今回紹介いたしますのはこちら。
「ゲゲゲの鬼太郎」第1巻 原作・水木しげる先生 漫画・松本しげのぶ先生
小学館さんのてんとう虫コミックススペシャルより刊行です。
松本先生は90年に小学館新人コミック大賞児童部門で佳作を受賞し、91年にコロコロコミックにてデビューを果たしたベテランの漫画家さんです。
代表作は今もなおシリーズが続いている大ヒット作「デュエル・マスターズ」シリーズ。
実は水木先生の大ファンだったと言う松本先生、なんと「デュエル・マスターズ」と本作のダブル連載にチャレンジするのです!!
学校の裏山の森の奥深く。
そこにたたずむ古びたポストに手紙を入れると、妖怪がでる……!!
そんな噂を試しに行こうと、ゆうたは友達に声をかけられていました。
だめだよやめようよ、たたりがあるよ。
ゆうたはそう言っていやがったものの、友達の一平と貧太はまったく聞く耳を持たず。
ポストなんてあるわけないし、妖怪もいない、全部作り話だ。
そう言ってはばからない二人だったのですが……
本当に古びたポストが本当にそこにあったのです!!
流石に驚く一平でしたが、二人の友達がいる手前引き下がるわけにもいきません。
そっとポストに手紙を入れると……にわかにカラスが騒ぎ始めました。
ただのカラスかと安堵する一平ですが……カラスが騒ぎ始めたのは、ただの偶然ではありませんでした。
一平と貧太の後ろには、無数の「なにか」が目を光らせているではありませんか!!
一平と貧太は気がついていないようですが、ばっちり見てしまったゆうたはいてもたってもいられず……
慌ててその場から逃げ出すのですが、そんなゆうたを妖怪たちが追いかけてくのです!
ようかいに、なんかようかい?
そんなダジャレとともに追いかけてくる妖怪たちから逃げようとするゆうた。
必死で逃げていると、その先に子供が歩いているのが見えてきました。
慌てて助けを求めながらも、君も逃げなきゃ危ないよ、と注意を促すことも忘れないゆうた。
妖怪がでたんだ、ポストに手紙を入れたら……
そう言うと、その少年は振り返りながらこう言ったのです。
ポストに手紙を?
ようかいになんかようかい?と!!そのダジャレで気が抜けてしまったのでしょうか、君までそんなギャグを、正直そのダジャレつまんない、と憂太はその場に腰を掛けてしまいました。
ですが少年は言うのです。
お前、そんなとこに座ったら
食われるぞ。ゆうたが腰かけたのは、巨大な顔だけの妖怪、つるべおとしの舌だったのでした!!
思わず腰を抜かしてぶっ倒れ、その拍子に頭を打って気絶してしまうゆうた……
すると妖怪たちが集まってきまして、少年を褒めそやし始めます。
凄い驚き方、流石だね、今月20人目だ!
人間を驚かすのが妖怪の仕事である、とのことなのですが……
ご満悦の表情を浮かべる少年に、苦言を呈するものが居るのです。
ひょこっと少年の髪の毛の中から出てきた、目玉に手足がついた小さな妖怪……目玉のおやじ!
目玉のおやじは、鬼太郎、やり過ぎはいかんぞと少年こと鬼太郎に注意をするのです。
とはいえきっちり怖がらせないとこの森に人間が近づいていしまう、と鬼太郎。
ここには一体何があるのでしょうか?
ゆうたが目を覚ますと……あの騒ぎが嘘のように、そこには誰もいなくなっていました。
ですが、どこからともなくゆうたを呼ぶ声が聞こえてきて。
再びゆうたはそこから脱兎のごとくにが出すのでした……
翌日から、学校に一平と貧太が来なくなってしまいました。
家にも帰っておらず、家出なのかと学校中で噂がささやかれていまして。
ゆうたは森の妖怪のせいだと先生に主張してみるのですが、やはり信じてはくれないのです。
怖がりのゆうたですが、森で友達が大変な目に遭っているかもしれないときに黙ってはいられません。
意を決して森の中に足を踏み入れますと……
森の中から、二人のゆうたを呼ぶ声が聞こえてくるのです!
声を辿って中に踏み入っていきますと……そこには、
木に姿を変えられてしまった二人が助けを求める姿があるではないですか!!そして驚き戸惑うゆうたのまえで、また一人森の中に立ち入った少女が木に変えられてしまい……!!
さらに驚くゆうたですが、そこに彼が現れたのです。
この強力な妖気、人を木にする力、こいつの正体は……
のびあがりだな!!
さっそうと現れた鬼太郎!!
鬼太郎と妖怪のびあがりの戦いが、ゆうたの前で繰り広げられることとなるのです!!
と言うわけで、松本先生の筆によって新たに生まれ変わった鬼太郎が描かれる本作。
連載誌が別冊コロコロコミックとのことで、ダジャレをはじめとしてだいぶ低年齢層向けにわかりやすく、コミカルな味付けがされている印象です。
そんなギャグ要素の強い今回の鬼太郎ですが、だからと言って鬼太郎本来の面白さが失われているわけではありません!!
決めるところでは決める鬼太郎、怖くて愉快な妖怪たち、ただ戦うだけではない妖怪とのバトル。
そんな水木先生テイストをきちんと踏襲しながらも、松本先生ならではの鬼太郎を作り上げているのです!!
さらに面白いのは、こう言った原作付き作品とは一味違う展開が行われていることでしょう。
ほしの先生による「妖怪千物語」も連載途中で鬼太郎のアニメが始まってアニメテイストを取り入れるなど、普通はアニメとタイアップ、コミカライズ的な味付けにされるのが普通。
ところがこの松本先生版は、アニメ第6期を完全に切り離した、独自のテイストで進んでいくのです!!
レギュラーともいえる猫娘をはじめとした妖怪たちも今巻の最後のお話で登場するなど、まさに我が道を行く松本先生版鬼太郎。
勿論それは水木先生が生前おっしゃられていた、原作と同じなら作る意味がないというニュアンスの言葉をしっかりと受け取ったうえでの判断です!
それでいて愛はばっちりと盛り込まれていますので、あんな妖怪やこんな妖怪が原作の風味を持ったままリニューアルして登場しまして、水木先生ファンを喜ばせてくれるわけです!
しかもこの第1巻の最後のお話には、早速あの大人気大物妖怪も出てきますし……!!
松本先生版鬼太郎、2年目も決定したアニメ版6期鬼太郎とともに目が離せませんね!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
コメント
コメント一覧 (2)
それだけに物足りない方がいるのも納得できる内容なのかもしれません。