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今回紹介いたしますのはこちら。

「バビロンまでは何光年?」 道満晴明先生 

秋田書店さんのヤングチャンピオン烈コミックスより刊行です。


さて、ショートコミックの名手、道満先生の最新作となる本作。
本作もやはりショートコミックでして、道満先生らしい独自の味わいがたっぷり堪能できる作品となっています!



広大な宇宙を行く宇宙船。
バブ、ジャンクヒープ、ホッパーの三人がある場所を目指して長い旅をしていました。
ですが……バブの様子が変です。
後部座席に横たわり、是枝ぜえと荒い息を付きながら、次の星はまだかとホッパーたちをせっついております。
もうちょいガマンしてよ、ここからだといくつか候補の星があるけどどこにする?
ホッパーとジャンクがバブにそう尋ね返しますと、バブは向くりと起き上がって答えます。
女だ、一番いい女がいる星へ!

惑星ネルソンは虫型の宇宙人が暮らす星。
情が深く掘れやすい性質ながら、交尾の後オスを食べる習性があるため保留。
次の候補、惑星ソリテスはケイ素生命体、鉱物型の宇宙人の星。
男女関係にはかなりオープンな性質らしく、そのあたりはバブの望むところなのですが……その長長命な寿命ゆえ、一回の関係に3万から5万年かけるとのことで、こちらも保留となりました。
最後に出てきたのは惑星ベルトラン。
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バブに比較的近い人型生命体で、おつむが軽く男女関係にも非常に積極的とのことで……バブは一も二もなくベルトランを選ぶのでした!!

ついてみると、そこにいたのは確かに男女関係に積極的で、バブに近い形の住民が暮らしております。
……が。
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平均身長はおよそ1600メートル、とてもじゃありませんが男女の関係を営むのは難しそう……
あげくの果てにアイドリング状態にしてあったホッパーの宇宙船を大人のおもちゃだと勘違いして、早速使ってしまうなど……もうさんざんです。
結局バブの欲求は満たされず、宇宙船がびしょびしょになり、中に入りこんでしまっていた「毛」にバブが絡まってしまうだけの結果になってしまうのでした……

それでも女性を求めるバブ。
とある星で、そう言った欲求に応えるお店を訪ねることにします。
そのお店の営業トークの中で、出身の星を訪ねられたバブは、一言こう答えました。
「地球」。
聞いたことない星だ、というお相手の女性宇宙人ですが……
そんなトークの最中でも、バブは彼女の豊かなおむ稲が気になり、すぐさま行為に及ぼうとしだしました!!
お相手の彼女も、しょうがないなぁとさっそく応じてくれるのです。
が、そのサービスはバブが思い描いていたものとは違いました。
中に入って構わない、とお尻を向けてくる彼女。
そこには「入口」がありまして……
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おじゃまします、文字通り彼女の中に入っていきますと、なんだか意外とくつろげる感じの部屋になっていました。
彼女の胎内は上位次元に繋がっていて、次元も空間も超越して好きな場所を見ることができるのだとか。
好きな場所や好きな時間と言っても、実はバブは記憶喪失の身。
見たい場面と言ってもピンと来ないわけですが……
じゃあちょっと荒療治で、と彼女がバブの頭に吸い付いて、記憶の中から映像を映し出してくれたのです!!
部屋の中のモニター的なところに映し出されのは……地球。
そして、彼の故郷であるイングランドがアップになっていきました。
次にアップになっていったのは……日本列島?
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あそこは……確か俺は、あそこで……
うっすらと何かを思い出し、涙がこぼれ始めるバブ。
このままいけば彼の失った記憶の全てを取り戻せる、かもしれないのですが、記憶のすいだしをしている彼女の方が限界を迎えてしまいました。
そこでバブは体内から排出されてしまい、思わぬ記憶回復のチャンスは終わってしまうのです。

宇宙船に戻り、ジャンクに感想を求められるバブ。
思ってたのと違ったけど悪くはなかった、と答えます。
するとホッパーはしたり顔で、そーだろ、ここは憩いの星と呼ばれてて、旅に憑かれた旅行者がよく立ち寄るんだ、と言いました。
じゃあ旅を再開するか、と宇宙船に乗り込む三人。
バブがそこで、俺少し記憶が戻ったかも、とつぶやきますと、ホッパーは嬉しそう。
ホントに?地球の話聞かせてよ!
そうにこにこするホッパーに、バブは言うのです。
ああ、いいよ。
どうせ時間は腐るほどあるんだ。

バブの生まれ故郷、地球はもうありません。
地球最後の生き残り、バブは祖失われる寸前である種を保存しようという本能からか、女性を求めまくっているのです。
女性を求め、記憶を求め、地球の情報を求めて……全宇宙の記憶が記されている「アーカーシャ」に向かう旅をする三人。
宇宙の中心にあると言うアーカーシャへの、永い長い旅路はまだまだ続くのです。



と言うわけで、バブ達三人の旅を描いていく本作。
人間のバブ、機械生命体のジャンク、小さなマスコット的なキャラであるホッパーの三人で宇宙を旅する……某エモンへのオマージュが感じられまくる本作。
まあこちらは道満先生らしい、大変お下品な味付けがされているわけですが!
旅の目的は子孫を残すこととバブの記憶の回復。
後者に関してはアーカーシャという明確な目的があるため、そこに向かう道すがら女性を求めまくると言うわけです
バブは地球人類の種を残すことができるのか。
アーカーシャで記憶は完全に戻るのか?
そんなお話となる……のが普通の漫画でしょう!
ですがそこは流石の道満先生、どんどんと思いもよらない展開を見せてくださいます!!
淡々と、シュールだったりお下品だったりするギャグを織り交ぜながら、ショッキングな展開や予想を超える意外な展開、そしてその展開につなぐための様々な伏線を描いていく……
そして迎える結末は、思わずニヤリとしてしまう流石のフィナーレとなっているのです!

全1巻で、あちこちより道をするお話なのに読み終わってみるといらない話の無いことがわかる本作。
1冊の中にたっぷりしっかり道満先生らしい味わいのつまった、大充実の作品となっているのです!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!