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今回紹介いたしますのはこちら。

「異世界ちゃんこ 横綱目前に召喚されたんだが」第4巻 林ふみの先生 

竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。


さて、異世界から元の世界に戻る為、4人の女性を道連れに旅を続ける大関・高良山。
一同は当面の目的であったグローリー・エンペルにたどり着いたのですが……?




グローリー・エンペルに到着する直前の戦いで、大けがを負ってしまった高良山。
高良山はこの世界の魔法が効かない体質の為、治癒は絶望的かと思われましたが、このグローリー・エンペルの民も魔法が使えない一族が住んでいる場所とのことで。
そのおかげで医療技術もある程度進んでいて、高良山は一命をとりとめ、みるみる回復。
今まで通りの動きができるまでに回復した、かに見えたのですが……

その後襲い掛かって来た猪のようなモンスター、グレートツヴェインも撃退することができた高良山たち。
モンスターを倒したとなれば……食事の時間です!!
猪に似たグレートツヴェインの肉は、やはり猪を想定し、獣臭さを抜くためにまずは臭み抜き。
臭みを抜いている間は、塩分が多い土のせいで土地がやせているこのグローリー・エンペルで唯一撮れる作物、クローネン芋を田楽にして食べて待ちます。
高良山のスキルである「ちゃんこ横綱」から味噌を取り出し、作ったソースの味わいはこの異世界の民にも大好評。
皆が盛り上がっている間に、高良山は臭み抜きが負えた肉を使ってメインディッシュの調理に入りました。
まず高良山は、大きなグレートツヴェインの肉を薄くスライス。
カリーンたちは、そんなに薄くしてしまってはせっかくの肉感がなくなってしまうんじゃないか、と心配するのですが、相撲はもちろんちゃんこでも百戦錬磨の高良山がそのあたりを考えていないはずがありません。
獣肉はどれだけ臭みをとってもやはり獣肉、臭みが取り切れることはありません。
さらにどうしても硬さが気になってしまいますから、こうして薄く切ることでその硬さも匂いの方も和らげることができると言うわけです。
高良山はその薄くスライスしたツヴェイン肉を、花のように盛り付け。
グレートツヴェインに似ているイノシシの肉は牡丹肉と呼ばれるほど鮮やかな色味が特徴なのですが、このグレートツヴェインもその鮮やかな色合いは負けていないようです!
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どれだけ美しく盛り付けをしたところで、全部にて食っちまうんだけどな、と笑う高良山、早速下茹でを始めます。
高良山は下茹で時に出てくる灰汁をひたすらとっていきます。
獣肉だけに灰汁はどんどん出てきまして、見ている方がうんざりしてしまうほどですが、高良山は慌てません。
もう少し、手をかけてやればやるだけうまいものができると思えば、何のこれしき!
そう言って悪を撮り終えますと、肉を取り出して赤味噌を加えます。
そして増すそこにクローネン芋を投入!
程よく軟r高くなったところで、肉を戻しますと……
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グレートツヴェインとクローネン芋の赤味噌ちゃんこ鍋の完成です!!
モンスターを食べることなどなかったグローリー・エンペルの人々はなかなか箸を伸ばせませんが、そこでまず口をつけたのがカリーン。
油が、肉汁が口の中に溢れてる!
噛み応えのある赤身肉から拡がる濃厚な肉の味と、温められて溶けだした脂のうまみが、恋味噌の味でさらに際立ってくる……
肉に味噌、うまい!!
そんな顔を見ているうちに、他の人々も口にし始めました。
獣肉のようなものかと思ったが意外に臭みがない、固めの肉だからとよく噛めば、口の中に肉汁が拡がっていくのに、味がなくなってしまうこともない。
芋もまた肉のうまみが溶け込んだスープが良くしみてうまい……!
チーズと一緒に食べればさらにうまいかもしれない、辛みを足してもいい。
そんなことを話していくうちに盛り上がりは一層増すのでした。

が、そんなところでも不安の種は尽きることがないようです。
もともと三姉妹はここに、姉のコルネリアがいるからと彼女を頼ってここまで来ました。
ですがそのコルネリアと、三姉妹の一人であるエリーセの中が最悪と言っていいほど悪いのです。
一緒の釜の飯を食べれば……と淡い期待をしていた高良山でしたが、やはりそう簡単に事は解決せず。
なんとかならないものかと頭を悩ます高良山なのですが、そこにさらに悪い知らせが舞い込んできてしまうのです!!

それは、高良山の体にありました。
怪我の薬を塗り直す時間だからと長老のもとにやって来た高良山ですが、そこで右腕の状況がひどく悪いことがわかってしまいます。
最初に治療してもらった時点でダメージがあったことはわかっていたのですが、グレートツヴェインとの戦いでさらに重症化。
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どす黒く変色するまでに至っていたのです。
固定すれば何とか使えると言う高良山なのですが……長老の見立てによると、右上腕筋の大部分が損傷、あるいは断裂しているかもしれない、と……!!
こうなれば腕の可動域が狭まったり、力を入れることができなくなってしまうかもしれない。
そうなると、もう元に戻るかどうかわからない……!!
高良山の目的はあくまで、元の世界に戻ってようやくつかんだ綱の座を務めあげること。
ですがこれでは、今までのような力を発揮することはできません。
高良山の頭の中には、かつて同じように怪我をして土俵を去っていった先人たちがよぎっていき……!!
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自分はまだ土俵にすら上がっていないのに。
高良山は絶望に打ちひしがれ……



と言うわけで、高良山がまさかのヤマいってしまう今巻。
現実の大相撲では、左差し・左のおっつけの強さで天下を取ったと言ってもいい稀勢の里が、その左腕の筋肉を痛めたことで致命傷と言ってもいい痛手を負い、結果引退してしまったと言う記憶が新しいところ。
今までの本作の描写から見るに、高良山も四つ相撲を得意としているようですから、腕に力が入らなくなってしまうのは相当な痛手になってしまうはず。
普通の異世界モノならば治癒の魔法で何とかなってしまいそうなものですが、なにぶん高良山にはこの世界の魔法は基本的に効果がないわけで……
この右腕の故障が、高良山の今後に暗い影を落とすことになってしまうのでしょうか……?

そんな重大な問題にかかわるアレコレもこの後行われていくわけですが、本作はあくまで異世界「ちゃんこ」。
料理のことを忘れてはいけません!
今回紹介いたしました鍋の他にも、しっかりと料理が行われます。
しかも見逃せないのは、相撲取りとは切っても切れない仲(?)である餅つきまで行うところ!!
流石は好角家である林先生、ならではのネタをたっぷりと披露してくださいます!!
お話も確実に進んでいき、料理要素も相撲味を忘れずバッチリ。
これからもそのどちらの要素でも楽しませてくれることでしょう!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!