今回紹介いたしますのはこちら。
「けなげなですげ」第1巻 コニシリュウイチ先生
白泉社さんのヤングアニマルコミックスより刊行です。
コニシ先生は16年に「言ったよきいちゃん!アンバンナブル」で商業デビューした漫画家さんです。
キレのあるギャグと破天荒なキャラ、そして独特の擬音芸で読者の心を鷲掴みにしたものの、単行本は1巻は通常刊行、2巻が電子書籍のみ刊行で完結と言う少し寂しい結果になってしまいました。
そんな小西先生の久しぶりの単行本刊行作となる本作は、意外にも(?)ラブコメ!
ですがもちろん普通のラブコメであるはずもなく……?
とある美容室で、一人の少女が美容師さんに髪の毛をばっさり切ってくれとお願いしていました。
綺麗な長い髪をばっさりやってくれと言われた美容師さん、もったいない、男の子に振られたとかじゃないわよね、と気をもんでしまいます。
そんな心配を、彼女はきっぱりと否定しました。
ち、違います。
……画面?
美容師さんは彼女が何を言っているのか分からず……
一人の少年が、何やらいかにも怪しげな部屋で目を覚ましました。
椅子に縛り付けられた少年の横にはモニターが付いておりまして、そこにはウサギの様なキャラクターが映し出されています。
そしてウサギは、少年に呼びかけ始めました。
お目覚めの様だね、伏見くん。
暴れても無駄だ、君は今私が開発した装置に拘束されている、自力での脱出は不可能だ。
もちろん解放しよう。
命を懸けたゲームにクリアできたらだけどね。
……まさしく少し前に流行ったデスゲームモノの導入と言った説明を受けた伏見。
戸惑う彼に、ウサギはさらに説明を続けました。
日々安穏と過ごすキミのために少し刺激的なゲームを用意した。
ルールは簡単、私の問いに嘘偽りなく応える、それだけだ。
君に拒否権があるとでも?
目の前のそれを見てもまだおなしことが言えるかな?
伏見の前には、高速で回転する巨大な鋸が……!!
驚愕する伏見に構わず、ウサギは高らかにタイトルコールを行います。
題して、
「ドキドキしないで言えるかな?とっても痛SAW電ノコクイズ!!」この鋸は、伏見の生体反応に連動した速度で近づいてくるとのこと。
心拍数が上がれば上がるほど、より速い速度で伏見に近づいて行きます。
マジかよ、あんなのマジで死ぬじゃん!
マジかよマジかよマジかよ……!!
目の前に迫りくる鋸に恐怖する伏見、その恐怖のあまり心拍数は上がりまくり!!
一気に50センチほど距離が近づいてしまいました。
そんなことをあざわらいながら、ウサギは早速出題します。
出題は一度きりだ、聞き逃すことの無いように。
第1問だ。
好きな女の子とかいる?……思わず「なんて?」と聞き返してしまった伏見。
想定していたものとあまりに違う質問が帰ってきたため、動揺してしまったようです!
もう一回頼む、というと、ウサギは恥ずかしいし無理、とオトメチックに拒否するものの、最終的にはもう一度質問してくれました。
付き合ってる人とかいる?と……
問題が変わってる気がしますが、それどころではありません。
伏見は、部活でそんなヒマねーし、いねーよ!!と答えると……
嘘をついたらすぐわかるぞ、と生体反応を見ながら囁いてくるウサギ。
マジだって、信じてくれ!と全力で答える伏見の生体反応を見るに、これは嘘ではない様子。
ウサギは、そうなんだ、よかったぁ、と謎の反応をするのでした!
よかったって何?とツッコむ伏見ですが、そのツッコミはスルー。
そして次々に質問が投げかけられます。
好きな女の子の髪形は?
ロングかショートか?前髪は?カラーもした方がいいかな?
その質問に、ショートボブ、重た目のパッツン、気持ち暗めのアッシュブラウン!と必死に答えると……ようやく質問は終わったようです。
伏見ギリギリでのこぎりは止まり、ウサギは高らかに謳うのです。
おめでとう、全問クリアだ、君を解放しよう。
新しいゲームでまた会おう!さらばだ!!
伏見は次回をにおわせるな!とツッコむものの……噴射されたガスによって意識を失ってしまうのでした。
翌日。
げっそりとやつれて学校にやって来た伏見に、部活仲間が、昨日部活サボったけどどうしたんだ、と尋ねてきました。
ゲームやってた、と確かに真実を応える伏見ですが、その言い方では部活仲間もしょうもない理由、と答えるしかなく……
と、そこに一人の女生徒が教室へ入ってきます。
彼女は四宮音羽。
冒頭で髪の毛を切ってもらっていたあの少女なのですが、びっくりするほどイメージの違う髪形になっていて、クラスメイト達も可愛くなってる、とざわついております。
部活仲間も伏見に四宮すげーイメチェンしてるぞ、と囁くのですが、昨日のアレで疲れ切っている伏見は、疲れててどうでもいいわ、と人目も見ずに眠りこけてしまいました。
……四宮の髪形は、前が澪も目のショートボブ、髪色は暗めのアッシュブラウン。
そっと伏見を盗み見ながら、彼女は思うのです。
次のゲーム早く考えなきゃ……!
と言うわけで、伏見に恋する少女・四宮が、なんとか彼の気を引こうとデスゲームを繰り返すと言うとんでもないラブコメとなる本作。
この後も死と隣り合わせだったりそうでもなかったり、社会的な死と隣り合わせ立ったりするデスゲームが繰り返され、その旅に伏見の好物やら趣味やら内緒の秘密やらが明らかになって行きます!
それを知る度四宮はあれこれとアプローチをかけるわけなのですが、なにせデスゲームでしか交流を持てない恥ずかしがり屋(?)である彼女、そのアプローチも遠回り。
あまり細かいことを気にしないタチである伏見の受ける印象自体は悪くないのですが、誰がどうやってそのアプローチをしたかにまでは気が向かず、効果は出てこないのです!!
さらにもはやお約束のライバルキャラも登場し、四宮はデスゲームを主宰する側なのに絶体絶命……!?
果たして四宮の恋はどうなってしまうのでしょうか!!
そんな本作、コニシ先生の持ち味であるリズミカルとさえ感じてしまうテンポの良さや、おなじみの独自の擬音もばっちり健在!
「きいちゃん」の頃から恒例だった(?)アップデートされていく人物相関図や、おまけ漫画も収録で、お腹いっぱい楽しめる内容となっております!
細部まで見逃せませんよ!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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