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今回紹介いたしますのはこちら。

「メイコの遊び場」第2巻 岡田索雲先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


さて、目のあった人物を精神世界に連れ込み、その中で相手の心を殺して「壊す」、殺し屋のような仕事をしている少女、メイコ。
大阪の地で彼女は仕事に打ち込むことになるのですが、そこで知り合ったアスマをはじめとする子供たちと遊ぶようになり、何事にも動くことのなかったメイコの心に徐々に変化が現れて……?


あやとりをしながら道を歩いていたメイコ。
夢中になり過ぎるあまり、階段に腰かけていた女性、ハナエの足に躓いて転んでしまいました。
ハナエは、歩きながらあやとりなんてするからだ、そこに座ってしろ、とメイコに声をかけるものの、メイコは足引っ掛けたでしょ?よ無礼な物言いで返しました。
ですがハナエは特に起こることもなく、なんだ人聞きの悪い、とだけ言って、隣に座ってあやとりを始めるメイコを眺めるのでした。

かき氷を食べながらメイコのあやとりを見ていたハナエですが、一向にはかどらないあやとりを見てたまりかねたのか、口を出し始めました。
小指の糸を外して、ここの糸を小指で取る、中指の糸を親指にかけて、こっちの糸を外す、これを繰り返して……
と、かき氷を食べる手求めて懇切丁寧に教えてあげますと、やがて「はしご」が完成します。
そこからさらにハナエのアドバイスは続き、
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「東京タワー」が完成しました。
……と言っても、メイコは東京タワーが何かを知りません。
ハナエは東京にある高い塔で、通天閣を三本重ねても足りない、と教えてくれたのですが……ハナエも実は東京タワーを見たことがありません。
ハナエは、この街を出たことがないのです。
そんなハナエ、メイコのことが気になったのでしょう、どこから来たのかと尋ねてみました。
しかしメイコは、自分がどこからどう来たのかを知りません。
素人すらしなかったのかもしれず……
しばらくの沈黙の後、知らない、とだけ答えるのです。
その話はそこで終わり、他に何か作れるか、とハナエに尋ねたメイコなのですが、そこでハナエにお呼びがかかってしまいました。
彼女の指名が入ったようです。
ハナエは食べ残ったかき氷をメイコに差し出し、これあげるわ、食べ終わった入れ物はその辺に置いときな、と立ち去っていくのです。
一人残されたメイコは、残った溶けかけのかき氷を口に運ぶのでした。

路地裏を歩くメイコ。
すると、細い路地を出たところで糸電話の糸に引っかかってしまいました。
糸電話で会話していたのは、車いすのおばあさんと、しゃべるのが苦手らしい大柄な男性、ミノル。
あー、あー、と話しかけようとしているミノル。
何を言ってるの?とメイコが尋ねると、おばあさんが代わりに「ごめんね」と言っている、と教えてくれました。
するとメイコの興味はすぐに男性の言葉から、糸電話に映ります。
糸電話を知らないメイコに、糸電話の使い方を教えてくれるおばあさん。
稔はこれで声を聞くのが好きなんだ、お姉ちゃんも何でもいいから稔にしゃべりかけてあげて、と言われたメイコは、素直に糸電話でミノルに声をかけました。
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あなたも誰かに壊されたの?
もしかして私?
今まで子をした人たちのことはあまり覚えてないの。
たまに思い出すけど、その時は変な気持ちになるわ。
これって……
そこまで囁いて、メイコはおばあさんいいつまで続けるの?と尋ねます。
やめたいならやめればいい、と言われたので、メイコは糸電話を終わらせるのですが、そこでミノルは小さな花をメイコに差し出してきました。
どうやらメイコにあげると言っているようです。
が、メイコはどうせ枯れちゃうからいらない、とそっぽを向いてしまいます。
そんなメイコに、おばあさんがそれなら飴をあげる、と声をかけてきまして……
それならもらうわ、と近づいて行きますと、突然おばあさんはメイコの手をつかみました。
飴を渡しながら、おばあさんは言います。
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人にものをもらった時は、「ありがとう」っていうんだよ。
悪いことしたときは、「ごめんなさい」。
……メイコは素直にありがとうと言うのですが、おばあさんはじっとメイコを見つめたまま腕を離しません。
メイコはたまらず手を離して、と求めますと、おばあさんは謝りながらすぐ手を離してくれました。
またミノルと麻んであげてね、と言うおばあさんの声を聞きながら、メイコはまた歩き出すのです。

夜の街角で、電話をしているサングラスの男。
どうやら母親に電話をかけているようで、しばらく帰れそうにない、心配はいらないから皆によろしく言っておいてくれ、と告げていました。
そこに現れるメイコ。
どうやら彼がメイコの今日のターゲットのようです。
あっという間に精神世界に連れていかれる男。
気付けば持っていた公衆電話の受話器が、糸電話になっていました。
何かが聞こえてくる糸電話に耳を当てる男。
何を言っているのかよく聞こえないため、男はもっと大きな声で、と求めるのですが……
「うしろ」。
そんな声が聞こえた時には、もう背後から
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もう一人のメイコが、あやとりのひもで男に襲い掛かっていて……!!
ピンと張っていた糸電話の糸は、力なく地面へと落ちました。
男の手から離れ、地面に落ちた糸電話。
そこから、メイコの声がかすかに聞こえてきます。
「ごめんね」。



と言うわけで、メイコの中の感情がどんどんと育っていく今巻。
この街に来るまではおそらく、命じられるまま仕事をこなし、相手をしてくれる大人とだけしかまともに触れ合うこともなかったであろうメイコ。
そんなメイコに密かに思いを寄せていると思われるアスマや、親身になっていろいろと教えてくれるチヨをはじめとする子供たち、そして今回登場したハナエとミノルとおばあさんなどの優しい人たちと触れ合うことで、メイコには今までなかった感情が形になっていくのです。
今まではほとんど感情がなかっただけに、ターゲットに対しても何の気持ちの変化もなく、淡々と仕事をこなすことができました。
ですが、「ありがとう」や「ごめんね」という、当たり前の感情、当たり前の言葉を知ってしまったメイコに、今までのような仕事がこなせるでしょうか?
子供たちとの昭和の遊び、町の大人たちとの触れ合い、メイコを取り巻く人々のドラマ、メイコの仕事。
それらが密接に絡み合い、物語は進んでいきます。
そしてメイコの感情が動くとき、物物語も大きく動いて行き……!
今巻のラストでは、思いもよらない展開が待ち構えています!!
淡々と進んでいく本作でしたが、早くも起きた急展開。
本作のこれからにますます目が離せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!