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今回紹介いたしますのはこちら。

「月色のインベーダー」第2巻 山野藍先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックス・ウルトラより刊行です。


さて、不慮の事故によって、月呼の体に宇宙人が寄生してしまった本作。
月呼に重いお寄せる男子、朔馬はその宇宙人にルナーと名付け、月呼の体を使って生活するルナーを宇宙人だとばれないようにサポートして行くのですが……?



ルナーを追って地球にやって来たと言うネコ型の宇宙人、フェリスα星人。
朔馬はルナーのことがばれないようにあれこれと世話を焼いていたわけですが、朔馬だけが気をつけていてもどうしようもなかったようです。
フェリスα星人の調査はあっさりと月呼のほうまで及んでしまいまして、よりによって文化祭当日に問い詰められてしまう事態になってしまいました。
ルナーは希少種で、治癒能力を持っていることからも高額で取引されている。
だから狙っている宇宙人も多く、フェリスα星人もその一人だ……と、朔馬も思っていました。
ですがフェリスα星人は、こんなことを言い始めたのです。
お前はこの希少種がどれだけ恐ろしいのか分かっていない。
お前、月の裏側を見たことがあるか?
教科書に載っているような古い画像じゃない、今現在の姿だ。
フェリスα星人がそう言いながら見せてきたのは、鮮明な月の裏側の画像でした。
そこには、
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得体のしれない、奇妙な植物のようなものがへばりついていて……!?

フェリスα星人によれば、その奇妙な物体は「星喰」と呼ばれている、危険場存在だと言います。
その目的は宇宙を飛び回り、栄えている種族を丸ごとのっとって繁殖すること。
最初に自分の「子」を一体その星に送り込み、その星の情報をフィードバックさせ、情報をしっかりと収集してから「侵略」を始める……!
その「子」と言うのがすなわち、ルナーなのです!!
このままルナーを放置していればいずれこの星に大量の「子」が送られ、そうなれば……
フェリスα星人の説明、その最後の言葉は、その場にやって来た別の人物によって語られることになります。
地球人はおしまいってことか。
その人物とは、ほかならぬルナーその人でした。
もうばれているんだから隠れていても仕方ないだろうと言うルナー。
フェリスα星人は、ルナーがやって来た上で朔馬にこう言うのです。そいつがいる限り地球は危険にさらされるんだ。
それだけじゃない、お前が行為を抱いているその個体、月呼も救えなくなる。
だが我々の技術なら救える、希少種さえ差し出してくれれば、月呼の命は保証してやる。
突然求められた選択に、朔馬は……
とっさに、ルナーの手をつかんで逃げ出してしまうのでした!!

とりあえずフェリスα星人の元から逃げ出した二人。
落ち着いたところでルナーに聞いてみると、自分がそんな存在だとは知らなかった、といいます。
逆にフェリスα星人は連邦と繋がったエージェントであることが多く、その情報の信ぴょう性は高いとか。
ルナーの脳内にある地球に関しての情報も、地球侵略のために埋め込まれたものなのだろう。
そう冷静に分析するルナーは、さらにこうもいいます。
朔馬、お前は本当に馬鹿だな。
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ワタシを差し出せばすべて解決しただろ?
ルナーはあくまでも客観的に立っての意見を並べます。
朔馬のそもそもの目的は月呼を治すことで、フェリスα星人にルナーを差し出せばそれはかなう。
ルナーは差し出されれば「駆除」されてしまうだろうが、地球人類80億と、ルナー1人とでは比べるべくもない……
冷静に考えるまでもなく、そうするのが正解なのでしょう。
だからと言って……今までなんだかんだと仲良くやって来たルナーをあっさり差し出すことなど、朔馬にはできません。
苦悩する朔馬を……ルナーは突然、ちょっといいかと手を引いて連れ出して……?

ルナーに連れられてやって来たのは、朔馬がルナーにルナーと名前を付けた天文部の部室。
そこでルナーはこんなことを聞いてきたのです。
人を好きになるって、どんな感じだ?と。
どうし月呼を好きになったのか。
……顔、と答えそうになる朔馬ですが……それはもちろん、好みのタイプだったからという意味ではありません。
それは天文部に入った時の事。
半ば騙されて天文部に入ってしまった朔馬、新入部員は彼と、同じクラスながらよく知らない女子、という認識でしかなかった月呼の二人だけでした。
二人は先輩たちに、春の夜空を様々な構図や時間で撮影しろと言う課題を与えられまして……
あまり興味の持てなかった朔馬は、授業中も部活に入り直そうかななどと考えていたのです。
そんな時、たまたま隣の席になった月呼の姿が目に入りました。
授業中、こっそり課題のレイアウトをノートに書いていた月呼。
ノートにペンを走らせる、彼女の楽しそうな、優しいほほえみ……
それを見て、朔馬は月呼に恋心を抱いたのです。
傍から聞けば、なんだそれ、と言ってしまいかねない理由でしょう。
好きになっちゃったもんはしょうがない、そう言うものなんだ。
そう言う朔馬ですが、ルナーにもやっぱり理解はできなかった様子。
それでも、最後に「好き」になるのがどういうことなのか聞けて良かった、まあまあ興味深かったぞ、というルナー。
そんなルナーに、朔馬は本当にこれで最後でいいのか、と問いかけます、
そう思っていました。
……今までは。
ですがルナーは、朔馬の苦悩する顔を見ているうちに今まで感じたことのない感覚に襲われ……
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気が付けば、大粒の涙をぽろぽろとこぼしていたのです……
止まらない、胸も締め付けられて。
教えてくれ、これ、どうやって止めれば……
お願いだ、
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これ以上、わからない事を増やすな……
自分でもどうすればいいかわからなくなってしまったルナー。
期せずして人類の運命と、ルナーの命を左右する洗濯を強いられてしまった朔馬は……どんな道を選ぶのでしょうか!?




というわけで、クライマックスを迎える本作。
このクライマックスに至るまでも、絆を深めてきた朔馬とルナー。
月呼に思いを寄せていた朔馬ではありますが、確実にルナー自身にも心を引かれつつあったでしょう。
ですがそんな時に強いられる選択。
全人類かルナーかとなれば、「正解」は一つしかないでしょう。
だからと言って、正解をすんなり選べるはずもなく……!
この後物語はフィナーレへ向けて突き進んでいきます。
朔馬の決断は?
そして、ルナーはどうするのか?
最後の最後まで予想のつかない展開が連続するクライマックスから、目が離せません!!

そんなクライマックスのドラマも勿論必見なのですが、今巻前半の日常パートも見どころです。
朔馬の幼馴染である日南に焦点を当てたお話や、ルナーが着々と(?)朔馬に惹かれて行く様子が描かれていくお話が主に描かれていきます!
地球人のことがわからないはずのルナーが見せる様々な表情は、クライマックスに繋がっていく要素にもなっていますから、いろいろな意味で見逃せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!