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今回紹介いたしますのはこちら。

「皆殺しのアーサー」第1巻 古閑裕一郎先生 

講談社さんのヤンマガKCより刊行です。


さて、「となりの山田さん」の古閑先生、久しぶりの連載作品となる本作。
「山田さん」ではアクション要素のあるラブコメを描いていた古閑先生ですが、近年ではシリアスなアクション作品も手掛けられております。
本作はそんな流れを汲んだ、シリアスで血生臭いアクション作品。
モチーフとして皆様もよくご存知かと思われるアーサー王伝説を取り扱っているのですが、その内容は皆様もよくご存じな物語とは大きく違っているようで……!?



ブリテン島南部の町、エクスター。
この街にサクソン人たちの軍勢が攻め入ってから、19日が経っていました。
サクソン人は、この地に住んでいたブリトン人がかつて雇い入れた島外の傭兵集団。
当初は同族同士の争いが絶えなかったブリトン人にやとわれ、忠実にその先兵となって戦っていたのですが……いつしか彼らはブリトン人を押しのけて各地に新たな国家を建国。
そして西暦507年、とうとうこのエクスターの街もサクソン人の侵略の手にkぁ買ってしまったのです。
サクソン人の力は圧倒的。
それでも20日近くこらえることができたのは、この街にはこの男がいたからなのです。
人望厚く、戦力差を埋める戦略を考える頭脳を持ち、何よりその件の力も抜群の男……モルドレッドが!!

そのモルドレッドの力をもってしても、この戦に勝つことは難しいようです。
度重なる襲撃を退けてはいるものの、その戦いを経て食料や矢、兵力は着実に減り続けているのです。
まだもう少し持たせることはできるのでしょうが、それも時間の問題。
いずれサクソン人の軍門に降ってしまうことでしょう。
ですが目の前にあるのは絶望だけではありません。
今このブリテン島に名をとどろかせる一人の王、全ブリトン人を統べる力の持ち主……あの英雄、
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アーサー・リオタムスの力があれば!!
モルドレッドは、エクスターの王、キステニンに呼び出され、王の魔へと向かいます。
そこで現在の戦況の厳しさを報告するのですが……
キステニンはこうモルドレッドに伝えてくるのです。
いつであったか、そなたはワシに「ブリトン人は一つになるべし」と言ったな、そなたの言う通りだ。
もはやこの街だけではサクソンどもを止めることはできぬ。
「かの王」より返事が届いた、間もなく救援がやって来る。

アーサー王が我らと共に戦うそうだ。
この街は救われるぞ。
最後の望みを託し、救援を求めた書状の返事がとうとうやって来た……!!
これでエクスターも救われるかもしれません!!
モルドレッドの顔は明るくなるのですが、アーサー王ももちろんただで助けてくれるはずもなく。
書状とともに一振りの剣を届けておりまして、同時にこんな要求もしてきたのです。
我らは仲間を求めている、エクスターで最も強き者を我が円卓の騎士団に迎えたい。
……この街で強気物と言えば、モルドレッドを置いてほかにはいないでしょう。
実際この街が今まで平和を保ってきたのも、モルドレッドの力によるところが大きかったはず。
そのモルドレッドがこの街を離れるのは大きな痛手ですが……
キステニンはモルドレッドに心配するなと力強い声をかけてくれました。
我らはこの地を守り、そなたの帰りを待つ。
ここを離れ、もっと大きな場所でブリトン人全てのために戦え、と!!

そんな話をしているうちに、アーサー王の軍勢はエクスターにたどり着きます。
ですが、なんということでしょう。
激しい戦いが始まる、と思いきや……アーサー王はこのエクスターを訪ねる道すがら、この街を包囲していた数百はいようと言うサクソン人の軍勢を全滅させていたのです!!
そのすさまじい力は圧巻の一言ですが、この力こそが今のブリトン人に必要な物。
サクソン人の脅威がいったん無くなったところで開門し、アーサー王たちを迎え入れました。
そして、モルドレッドとキステニンはアーサー王の前へと歩み出て、膝を折って礼の言葉を告げるのですが……
前に出てきたアーサー王はこう言うのです。
礼など不用、我らはどうし、同じブリトン人だ。
一気に盛り上がるエクスターの民衆と600の兵士!!
キステニンは、この600の兵は街を守る手練れだが、守るだけではもうサクソンの勢いは止められない、エクスター軍が一丸となってアーサー王に従うと言う意思を告げました。
静かにうなずくアーサー王に、キステニンはその決意を示す誓いの言葉を告げるのです。
我らはそなたの旗の下、百年越しに一つとなり、再び……
と、そこで誓いの言葉は途切れてしまいます。
何故なら、
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アーサー王の部下の剣の一振りで、キステニンの首が飛んでしまったのですから!!
力なきものはいらぬ、エクスターは我が守る。
突如として王の首を落とされたエクスターの兵たちは当然激怒!!
嫌な予感がして止めようとするモルドレッドの声も聞かずに跳びかかるのですが……
なんとアーサー王は、
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その跳びかかった兵たちを素手で引き裂くではありませんか!!
もはや人間とは思えない、圧倒的な「力」。
これでは民衆を守るどころか、街ごとこのアーサー王に食い殺されかねない!!
戸惑うモルドレッドの耳に、アーサー王の声が聞こえてきます。
我がさずけし剣を持つ者よ、進み出よ、それ以外の者に用はない。
……「我らは仲間を求めている」「エクスターで最も強き者を」。
まさか、このアーサー王は……その求める者以外の全てがいらないと言うのでしょうか!?
はじめから、この街をわがものにするために……!!
アーサー王は、モルドレッドの腰に下げられた剣を見つけ、告げました。
そなたか、歓迎するぞ。
ようこそ
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円卓の騎士団へ。



と言うわけで、モルドレッドを主人公にしたアーサー王伝説を描いていく本作。
ですがその内容はよく知られるアーサー王伝説のそれとは大きく違い、アーサー王が圧倒的な力を持つ悪役として描かれているのです!
逆に原作では悪役であるはずのモルドレッドが主人公になるわけですが……
当然他の円卓の騎士のメンバーも登場し、そのキャラクターも通常の者とは大きく変わってきます!
この第1巻ではこの後、ランスロットが登場するのですが、やはり一筋縄ではいかない人物のようで……!?

この後モルドレッドは、エクスターを守るためにあまりにも厳しい使命を帯びることとなります。
その使命もとんでもない展開と、恐ろしい結末が待っており、物語はさらに血生臭く苛烈なものに!
多くの人が知るはずの物語が原作になっているにもかかわらず、全く予想がつかない本作の物語……
これからもどんどんと熾烈に、血の匂いの濃いものになっていくことは間違いないでしょう!
そして「山田さん」のころからアクションシーンには定評のあっただけに、戦闘シーンは言うまでもなく迫力満点!
圧巻の迫力で描かれる、骨太な物語をぜひともご堪能ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!