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今回紹介いたしますのはこちら。

「竜女戦記」第1巻 都留泰作先生 

平凡社さんより刊行です。


さて、その圧倒的すぎる個性で読むものを惹きつけた「ムシヌユン」を完結させた都留先生。
そんな都留先生の最新作となる本作は、なんと日本によく似た風習や人々の住む架空の国を舞台にした時代物!
果たしてその内容はと言いますと……?



「三蛇」と呼ばれる三人の王が跋扈する国、陀国。
これはその国に住む少女、たかの物語です。
たか、九歳の時の事。
ばあやとともにのをかけて遊んでおりますと、川を挟んだ街道を大行列が歩いているさまが見えます。
ばあやによれば、この土地、氷向の国を治めている結堂家のご本家が入国している、とのことです。
ずっとその行列を見守っていたたかですが……
その行列の中に、たかの父上がいるのを見つけ出しました。
おーい!と声をかけるたかですが、行列まではかなりの距離がありまして。
父上に聞こえるはずはないのですが……たかにはしっかり見えたのです。
父上が片目を閉じて、たかに合図してくれたのを!
嬉しさに笑顔になるたかなのですが、ばあやはその後に控えるあるものに気を取られているようです。
それは、結堂家が滅ぼししてきたと言う数々の大名たちの兜。
……正直そちらには欠片も興味が持てない様子のたかは、つまらなそうにそれを見つめていたのですが、そのすぐ後に出てきた、物凄く仰々しい赤井兜をかぶった武士には驚いたようです!
それは結堂家を興した大勘兵衛さま……の、兜。
実際に鎧兜を身にまとっているのは、ご子息の盛信さま。
勘兵衛さまは老齢で、もう鎧兜をつける体力はないそうで。
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盛信さまの後についている、頭巾に羽織の老人こそが勘兵衛なのです。
二天様とまで謳われたほど、武勇で名を馳せた勘兵衛ですが、こうしてみる分にはその勇猛さなど欠片も感じられず……
ふーん、と何の感情もなくそれを聞いていたたかなのですが……
この二十年後、あの勘兵衛によってたかの人生は大きく大きく揺るがされることになるのですが、もちろんそんなことなどこの頃のたかは夢にも思わないのでした。

たかは三十路の入り口あたりまでを氷向で暮らしました。
与一郎と言う武士と結婚し、三人の子をもうけてそれなりの幸せを謳歌していたのですが、それは突然破られることになります。
隣国、氷庫の超大名・白蛇家の三男、ぬたうなぎ公が氷向に突如進行!!
瞬く間に氷向を手中にしてしまったのです!
ぬたうなぎは氷向の城をあっという間に占拠して立て籠もると、城に戻る間もなかった氷向の武士たちの下に当主の弟の首を投げ入れました。
これはおそらく、当主やほかの家族たちはまだ生かされていて、言うことを聞かなければ殺すぞと言うメッセージでしょう。
部下たちは何もできず、いったんそれぞれの領村に戻って、チャンスをうかがいながら、兵をまとめて待機することになったのですが……

その待機命令を受け、慌てて両村に戻ったたかの夫、与一郎。
ですがもう時すでに遅し、ぬたうなぎ公の部下たちがたかの屋敷に押し寄せていました。
その部下は……当主の命が惜しければ、ぬたうなぎ公に忠誠を誓い、その忠誠の証に妻子を差し出せ、というのです!
勿論そんな要求など受け入れられるはずがありません。
既に妙な気配を感じ取っていたたかの父は、たかとその子供たちに逃げるように指示していました。
残った自分は、
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敢えてぬたうなぎ公の部下の神経を逆なでするようなことをして怒りを買い、その身を犠牲にして時間を稼いで……

氷向の国は地獄へと変わりました。
農民に評判の悪かった現当主に不満を持っていた農民たちの反乱も巻き起こり、国中に虐殺と略奪を蔓延。
たかは三人の子供を連れ、息をひそめて国を逃れようとしたものの……
そこに、ぬたうなぎの部下が現れてしまうのです!!
絶体絶命、と思われたその時!!
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与一郎が駆けつけ、たかたちを救いだしてくれたのでした!!

再会を喜ぶ与一郎とたかですが、それどころではありません。
チャンスが車で待てと言われたものの、これではもうどうにもならないでしょう。
結堂家はもう終わり、今は逃げるしかない。
与一郎はそう考え、家族を連れて都へと向かうのでした。

たかは気丈な女性です。
父の死にざまも、戦場で敵の手にかかって命を落とすのは部門の誉れだ、と言って涙一つ見せないのです。
が、与一郎は武家の男としては珍しく、気の優しく情に厚い男。
可愛そうなものはかわいそうだ、何も悪いことではない。
他にどうしようもない時は、親しいものの憐れみと悲しみしか残らない。
それでいいのではないか?
そう言って、たかに感情を表に出すことを許すのです。
気の強く、どんな時でも涙を見せない。
そんな印象さえあるたかですが……
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与一郎にはいつも泣き虫にされてしまうのでした。

その後いくつもの山を越え、国境を越え、厳しい環境の中も様々な人々に助けられ……
5人は無事に都にたどり着くことができました。
花咲く「桜都」。
ここでたかは、激動の運命を歩むことになるのです。
……一介の主婦であるたかが……天下を取る、という、あまりに数奇な運命を!!



と言うわけで、架空の国が舞台ながら、架空戦記にも近い、本格的な時代漫画となっている本作。
ここまでは架空の国が舞台ながら、戦国時代ならば本当の日本でもありそうなリアルさのあるお話になっております。
が、桜都についてから徐々にその様子が変わっていくのです。
環境が変わり、徐々に精神的に追い詰められていってしまう与一郎。
生活も貧しくなっていき、彼の焦燥感は日に日に増していきます。
たかはそんな中でも気丈にふるまうものの、与一郎に限界が近づいていることに気が付くと、その身を呈して生活を改善しようとするのです。
……そう、身を呈してでも!!
そんな辛い生活が続く中で、奇妙なことが起き始めます。
……天下を取れ、と囁く、奇妙なものが、夢枕に建つ、という……
繰り返される夢枕のささやき。
消耗していくたか一家。
そして、変化していく桜都の情勢。
様々な激動の中、たか一家にとんでもない出来事が……!!
この第1巻は、いわば壮大な序章。
第1巻、その最後に驚くべき出来事が巻き起こり……おそらく第2巻からが本番なのでしょう!!
読めば引き込まれる都留先生ワールド、是非ともその目でご堪能ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!