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今回紹介いたしますのはこちら。

「最近雇ったメイドが怪しい」第1巻 昆布わかめ先生 

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスJOKERより刊行です。


さて、現在も「ジャヒー様はくじけない!」を連載中の昆布先生ですが、19年よりガンガンJOKERにて本作の連載も開始しました。
本作はそのタイトル通り、主人公が雇ったメイドに対し、怪しげな何かを感じるお話なのですが……?



田舎のとなる大きなお屋敷。
大きなお屋敷ではあるのですが、ある理由によって、この館の住人は持ち主である坊ちゃまとメイドの二人だけ。
財産もなく、貴重な美術品とかそう言ったものがあるわけでもない。
この館にいるメイドさんは、最近坊ちゃまが雇ったのですが……
このメイド、こんな何もない屋敷にしては、似つかわしくないのです。
キッチリとした(それも妙に露出の多い!)メイド服を着ていますし、真面目で仕事の方もキッチリこなします。
ですが坊ちゃんは、そんなメイドのことが怪しくて仕方ないのです。
怪しすぎて怪しすぎて、何も手がつかなくなってしまうほどに!!

先ほどあげた、露出の多いメイド服の事、こんな古びた屋敷にやってくることの他にも、坊ちゃまが怪しむ要素はたくさんです。
この間なんて、こっそり書斎で分厚い本を読みながら、よくわからない呪文のような言葉を発していました。
そして何よりも、まるで吸い込まれるような美しい紫の瞳が……怪しい!!
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その日もこっそりメイドの様子をうかがっていた坊ちゃまの背後に、いつの間にか回り込んでいたメイド。
何か御用でしょうか坊ちゃま、と話しかけてくるメイドを、じっと見つめる坊ちゃま。
すると彼女は、にやにやしながらこう尋ねてくるのです。
もしかして、私のことがそんなに気になりますか?
……完全に、自分のことを気にして後を追いかけていることに気がついて、からかうための言葉です。
きっと図星をつかれてドギマギするに違いない、などとメイドは考えていたのでしょう。
ですが、坊ちゃまから帰ってくる反応は予想と大きく違うものでした。
何でわかった!?
お前!さてはぼくの心が読めるのか!?
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こんなきれいなメイドを初めて見たからか、お前のこと気になって気になって、夜も眠れないくらいお前のことを考えていたことに気付いていたのか!?
……なんだか物凄いカミングアウトをされてしまったメイド、ここで実はからかっただけだと言うこともできず、はい、と答えてしまいます。
顔を赤らめながら、よく眠れるハーブティーを用意いたしますね、と言い残し、そそくさとその場を去って行くのでした。

坊ちゃまの不信感はさらに増していきます。
あいつは今までいたどのメイドとも違う。
ご飯は特別美味しいし、掃除すれば一段と輝いて見えるし、あいつが選択した服はとてもいい匂いがする。
きっと何か魔法があるに違いない……
そう考えた瞬間、坊ちゃまは一つの結論に思い当たりました!
もしかしてお前は、魔法使いなのか!?
美味しすぎるごはん、隅々まで磨かれた部屋、着心地の良い服!
その怪しい瞳、普通の人間ではないな!
メイドを捕まえてそう断言する坊ちゃま。
メイドは少し考えた後、
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実はこの瞳で、坊ちゃまを私の虜にする魔法をかけてたのです。
私と目が合うと魔法にかかってしまうのです、まんまとかかってしまいましたね、坊ちゃま。
……なーんて、とからかっていることを明かそうとするメイドでしたが、その言葉が口から出る前に坊ちゃまは何やらまくし立て始めてしまいます!
僕は気付いていたぞ!
こっそり書斎で魔法の本を読んで呪文を唱えてたのを見てたからな!
お前が掃除したものはやたら輝いて見えるし、洗濯物はやたらいい匂いがするし、まるで宝石みたいで、見つめられると吸い込まれそうなくらい、あまりにキラキラしていて綺麗なその瞳……
ドキドキして目が離せなくなる瞳!虜にされる魔法だったんだ!
全部全部魔法のせいだったんだな!なんて恐ろしい魔法なんだ!!
……もちろん魔法なんてかけていません。
坊ちゃまは、メイドの仕事を期せずしてこれでもかと言うほど褒めて褒めて褒めちぎった形になってしまったわけで……
メイドは
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顔を真っ赤にしながら……私は、坊ちゃまが恐ろしゅうございます、と返すのが精一杯でした。
書斎で呼んでいた本は、ただの家事の本。
呟いていたのもレシピとかそう言ったものでしょう。
大好きな坊ちゃまに少しでも早く進上されたいがための行動……
でもメイドは、それを明かすことはしませんでした。
まだしばらく、坊ちゃまに怪しまれたいと思ってしまったのですから……!



と言うわけで、ゆうり坊ちゃまとメイドのリリスの日常をただただひたすら描いていく本作。
回を追っていくとおそらくそのうちに新キャラクターが出たりもするのでしょうが、この第1巻ではひたすら二人だけの毎日が描かれていきます!
基本的に本作のパターンは一定でして、リリスがいろいろから買おうとして思わせぶりな言葉を言うものの、坊ちゃまが驚くほど素直にリリスにドキドキしている旨を明かしていき、逆にリリスが恥ずかしくなってしまう、というものです!
ですので今のところ物語に進展とかそう言ったものはありません。
ありませんが、それだけに二人の心温まりまくるやり取りに集中できると言うわけです!!

そんな本作、特徴的なのが印刷です。
塔記事を読んでおられる方はもうお判りかと思いますが、なんと本作、全ページカラーでリリスの瞳が紫色に塗られています!(リリスの目が登場しないページもありますが、そこは置いておいてください!)
カラー印刷の為か紙も品質のいいものを使っているようで、ちょっとお値段はお高めになっておりますが……二人の関係を綺麗な印刷で楽しめると思えば安いもの……かもしれません!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!