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今回紹介いたしますのはこちら。

「少女漫画主人公×ライバルさん」第1巻 くゥ先生 

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスJOKERより刊行です。


くゥ先生はどうやら本作が商業デビューとなる漫画家さんのようです。
19年に本作の下となるショートコミックをSNS上で発信し、大きな反響を獲得。
その人気を受け、単行本化+ガンガンJOKERでの連載化、となりました。

そんな本作はタイトル通り、少女漫画の主人公然とした女の子と、いかにもそのライバルキャラと言った感じの女の子の日常を描いていく作品。
最近の流行りの一つに、そう言ったお決まりの関係性を崩していくコメディ作品がありますが、本作はそう言った類の作品でして……



木村ほのかは、高校一年生。
自分自身を地味で目立たない存在だと評価している彼女ですが、密かに恋心を抱いていたりもします。
となりのクラスの、水嶋蒼くんです。
誰からも好かれる皆の人気者で、さわやかな笑顔が似合うイケメンの彼、自分には手の届かない存在だ、と思ってはいたものの……それでもあきらめきれずにいます。
皆とあいさつを交わしながら、ほのかに近付いてくる水嶋。
今日こそ挨拶できるかな、と胸を高鳴らせながらタイミングをうかがっておりますと……
水嶋は不意に手を挙げ、おはようと挨拶をしたのです。
ですがそれはほのかにではなく、水嶋と同じクラスの女子、檜山由莉奈に、です。
彼女は学校イチの美人とも噂されるほどの美貌を持っているうえ、成績も優秀な女の子。
水嶋とばっちりお似合いなうえ、幼馴染だそうで……もう二人は付き合っているんじゃないか、という噂までたっています。
ほのかからみても、二人はお似合い。
複雑な胸の内を隠しながら、そっと二人の後ろ姿を見送るのですが……
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不意に由莉奈が後ろを振り返り、ほのかに鋭い視線を送るではありませんか!
その後彼女は何も言わぬまま、水嶋と一緒に教室に向かうのです。

実はこう言ったこと、一度や二度ではありません。
廊下ですれ違うたびに睨まれたり、水嶋に話しかけようとするたびに間に割って入るように現れたり。
由莉奈もきっと、水嶋のことが好きなんだろう。
同じように水嶋が好きな自分が目障りで、嫌っているんだろう。
そう考えれば考えるほど、ほのかは自分なんかでは由莉奈にかなうはずがない、と気分が落ち込んでいってしまうのでした。

ですがほのかの友人はそんな状況をプラスに捕らえているようです。
それは絶対、ほのかが水嶋くんからよく思われてるってことだよ!
檜山さんと言えばいつも堂々としてて、何事も余裕な表情でこなしていく人じゃない?
そんな檜山さんが水嶋くんに言い寄るたくさんの女子の中で、ほのかだけを敵視してるんだよ。
つまりほのかは檜山さんにとって警戒するに値する存在!
ライバルってことなんだよ!
予想外の角度から、一気に自分が由莉奈の対抗馬に持ち上げられたほのか!
おこがましすぎるよ、ありえないよ、と戸惑うものの、それでも落ち込む一方だった気分は上向いたようです。
友達はきっと励まそうとしてそれらしいことを言っただけ、と高嶺る胸の鼓動を打ち消そうと努めるほのか。
私なんて地味だし、存在感ないし……と、そんなことを考えていると、男子とぶつかって手に持っていた文房具を落としてしまいました。
トロいし、檜山さんに勝てるところなんて何一つない、とげんなりしながら落ちたものを拾おうとしていますと、そこにノートを拾って差し出してくれる人が現れました。
それは何と、水嶋!
あまりの急な接近に声も出せないほのかに、水嶋は……大丈夫?木村さん、と名前を読んできたではありませんか!!
びっくりしたほのか、私の名前知ってるの?と聞き返してしまうのですが……なんてことはありません、ただ拾ってもらったノートに自分の名前が書いてあっただけでした。
もしかしたら友達の言ったことは本当だったのか、と一瞬でも頭をよぎってしまったことに赤面してしまうほのかなのですが、その後水嶋はこう続けます。
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それと、朝よく会うよね?
木村さんっていうんだ、よろしく。

水嶋の笑顔に一発でやられたほのか、ノートを受け取るとお礼もそこそこにその場から逃げ出してしまいます。
友達の言うほどではなかったものの、水嶋が自分のことを認識してくれていた。
それだけで思わず笑顔になってしまうほのかなのですが……そこで、あの人物が登場してしまうのです。
由莉奈です。
由莉奈はじっとほのかを見つめながら、問いかけます。
あんたさぁ、水嶋のこと好きなわけ?
編に期待してるようだから言っとくけど、水嶋はあんたのことなんて全く眼中にないし、興味もないんだよね。
だからさっさと諦めなよ。
釣り合ってないんだしさ?
……確かに、ほのかは自分でも釣り合っていないと思っています。
でも、水嶋はほのかのことを知ってはいました。
ほんの少しでも水嶋が見る景色の中に自分が存在していたのなら。
諦めたくない、という思いが、ほのかの中にふつふつと沸き上がってきます。
「ライバルってことなんだよ」という友人の言葉も、信じてみたいと思え始め……
諦めたくないです!
勇気を出して、ほのかはそう言うのでした!
直後、由莉奈はほのかに壁ドンを決行!!
そして、物凄い剣幕でほのかに迫るのです!!
まさか本気で期待してたわけ?
バカじゃないの?
あんたみたいなどんくさくて、気が弱くて、いつもうじうじしてる人なんて、誰が好きになるのよ!?
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私以外に!!
…………あまりにも筒全過ぎる発言。
何で水嶋なのよ、私の方がずっとずっとあんたのことが好きで、あんなに毎日視線だって送ったのに、気付いてないわけ!?
……どうやら自分のことを睨み付けていると思い込んでいたあの視線は、好き好きアピールだったようです。
ということは、どういう事なんでしょうか。
皆の憧れの存在で、叶う相手ではない恋のライバルだと思っていた彼女は……
混乱するほのかに、その手をきゅっと握りしめ、由莉奈はこう告げました。
木村、私があんたの事幸せにする。
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だから、水嶋じゃなくて私を選びなさいよ。
……混乱の収まらないほのか。
これからどうやって由莉奈に立ち向かえばいいのか、全く分からなき唸ってしまった彼女は……困ります、と返事をするのが精いっぱいなのでした……



と言うわけで、まさかの関係が明らかになってしまった本作。
優しくて一生懸命なほのかですが、彼女の良さに一番に気が付いたのがまさかのライバルに当たる女性だったとは!
この後物語はそれでも恋を諦めないほのかと、なんとか水嶋を諦めさせて自分の方を向かせようとする由莉奈、そして実はカヤの外気味だったりする水嶋の三人の三角関係(?)が描かれていくわけです!
実は紹介させていただいたこのお話、単行本では第11話となっています。
それまでの10話はくゥ先生がSNSに登校した作品となっておりまして、この第11話後に巻き起こったあれこれが描かれております。
そちらは本単行本で一気に読むもよし、SNSでお読みいただくのもよし!
由莉奈の行き過ぎた愛の暴走をたっぷりお楽しみください!

本単行本の半分がネット上で読めてしまうわけですが、この単行本の凄さはまとめて読めると言う点だけではありません。
第11話と第12話は雑誌掲載用のちょっと長めのお話になっているのですが、第12話は何とこの単行本が発売した時点での最新号、の次の号に掲載される予定のお話が収録されています!!
さらにそれに加えて描き下ろしのエピソードもたっぷり収録!!
特にこの描き下ろしのエピソードに関しては、水嶋と由莉奈の関係がよくわかるお話や、由莉奈がほのかを好きになるまでが明かされるお話など、本作の根幹にかかわるようなそうでもないような必見のエピソードが収録!!
こちらも必見の内容となっております!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!