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今回紹介いたしますのはこちら。

「もういっぽん!」第5巻 村岡ユウ先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、金鷲旗に挑む未知達青葉西柔道部。
5人そろってますます勢いの増す未知は、ノリノリで試合に挑むのです!!



まさかの結末となった1回戦。
その興奮も冷めやらぬまま、2回戦が始まりました。
相手は山口県の錦山高校。
南雲の蒐集した情報によりますと、3年が3人、2年が2人のチームで、様々なタイプの選手がいて対戦の相性も予想が難しいとのこと。
中でもポイントゲッターは78キロ超級で個人戦2年連続県2位になったと言う堂本と言う選手。
勝ち抜き戦である以上、どうもとを止めない限り勝ちはない……!
二回戦は一層厳しい戦いになりそうです!!

試合終了の瞬間、未知は畳の上に転がり、天井を見上げていました。
呼吸は荒く、汗もびっしょり。
審判に促され、開始腺に戻ると……優勢勝ちの名乗りを受けるのです!!
未知は錦山の先鋒と次鋒を相次いで撃破!
未知自身は一本で勝てなかったことに心残りがあるようですが、そんなことは関係のない大活躍と言っていいでしょう!
ですがここで錦山高校の中堅……堂本が登場してしまいます!
見るからにただものではない雰囲気を持っている堂本。
2戦、それも時間いっぱい戦い抜いた未知の体力も消耗している今、苦戦は必至でしょう。
ですが勢いに乗っている未知ならばひょっとして……?

と、うまくはいきませんでした。
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その圧倒的なフィジカルの差もあり、未知はあえなく一本負け。
残念な結果となりましたが、未知は堂本の見事な一本に、かっこいいと言う称賛の言葉を投げかけてみたり。
彼女自身のショックはさほどでもないでしょうが、好調の未知が止められたことに動揺してしまっているのが早苗です。
ガチガチでかみかみで、未知もさすがにバテてたし、まだこっちがリードしてるし、次で止めればいいんだよね?次は……
と、自分が次鋒であることも忘れるほど追い詰められてしまっていました。
試合場に向かう早苗。
未知はも、わりー、もう一発行きたかったんだけど、といつもの調子で謝ってくるのですが、早苗もまたある意味いつも通りで、なな何言ってんの、ささ最高の滑り出しだよよよ、と緊張もろだしの返答をするのでした。
が、未知はそこで早苗の手にタッチし、後は任せた、ネオ早苗!と激励。
そう、今の早苗は「いつも通り」の早苗ではないのです。
未知や永遠たちと練習を重ね、一層強くなった「ネオ早苗」なのです!
私だってやれる!!
その両目にしっかりとした光を宿し、早苗、いや、ネオ早苗は試合に臨むのです!!

ですがそう簡単に物事は進みません。
残り2分となったところで、
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早苗は堂本に技ありを取られてしまいます。
思い知ったのは、堂本の実力。
見るからに重量級と言うビジュアルをしている堂本ですが、その見た目通りの圧力に加え、圧倒的な運動量も持ち合わせています。
早苗はもう自分がどっちを向いているかもわからないほどに振り回され続け、まともに技を仕掛けることすらできないのです。
そうなると審判も見逃しません。早苗は指導を与えられてしまいました。
技を出さずに消極的な柔道をしていると出される始動。
これが三つになりますと、反則負けになってしまいます。
このままではすぐ三つ溜まってしまうかも……
追い詰められた早苗は、苦し紛れの巴投げ。
タイミングも下手くそで全然効かない、と堂本は余裕で耐えた……かと思いきや、実はこの巴投げは苦し紛れの物ではなく、寝技に引き込むための物だったのです!!
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ですが、寝技の方が体格の差は大きく影響するもの。
普通ならばここで寝技には行きづらいところでしょうが……
その気なら受けて立ってやる、と意気込む堂本でしたが、攻めあぐねてしまい、待てが入ります。
仕切り直して再スタートすると、またまた二人は寝技での攻防に。
今までは余裕があった堂本ですが、そこで初めて厄介さを感じたようです。
この子、寝技の方が手足の連動に無駄がなくてうまいかも。
寝技なら指導が来ないから、得意な領域でしのぎ続けて時間稼ぎするつもりね。
確かに寝技ならば、凌ぐだけでも大丈夫。
フルタイム粘って、勝てないまでも相手の体力を削る作戦なのでしょうか。
ですが堂本は、その判断を公開させてやる!とのしかかってくるのです!!
それでも凌いでいく早苗!!
早苗なんかはいつ早苗が抑え込まれてしまうか、絞められてしまうか、ハラハラしています。
相手チームも残り時間は少ないから無理に付き合わなくていい、とアドバイスを飛ばし……
このまま時間がたつのを待つばかり、と思っていたのでしょう。
……未知と、早苗以外は!!
以前練習中に、早苗は未知にこんなことを行っていました。
私、寝技大好き。
未知が教えてくれたんだよ、立ち技は結局センスに左右されるけど寝技は努力の量が成長に比例する。
頑張った分だけちゃんと強くなるって。
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……早苗は最初から、時間切れなど狙っていません。
最初からずっと、本気で勝つつもりなのです!!
一瞬の隙を付き、早苗は……とうとう堂本を抑え込んだのでした!!


と言うわけで、ネオ早苗の活躍が描かれる本作。
5人になった柔道部ですが、3年生である姫野が参加できる大海はこの金鷲旗のみ。
一日でも長く、一閃でも長く5人で柔道をするためには、負けるわけにはいきません!!
勢いに乗ることができれば果てしない力が発揮できる未知、そして寝技に道を見出しつつある早苗。
そこに忘れ物を取りに来た姫野と、試合には出させてもらえないものの、サポート役としてフル稼働している南雲、そしてエースとして大将に控える永遠、それぞれの想いと戦いが描かれるのです!!

未知を中心とした青春群像劇的な立ち上がりだった本作ですが、この金鷲旗編から完全なスポーツ漫画として動き出しました。
柔道漫画を描く力に関しては疑いようのない村岡先生ですから、その試合は手に汗握る見どころ満載のものとなっています。
そしてなにより、そこに未知を中心に奮い立ち、奮闘していくキャラクターのいきいきとした姿が咥加えられているのが本作の最大の魅力!
今巻でも青葉西の面々だけではない、他の学校の選手や、それ以外の人物のドラマも描かれて……!
未知達の試合とともに、それぞれのドラマにも注目必至ですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!