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今回紹介いたしますのはこちら。

「咲宮センパイの弓日」第1巻 天野茶玖先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


天野先生は18年にスペリオールでデビューした新人の漫画家さんです。
18年に読み切りとして本作を発表後、好評を受け19年より連載化。
デビュー作がそのまま初連載作となり、初単行本化作品となったわけです!

そんな本作は、とある少女の日常と、その間に行われるバイト風景を描いていくコメディとなっています。
謎多き咲宮センパイのバイトとは一体……!?


鼻艶全てを的中させる咲宮センパイ。
その神懸った技術は、もはやだれが見てもただただ感嘆するしかないレベルです。
そんな彼女に憧れる二人の後輩が、思い切って声をかけてみることにしたようです。
今日の射法素晴らしかったです、感動しました!
私たちセンパイみたいにうまくなりたいんです、今度お時間ある時に私たちの射形を見ていただけませんか!?
深々と頭を下げてお願いする後輩たち。
咲宮センパイはあっさりと私でよければいいよ、と受け入れるのですが、その代わりに付き合ってほしい場所がある、と交換条件を持ち掛けてきたのです。
バイトで渋谷に行かなきゃいけないんだけど、一度も言ったことがないから不安で。
良かったら一緒に来てくれないかな?
憧れの先輩からのそんなお願い、断る理由がありません。
早速翌日、三人は渋谷に行くため駅で待ち合わせをするのでした。

ふたりが先について待っておりますと、そこに弓を担いだ先輩が現れました。
咲宮センパイは自分が誘ったから電車代だすよ、と切符売場へ向かいます。
……が、路線図を見ても渋谷が乗っていない、と立ち尽くすばかり。
乗り換えがあるので、券売機の方でこう選択して……と結局後輩に教わって切符を買うことになるのですが、咲宮センパイははずかしがるどころか、さすが頼りになる!と後輩たちに大感謝!
これぐらいできて当たり前です……とあっけにとられる後輩に先立って、じゃあ行こう!とホームに向かおうとするのですが、なぜか切符をICカードのようにタッチして改札を通ろうとして、閉じてきたゲートにつっこんで倒れてしまう始末……
流石に恥ずかしそうに、いつもカードで乗ってるから、とぺろりと舌を出す咲宮センパイ。
後輩は、弓を引いている時の先輩とは別人みたいだ、とちょっとびっくりするのですが……

電車内で後輩は、そもそも何で弓をもってきているのかを尋ねます。
バイトで使う、と言うのですが……弓を使うバイトとは何でしょうか。
弓道講師的なものかと言うとそうではなく、なんと咲宮センパイ、
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殺しのツールよ、大きな声では言えないけど、実は私殺し屋のバイトをしているの、となんかすごいことを言いだしました。
大きな声では言えないと言う割に、普通のボリュームで語ったその言葉。
冗談としか思えないのですが、後輩二人は真剣な顔の先輩にツッコむに突っ込めないのでした。

咲宮センパイの持って来ていたバイト先の地図は、何やら書状のようなフルめいた物だったため、後輩たちがそこに書いてあった住所を頼りにアプリで検索することに。
その道中も、またホームから出る時にゲートで転んでみたり、行く先行く先でスイーツを食べまくってみたりと、意外すぎる先輩の一面が見えまくるのです。
数時間前までは雲の上の人のように思ってたのに、と頭を抱える後輩ですが……
そんな後輩の気持ちも知らず、咲宮センパイはまた大量のサンドイッチなんかを買ってきてぱくつくのでした。

そうこうしている間に、時間は3時55分。
バイトの時間は4時からとのことで……もう時間ぎりぎりです!!
慌ててダッシュで現場に向かう三人d巣が、その最中もなぜか関宮センパイはスイーツのお店を見つけては購入しようとして……
後輩二人が何とかそれを引きはがし、バイトの住所へと連れて行きますと、なんとそこは
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ラブホテル!?
間違って検索してしまったのかとうろたえる後輩ですが、咲宮センパイは間違いない、すぐ終わるから待ってて、と平気な顔をして中に入っていって……!!
先輩のバイトって何なの?とあっけにとられ、とにかく待つしかない二人なのでした。

そこに待っていたのは、背広の男性。
その男性と何やら軽くもめながら、咲宮センパイは旧胴着に着替え、弓を構えます。
ホテルの窓から見えるのは、向かいにある立体駐車場でした。
その立体駐車場に止めた車のドアが開き、そこから一人の男性が出てきたその瞬間でした!
咲宮センパイが弓を引くと結び付けられた状態の矢が発射され、その勢いで先端についていた銃弾のような部分だけが射出!!
そしてその銃弾は吸い込まれるようにその男性のこめかみに直撃し……あっさりと、「バイト」は終わるのです。
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お命ちょうだいいたしました。
そう言って頭を下げる咲宮センパイ。
先輩のアルバイトは、本当に殺し屋だったのです!!

ホテルから出てきた咲宮センパイを待っていた後輩は、ショックを隠し切れません。
咲宮センパイの服が裏返しになっていたことに気が付いたからです。
と言う事はつまり服を脱いでいたと言う事で、こんな場所で服を脱いでいたと言う事はつまり……!!
咲宮センパイはそんな後輩に、こう声をかけるのです。
仕事について詳しいことは言えないの、ごめんね。
ただ、これだけは言わせて。
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落ち込んだりもしたけれど、私はげんきです。
……どこかで聞いたことのある、謎のフレーズ……
一体咲宮センパイはどんなバイトをしているのか?
後輩たちがそれを知る日は、おそらくないのでしょう……!!



というわけで、咲宮センパイの日常を描いていく本作。
この後も後輩たちとともにいろいろなところに行きながら、バイトをこなしていくことになります。
本作の最大の見どころはやはり、バイト中のものすごい有能な姿と、日常でのずれまくった典年ぶりのギャップででしょう。
ザ・天然とでも言うべき様々な反応を見せる咲宮センパイは、日常生活でも単なる天然とは違うちょっと変わった部分を見せてくれます。
そしていざ仕事となるとものすごい「仕事人」の顔を店、いつもの天然ぶりはどこへやらと言うかっこよさを披露。
そんな二つの顔を楽しむ作品となっているわけです!

さらにこの咲宮センパイには予想以上にいろいろな事情があるようで。
今巻でも咲宮センパイの昔のエピソードが語られるお話があるのですが、そちらもなかなか興味深いお話になっております!!
コメディであり、殺し屋のアクションであり、さらに本作ならではのシリアスさの垣間見えるドラマもある、そんな贅沢な作品なのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!