなんて教えてもらえねぇもんな、などと益体もない話をしています。
……が、そこで堀井ははたと気づきます。
星野に少し待っていてと声をかけ、学校の中に向かって走る堀井!
しばらくたって戻ってきた堀井は、学校からとってきたものを星野に渡しました!!
それは……チェーンソーです!!
少女はそれを見て、県の芳賀動いてるなんてすごい、アレが伝説の武器のエクスカリバーなの!?と驚いております。
で、星野はと言いますと、チェーンソーをもってご機嫌です!!
早速人喰い人面樹の枝を掃ってひるませますと、ここで工業高校生の本領を発揮!!
まず人面樹の左側面に受け口を作り、すかさず逆サイドの右側に追い口を刻み込み……
いいケンカだったぜ。
そう言って追い口側を切り飛ばし、
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人喰い人面樹を見事撃破するのでした!!
その後少女の話を聞くと、これは所謂「異世界漫画」みたいなやつではないか、と気が付く一同。
異世界漫画では付き物の「言い伝え」的なものも完備しておりまして、「世界が闇に包まれたとき、闇より黒き衣をまとい私勇者が現れる」と言われているのだとか。
一同は学ランを着ているため、確かに黒い衣は来ているのですが……
だからと言って、4人は単なるヤンキーです。
彼ら自身、異世界で魔物を相手に戦う力があるとは到底思えないわけで、出来ることなら帰りたいのですが……少女の、この世を支配している魔王がいる、その魔王は世界を滅ぼす力を持っていて、優者しか倒せない、という言葉を聞いて……
星野が、高ぶり始めました。
彼が求める強敵は、自分たちの世界にはいませんでした。
自分の強敵は……異世界にいた!!
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俺が魔王を倒して、この世界のてっぺんを取る!!
……まあ魔王を倒せば元の世界に帰れるかもしれませんし、異世界で冒険、というのはやっぱり少年心がくすぐられます。
異世界ヤンキーの実力、見せてやろうぜ!!
四人は完全にノリだけで、魔王討伐を決意してしまうのでした!!



と言うわけで、異世界転生×ヤンキー×工業高校と言う、未知過ぎる組み合わせの物語が幕を開ける本作。
なるほど工業高校生が学校ごと転移してきたとなれば、道具もあるし使い方もわかると言うわけです!
しかも異世界転生ものにありがちな、そんなつもりじゃなかったのに系主人公ではなく、キャラクターたちそれぞれがやる気満々なのもまた面白いところです。
工業高校の知識をフル活用し、ついでにヤンキーものには付き物の根性やら、タイマンはったらダチじゃ形式も盛り込んだ、まさしく本作ならではの物語展開となるのです!!
この第1巻からその独特な異世界無双が楽しめるわけですが、、個人的に興味深かったのは「勇者の剣」の入手方法です。
選ばれ私有車でしか抜けないと言うその剣、一同は当然と言いますか、意外にと言いますか、とにかく剣を抜くことはできませんでした。
ですが、工業高校生だからこそしていた準備によって、かなり反則的な感じで勇者の剣をゲットするのです!!
何となく予想がついている方もおられるでしょうが……その優者の剣入手方法はぜひとも皆様の目でご確認ください!!

さらに第1巻からかなり意外性のある新キャラクターも登場!
ついでに「八王子」と言う地名も物語の鍵になるなど、様々な要素が盛り込まれております。
次々に興味深い展開が連続する本作、今度はどう来るのかと読み手をわくわくさせてくれること間違いなしですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!