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今回紹介いたしますのはこちら。

「スキップとローファー」第2巻 高松美咲先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。


さて、過疎のすすむ田舎町から、 目指すは官僚とばかりに東京の新学校へ進学したみつみ。
生まれ育った環境の違うみつみは東京の学校になかなか溶け込めない……かと思われたものの、みつみの独特なキャラでイケメン男子の聡介をはじめとしたクラスの面々と仲良くなることができました。
今日はみつみの周りでどんなことが巻き起こるのでしょうか!?



なんだかんだと白熱したクラスマッチも終わり、いよいよ梅雨の季節となりました。
連日降り注ぐ雨はみつみの気分も下げていく……かと思いきや、友人のふみちゃんからのとんでもない報告でそれどころではなくなります!
なんとふみちゃん、
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好きな人ができた、とのこと!!
思わずむせてしまうほど驚くみつみですが、まあめでたいことには間違いありません。
そしてみつみももちろんお年頃の女子ですから、当然興味がわいてしまうわけで……ふみちゃんに尋ねるのです。
恋って……こう、どういう、どんな感じ?
そんなふわっとしたみつみの問いかけに、ふみちゃんはしっかりと答えてくれました。
自分の場合は、と前置きし……
楽しい人だな、思っているうちに、なんとなく目で追うようになっていた。
そのうち会えると思ったら学校に行くのも楽しみになっていて、友達に会いに来たふりをして彼のクラスに行くようになった。
でもいざ話せるようになると緊張してしまい、何を言ったら正解なのかと考えすぎて逃げたくなるとか、楽しいけど大変だ……

ふみちゃんのそんな話を聞くと、みつみはなんだか感慨深くなってしまます。
ふみちゃんが恋、なんかさみしいような……
会いたいのに逃げたい、話したいのに言葉に詰まる。
なんてフクザツな、いつか私も恋したとして、それが恋だって認識できるんだろうか……
教室言ったらみんなに聞いてみよう、などと考えながら歩いていたみつみですが、またまたそれどころではないイベントが迫っていることに気が付きました。
今日は、前期期末試験の出題範囲の発表の日!!
自分の夢の為にも、とにかく試験は頑張らなければいけないみつみ。
気を取り直して、学校へ向かうのです!!

クラスのほとんどが迫り来るテストのプレッシャーにやられている中、みつみはがぜんやる気をたぎらせておりました。前回の中間テストでは、最初のテストから少し順位を上げて9位。
進学校ですから周りも優秀なので、順位にこだわって無理をするのはよくないですが……
目標であるT大を狙うのならばやはり一桁台はキープしたい、とみつみは考えます。
と、クラスメイトが落ち込むものと燃え上がるものに分かれる中、そのどちらでもなかったのが聡介でした。
今日は風邪でお休みとの事。
こんな時に風邪なんてかわいそうに、テスト範囲を一刻も早く知りたいかもしれない、とみつみは気を聞かせてメッセージを送るのですが、意外に早く返信が返ってきました。
思ったより元気そう、などと思っておりますと、その返信内容は
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「起きたら完全に遅刻だもういいやってなっただけだから大丈夫だよ」というもので……
どうやら聡介、今日はサボっただけだったようです!!
中学校が聡介と一緒だったクラスメイトに聞いてみますと、彼は前々からそんな感じだったとの事。
人との約束をすっぽかしたりはしないものの、特に迷惑がかからないようなことは何も言わずに急にサボっていた、という印象だったそうです。
そういえば入学式も遅刻していましたし、思い当たる節もあるような。
すると他の女子たちは、ここぞとばかりにそのクラスメイトに、中学生にして夜な夜な遊んでたとか、他校の読モと付き合ってて他の子は相手にされなかったとか、いろいろ噂があるけどどれがほんとなの!?と色めき立って質問を投げかけ始めました。
本人に聞けないことを俺に聞くなよ、とその質問はそうする―されましたが……
そんな噂があったのか、意外とワルなのか?とみつみも気にはなってしまいました。
噂をうのみにしてはいけない、と自分に言い聞かせるみつみですが、そうはいっても気になるものは仕方が無く……
ものすごい改造バイクに乗って聡介が現れ、なんとなく学校やめる、さよなら、と去っていく……そんな夢を見てしまうのでした。

翌日も聡介の姿はありませんでした。
本当に学校に来なくなってしまったらどうしよう。
そんな不安で頭がいっぱいになってしまったみつみでしたが、お昼ごろに聡介はふらりと現れました。
低気圧で頭痛くてさ、と悪びれない聡介は、みつみにもいつもの笑顔でおはようとあいさつをしてきました。
ですが……みつみはむっと口を一文字に閉ざしたまま、ぷいとそっぽを向いてしまい……?

放課後、みつみと聡介は学級代表の仕事で少し残されることになってしまいます。
よりによって今日じゃなくてもいいのに、と口には出さないながら思ってしまうみつみですが、聡介は早速彼女のご機嫌がよろしくないことに言及してきました。
なんか怒ってる?と問いかけられたみつみは、怒ってはないけど、と前置きして、いくつか質問を返します。
本当に眠いだけで休んだの?
テスト期間は授業で大事なこと言うんだよ?
……進級できればとりあえずいい、と言うスタンスの聡介にとって、みつみの超真面目なその考えには及ばなかったようで。
そんなことだったの?よくない?べつに。
そう答えるのですが、その言葉があの夢にちょっとリンクしてしまいまして、みつみは立ち上がって、よくないよ!と声を上げてしまうのです!
自分のことテキトーはよくないし、夜遊びしてるとか言われるのだって嫌じゃん!
そうみつみが続けますと……
聡介はその表情こそ大きくは変えないものの、明らかに面白くなさそうな感じで、誰かから聞いたの?と問いかけてくるのです。
それは昨日たまたま……と言いかけた言葉を修正し、とにかく私が言いたかったのは、1年生でも期末テストは大事だし……と返すみつみなのですが、そこに聡介はこう答えました。
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それはみつみちゃんにとってでしょ。
……この言葉、はじめて聡介に会ったとき、みつみが言った言葉そのまま。
嫌味のような返しになってしまったことにはっと気が付いた聡介は、すぐに謝ろうとするのですが……
みつみはその顔を真っ赤に染め、わざとらしく終わったから私が先生のところに持って行くね、おつかれさま!とまくし立てて足早にその場を去っていくのです!!
去っていくみつみの横顔は、呼び止めるのもはばかられる雰囲気に包まれていて……
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一人残された聡介は、頭を掻いて……
あー、と、自らの失敗を悔いるのでした……



と言うわけで、みつみと聡介の間に亀裂……と言うほどではないかもしれませんが、ぎくしゃくが生まれてしまった今巻。
普通の恋愛漫画ならばこれが結構後に引きずることになるでしょうが……そこは圧倒的みつみ力を持つみつみ、今巻のうちに決着をつけてくれます!!
そしてこの事件をきっかけに、二人の関係が少しだけ、少しずつ変わっていくような気配も……!
みつみの純粋さやひたむきさが周りを変えて行く本作ですが、みつみ自身もまた変化していくようで。
今後の展開が楽しみでなりません!!

そんな事件の起こってしまったお話以外にも見どころはたくさん用意されています。
聡介の過去がちょっぴり明かされる、演劇部の兼近先輩がらみのお話や、新キャラクターの生徒会会計にして本校のミス・ストイック、高嶺先輩にみつみが師事を仰ぐお話などのゲストキャラ中心のエピソードもまたステキ。
さらにクラスマッチを巡るお話も、ちょっと辛辣な言葉が気になるクラスメイトの江頭さんの掘り下げをしながらしっかりと他の面々の見どころも用意されている注目の物語となっております!!

みつみの純粋さ、懸命さ、マイペースさ……
みつみ力と言わざるを得ないその力に学校の面々だけでなく、読者の皆さんも癒されること間違いなし!
第1巻も今巻も健在なその力は、きっとこれからもどんどん発揮されて行くはず!
物語の軸の様なものも見え始めてきた今巻ですが、これから先もきっとそんな彼女そのものを眺めるだけでも楽しめることでしょう!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!