am0
今回紹介いたしますのはこちら。

「アミグダラ」第1巻 永田一由先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


永田先生は08年にちばてつや賞の純優秀新人賞を受賞し、デビューした漫画家さんです。
その後ゲーム会社さんに勤務したり、古泉智浩先生のアシスタントを務めたりしながら、読み切りの発表や、ウェブコミック雑誌で連載。
連載していたウェブ雑誌はなくなってしまいましたが、そちらの連載作「物男」は好評だったようで単行本が3巻まで刊行されました。

そんな永田先生の最新作となる本作は、不穏な出来事が連続するサスペンス物。
ですが単純な殺人事件と言った作品ではないようで……?



末崎町。
特に何も見るべきところのない片田舎のこの街に住む19歳の少年、住野は憤懣やるかたない思いを抱いていました。
田舎らしいと言いますか、自然を生かしたと言いますか……整備されているサイクルロード。
そこを何人かの集団が自転車で楽し気に走っていたのです。
そのうちの二人が少し休憩しようと自転車を降りて周りの景色を楽しみながら雑談をしていました。
その会話の内容によれば、彼らは東京からここまで自転車をこぎにやって来たとのことで。
わざわざちゃりこぎに東京からくるなんてアホじゃないか、と住野は苛立っていたのです。
ですがその自転車がなかなか高級なブランドものであることを見定めると……
背負っていたリュックから、組み立て式のボルトクリッパーを取り出したではないですか!
そして休憩に行った二人の目を盗んで自転車を繋いでいたチェーンを切断!!
am1
あっという間にその自転車に乗って走り去ってしまうのでした!!

ついにやったぞ、都会のヤツら調子に乗りやがって!
そう叫びながら自転車を走らせるのですが、そのしてやったりという気分もすぐにすっと落ち着いていってしまうのです。
それは……何よりも嫌いな、この街……末崎町に戻ってきてしまったから。
今までの町民のいないサイクルロードとは違い、戻ってきたここには……
早速住野に声をかけてくる男がいました。
丸藤と言う強面の男で、住野を強引に商工会の寄り合いに参加させようとしてきます。
未成年の住野に酒をすすめると言う横暴さを見せつける丸藤、そのシャツの隙間から……入れ墨もちらりと見えていまして。
誘いに乗ってこない住野に対し、お前は家でパソコンばかりやってるらしいけど、「人との繋がり」が一番大事なんだ、とにらみつけてくるのです。
何とか角を立てずに断ろうとする住野ですが、その寄合に「かすみ」がいると聞くと態度を一変させるのです。
かすみはこの街一番の美少女と言われたこともある女性。
住野とは同級生で、アイドルを目指して東京に行った……はずでした。
学生時代には仲良くしていたかすみ、戻ってきていると言うことはつまりアイドルを諦めたと言う事なのでしょう。
残念な限りですが、かすみが帰って来てくれたことは正直嬉しい住野。
残念だったな、とは言うものの、ついつい笑顔になってしまうのでした。
二人が話している間も、寄り合いに出ている者達はかすみに声をかけ、カラオケで歌を謳えとひっきりなしに要求してきます。
歌わなければ、自分はこの町のアイドルでいいんだ。
かすみはそう寂しそうに言うのです。
が、歌いに行く前にこう言い残していきました。
東京で珍しい人に会った。
am2
あんたのお父さん。

……住野がこの町で苛立ちを抱えながら過ごしている原因の一つに、その父親の存在がありました。
父親が姿を消して一年。
彼は丸藤の組から大金を借りたまま行方不明になってしまっているのです。
丸藤にはその借金はお前が返すんだと睨み付けられ、逃げられると思うなよと脅されています。
そして今目の前では、カラオケを歌わされているかすみがセクハラを受けている……
住野は心の底からうんざりしています。
やくざや不動産屋、公務員に土建屋、よくわからない組合……汚い大人たちが利権を貪り、好き放題。
この町はまるで汚い金魚鉢。
誰も綺麗にしないから汚れて行くだけ。
おい面が金魚だったら、自分は金魚のフンか、それを食べるプランクトンか?
あいつらに搾り取られて一生金魚鉢から出られず死んでいくのか。
たまらず寄り合いから逃げ出してしまった住野の脳裏には、父親のことが思い浮かびます。
何で急にいなくなってしまったのか。
本当に東京にいるのか?
そんなことを考えながら自転車を飛ばしていますと……
そこに、一人の男が現れるのです。
それは、
am3
全身を拘束された奇妙な男でした。
どっかから逃げてきたのか、あの映画の博士か、などと話しかけてみても男からの返答はありません。
住野はやむなく、背中からお得意のボルトクリッパーを取り出し、男の拘束愚を切断してあげるのです。
何も言わず住野を見つめ続ける男。
住野は彼の封印を解くと……あとは知らない、と別れの言葉を残してその場を去って行くのでした。

夜も更けてきますと、寄り合いもようやく落ち着いてきたようです。
男たちはかすみを都合のいいおもちゃのように思っているのでしょうが、夫人方はと言いますと……
アッチの方だけ一人前になっている、と疎んでいるようです。
ちょうどそこに通りがかったかすみに、男としゃべってばかりいないで片づけを手伝え、と声をかけるのですが……
かすみはちょっと待って、と要求を無視。
調理場にあった包丁を手に取ると、何の迷いもなく踵を返し、
am4
男たちがまだ飲み続けている会場へ向かって……
自分にセクハラをしてきたおっさんのお腹に突きたてるではありませんか!!
そして、かすみは寄り合いに来ていた男たちの何人かにも凶刃を振るい……その場から逃げ出していったのでした……



と言うわけで、静かに、そして衝撃的に幕を開けた本作。
鍵となるのは住野、住野の父親と……この後その存在が明らかにされるのですが、末崎町の経済を潤す巨大な施設、「オンカロ」にあります。
そして巷では突如として、凶悪な事件が連続して巻き起こって行くのです。
その凶悪事件を追う刑事たちも物語に関わり始め、物語は本格的に幕を開けることに。
「オンカロ」とは何なのか?
とんでもない事件を引き起こしてしまったかすみはどうなるのか?
住野の父親はどこで何をしているのか?
住野の抱えたもやもやの行方は?
住野の前に現れた謎の男は……?
数々の謎が膨れ上がっていく本作、読み進めれば読み進めるほど手の施しようのなくなっていく引き返せなさ、そして深い深い闇が増していきます。
これからどうなっていくのか、全く先は読めないのですが……少なくとも、みんなが幸せになるハッピーエンドはやってこなさそうです。
先を読むのが楽しみであり、恐ろしい。
そんな本作の今後が気になるところです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!