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今回紹介いたしますのはこちら。

「マイホームヒーロー」第11巻 原作・山川直輝先生 漫画・朝基まさし先生 

講談社さんのヤンマガKCより刊行です。


さて、覚悟を決めた哲雄は、出来る限り家族に迷惑を掛けないようにするため、歌仙の実家の村へ零花と共に向かいました。
その道中で、哲雄は零花に、歌仙との馴れ初めを話すことになったのですが……



長い長い話が終わりました。
最終的に哲雄と歌仙の結婚は実家に認められたわけで、こうして今零花が生まれているわけですが……
聞けば聞くほど、当事者ではなかった零花には信じ難い話です。
ですが、本当の話だとすれば、歌仙の実家は相当危険な家でしょう。
今まで二人の和解の頃の話を一度も聞いたことの無い零花からすれば、寝耳に水もいいところです。
実際、それくらい現実離れした話だからこそ哲雄もどう話していいかわからなかったのですが。
とはいえ、これだけの話を聞けば零花も歌仙が実家に戻った意味もわかります。
二人の結婚を認めてもらう代わりに交わした契約をどうにかしてもらう交渉にいったのです。
そうこうしている間に、夜が明けていました。
哲雄は午後になったら、警察に出頭しなければなりません。
それまでに、零花を歌仙に預けたいところですが、だからと言って歌仙御村に置いて行くのはあまりにも危険です。
やはり全てを知ってしまった安元に保護してもらうのが、今できるなかではベストの選択だと哲雄は考えました。
ですが……それをするには、どうしても避けては通れない問題があります。
それは……零花にすべてを明かすこと。
この物語の始まりである、殺しの告白をしなければならないのです。
まず絶対に避けて通れないのが、麻取殺し。
安元に自分が人殺しであることを突き止められたのがこの事件ですから、ここに関しては絶対に隠し通すことはできません。
そして、最大の問題が延人殺し。
事情があったとはいえ、零花の彼氏を殺した、ということは間違いないのです。
その告白をすればおそらく、哲雄と零花の「親子関係」を続けることはできないでしょう。
そう考えると、哲雄のからだ中からとめどなく油汗がにじみ、したたり落ちてしまい……
言わなくて済むのなら言いたくはありません。
ですが、麻取殺しで捕まった後に報道などで知られでもすれば、自分からしっかりと全てを説明できないだけに、今打ち明けるよりもさらにひどい結末になってしまうでしょう。
信、金井、恭一。
今までの全ての事件は繋がっていた事、ばれないと考えるのは難しいでしょう。
麻取の件で逮捕され、もう二度と零花と会うことはできなくなってしまうかもしれない……
全てを話すしかないでしょう。
……ですが、いざ打ち明けようとすると、どうしても口が回りません。
一か月前、零花の部屋に……
そこまでは何とか、絞り出せました。
ですがその後です。
その後に続けなければならない、
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「君の彼氏を殺した」。
文字にすれば、わずかな一言……どうしてもそれが、口から出てこないのです。
脳が、身体が、音にすることを拒否している……
まさか哲雄がそんなことを打ち明けようとしているなど夢にも思わない零花、何を話そうとしてるのか知らないけど、運動以外でそんな汗かいてる人初めて見たんだけど、と軽めに入った後、ほんの冗談のつもりでこう続けます。
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延人殺しでもした?
……まさか、零花の方からその言葉が出てくるとは。
哲雄は虚を突かれた形になり、一層言葉に詰まってしまう哲雄。
ですがこれは、逆にチャンスかもしれません。
ここで否定すれば尚更打ち明けづらくなりますし、「そうなんだ」と肯定するだけで決定的なワードは言わなくてよくなるのですから。
そんなわけないでしょ、何言われても驚かないから、普通に言っていいよ、と零花は催促してくるのですが……やはり、そう簡単には割り切れません。
ちょっとどういうかまとめる、とラジオのスイッチを入れますと、ちょうど曲がかかっているところでして。
この曲が終わったら言う!と心に決めた哲雄。
局が終わり……今度こそ、ハッキリきっぱり、とはいきませんが……「そうなんだ」とだけ、言うことができました。
ですが一度話がぶつ切りになっただけに、なにがそうなのか零花にはピンと来ていません。
やはりきちんと説明しなければならないのでしょうか……?
と、その時のことです。
局が終わった後、ラジオからニュースが流れてきたのは。
そのニュースは……安元が殺されたこと、そしてその相棒である薬師寺が安元殺害に関与したとして逮捕された事を知らせるニュースでした。
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安元が、殺された。
そして薬師寺が半グレと繋がっていた。
それを知った哲雄は、絶望し……そして、すぐさま次のことを考え始めました。
安元がいなくなったということは、自分が歌仙と離婚して縁を切り、その上で安元に後をお願いして出頭すれば、家族の安全だけは保証される、というルートはなくなります。
さらにほかの警察に頼りたくとも、薬師寺のように誰が半グレと繋がっているかもわからない……
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だれも信用できない。
まだ、掴まるわけにはいかない。
悲壮な決意を再び固める哲雄。
彼の戦いは、まだ終わることはできないようです……!!



と言うわけで、いよいよ大詰めに近づいてきた感のある本作。
安元がいなくなった事、そして哲雄が歌仙の実家に向かう事、半グレが哲雄を狙う事。
それらの思惑はおそらく、歌仙の村で重なり合うのではないでしょうか。
歌仙の村のおぞましさは、今巻の大半を占める、哲雄と歌仙の過去の物語で描かれておりますので、そちらは皆様の目で確認してほしいところですが……
とにかくその歌仙の村は、常識では許されないおぞましさと汚さが蔓延っているのです。
哲雄の一家が幸せに暮らすには、その村との契約をしっかりと処理しなければなりません。
ですがそう簡単に片付くような簡単なものではなく……
さらに、哲雄が犯人であることに気が付いた半グレの方も黙ってはいないはず。
哲雄を消さない事には、彼らのメンツが立ちません。
哲雄たち一家、歌仙の村の人々、半グレの面々。
それらがどう重なり合っていくのか、どう決着がつけられるのか?
ますます予想もつかない物語となっていく本作、これから先はさらに目が離せない展開になることでしょう!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!