「明日ちゃんのセーラー服」第6巻 博(ひろ)先生
集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。
さて、小路のまぶしい日常を描いていく本作。
前巻ではお父さんも加えての家族旅行が描かれ、その世界観が拡がっていきました。
そして今巻でもまた大きな出来事が描かれていき……?
夏休みのある日、小路は大荷物を抱えて駅にやってきていました。
その目的は……お友達との東京旅行!
一番のお友達である木崎さんや、宿泊先となる実家がある兎原さんとは東京で待ち合わせをすることになっていまして……
東京まで一緒に行ってくれるのは、こちらも実家に帰省するクラスメイトの龍守さんでした。
舞い合わせ場所で会うなり小路は、龍守さんのリボンがいつもと違うことに気が付き、旅行用?カワイイ!と早速ひと褒め。
彼女よく気が付く所に驚き、ちょっと照れながら、別に何用とかないわよ、と強がる龍守さんなのでした。
そんな津龍守さんに小路は、先日のお祭りの時に妹の花緒がお世話になったから……と家族旅行に行った際のおみやげ話とともにお礼の品を渡そうとするのですが、流石に駅の真っただ中でその話をするのはどうでしょう。
話は新幹線に乗った後にしない?と龍守さんはツッコみ、早速切符を買いに行くのでした。
切符を買う事にも一喜一憂、新幹線が来るのを待っている間も、舞ってきた蝶に触れようと防護柵から身を乗り出したりと落ち着かない小路。
それが彼女の可愛いところでもあるのですが、常識人の龍守さんはしっかりそれを諫めて行きまして……
新幹線に乗るころにはもう龍守さんは疲れておりました。
新幹線が出発するとようやく落ち着きまして……お弁当をひろげながら、例のお礼の品の出番となりました。
鯛のマスコットに、「必勝」の木札のついたちょっと変わったストラップですが、小路は龍守さんにぴったりでしょ、とにっこり。
ちょっと微妙な気もしますが、小路の屈託のない笑顔を前に、龍守さんはありがとうとお礼を言うしかないのでした。
その後も小路は、車掌さんが切符を見に来たときに、どこに切符をしまったかわからなくなるなど大わらわ。
忙しい子、疲れないのかな、と龍守さんは彼女らしい視点で小路を眺めるのです。
その中で気になるのは、小路の見ていた計画表。
ノート一冊には収まらないその計画、到底今回の予定である2泊3日にやり切れるはずもないのですが……
小路は、これはできることじゃなくて、「やりたいこと」だからいいんだ、とにっこり笑うのでした。
龍守さんはそのノートの中に、「龍守逢ちゃんと東京旅行でやりたいこと」と書いてあるのを見つけます。
それを見て龍守さんはこう言いました。
私はいかないわよ、と。
龍守さんは最初から東京に行くまで付き合うだけで、まっすぐ実家に帰るだけのつもりだと言うのです。
それを聞いた小路……
あからさまに残念そうな表情を浮かべました!!兎原さんから龍守さんに案内してもらえると聞いていたらしい小路、自分の思い描いていた予定と違ってがっくり……
龍守さんは兎原さんの言葉足らずにため息を付き、そして自分なんかがいても邪魔になるだけでしょ、と言うのですが……そんな言葉を小路は聞いていない様子。
その後空気はぐっと重くなりまして、小路は一つ一つ、やりたいことリストから龍守さん関係のことにバツ印をつける作業をし続けます。
そんな様子を見て、龍守さんは子供のころクラスメイト達に言われたことを思い出していました。
ちびもりちゃんさぁ、理屈っぽくてつまんない。
遊びなんだからそんなマジになんないでよ。
……きっと、小路は本気でこのやりたいことを考えていたのでしょう。
そう考えると……
龍守さんは、小路に尋ねました。
その計画考えてて楽しかった?
私じょうずな遊び方わからないのよ。
周りの遊んでるやつが何を楽しんでるのかもわからなかった。
だから勉強した、人のことチビとかガリ勉とか、笑って集まる奴らが遊んでる時間全部塾に通って……
そのおかげで蝋梅にだって受かったんだ。
……うっすら涙がにじむ龍守さんの瞳。
ごめんなさい空気悪くして、と謝る龍守さんですが、内心ではどうしてこんなことをしゃべってしまったのか、と困惑していました。
そんな龍守さんに、小路は笑顔でこう言うのです。
花緒が、妹が言ってた。
射的のことなんでも知ってるって。
わたしより真剣で、汗かいて肩車してたって。
勉強も遊ぶのも、体育祭の時だって、龍守さんは何でも真剣なんだね。
そんなの絶対楽しい。
楽しいに決まってる。
その言葉を聞いて……龍守さんの瞳からは、抑えきれない涙があふれてきました。その涙を隠すため、慌てて席を立つ龍守さん。
自分の言った台詞は失敗だったのか?
そんな迷いが生まれたのでしょうか、小路は龍守さんを追いかけることができなかったのです。
……その時は。
直後、トイレで涙を拭いていた龍守さんのところに、小路が声をかけてきました。
龍守さん、龍守さん、来て!!
そう言って彼女の手を引き、小路が連れて行ったのは、窓際でした。
そして小路は、ただの赤い鉄塔を指して、見てみて、東京タワー!赤くておっきいよ!と言うのです!
……ピント外れにもほどがあるその励ましの言葉。
思わず龍守さんは吹き出してしまい……!
改札を出たところで、小路は龍守さんにお礼を言います。
龍守さん本当にありがとう、私もう大丈夫だから。
気をつけて、また学校で会おうね。
手を振る小路に……龍守さんは、瞳を潤ませながらこう言いました。
お願い。
その気持ちを表すように、きゅっと鞄の持ち手を握りしめる龍守さん。
小路の返答は、もちろん……!
というわけで、ほぼまる一冊東京旅行編が描かれる今巻。
このシリーズ、もちろん主役は小路でして、彼女が今回も彼女らしい魅力をたっぷりと振り撒きながら東京旅行を楽しんでいきます。
ですが、今回はこの龍守さんと、そして兎原さんもまた主役となっているのです!
紹介した部分で龍守さんの過去とトラウマが少しだけ明かされ、小路の暖かさで救われることになります。
この後、木崎さんと兎原さんを加えて本格的な東京旅行編が始まるのですが、今度は地元だけに兎原さんの過去が明かされるイベントが用意されております!
小路に負けないくらい明るい人懐っこい印象のある兎原さん。
そんな彼女に秘められた、意外な過去とは?
兎原さんの、龍守さんのドラマもまた必見です!!
一方木崎さんの活躍はちょっぴり少なめですが、それでも彼女らしいかっこよさをしっかりと見せてくれます。
明るく優しく元気な小路を中心に、四人はまばゆいばかりの青春の時を過ごしていきます。
なんといいますか……この幸せな様子を見ると泣けてきてしまうのは自分だけでしょうか……!
とにかくそんな小路たちのきらめきをたっぷりご堪能ください!
そして巻末には、大熊さんと小路のエピソードが17ページ描き下ろし!!
こちらもほっこりすること間違いなしの見逃せないエピソードとなっております!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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