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今回紹介いたしますのはこちら。

「バキ道」第1・2巻 板垣恵介先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、あの稀代の剣豪・宮本武蔵ととんでもない決着をつけて完結した「刃牙道」。
そのざわつきも冷めやらぬうちの「刃牙道」のラストで示唆された「相撲編」ともいえるエピソードが本作となります。
相撲と言えば現実でも総合格闘技での戦績は振るいませんし、バキシリーズ内でも名前のあるキャラは二人くらいしかおらず、「ガチで強い」と言うイメージはみなさんあまり持っていないのではないでしょうか。
ですがそこに、最強を追い求め続けてきた板垣先生が本格的にメスを入れる……!!
本作はそんな作品となるのです!!


日本書紀に記された、はるか昔の時代。
素手で牛の角をむしり取り、鉄の鉤を折り曲げて元に戻してしまうと言う剛力の持ち主、当麻蹴速と言う男がいました。
その男が時の帝に求めたのは、自分と力比べをできる相手、でした!
ですがそれだけの力を持つ者の相手など、そうそういるはずもなく。
対戦相手の選別は難航する……と思われたのですが、そこで真っ先に白羽の矢が立てられたのが、出雲に住む男……野見宿禰だったのです!

野見宿禰VS当麻蹴速。
これこそが日本最古の公式戦にして、相撲の原点と言われる戦いです。
ですが「相撲」と言ってもそのルールはいまの大相撲とは全く違います。
土俵も行事もおらず、地面に足の裏以外がついたところで決着にはなりません。
その決着は、どちらかが戦えなくなるその時!!
さらに、パンチやキック、関節技にマウントポジションでのパウンド、何でもあり。
そのうえ眼球への攻撃すら反則ではありません。
相撲と言うよりはもはや、ルール無用のデスマッチ……!
その戦いは、まず両者の蹴りから始まったとされます。
試合開始から激しい蹴りあいが行われた後は、殴り、掴み、頭突き、まさに死力を尽くす激戦が繰り広げられ……
勝負を決したのは「蹴り」でした。
皮肉にも、「蹴」速の胸に突き刺さったのは、宿禰の蹴り!!
その一撃で蹴速の肋骨は砕かれ……
宿禰の一気呵成の攻めが始まってしまうのです!!
強烈な一撃を食らい、もんどりうって地面に倒れる蹴速。
そしてそこに、宿禰はとどめの一撃を放つのです。
その一撃は
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大地を踏みしめる、さながら四股のような踏みつけ!!
この攻撃によって、蹴速の腰骨は砕け……日本最古の公式試合は、野見宿禰の勝利に終わったのです。

それから何年たったでしょうか。
数えるのも馬鹿らしいほど時間が経った現代、「彼」は現れました。
そこはお台場、クライミングのイベント会場でした。
最強最速のクライマー、スコットを招いての大規模イベントでは、彼の超人的な登頂スピードを見せつける場となる、はずでした。
ですがそこに割り込んできたのが、
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誰であろう、範馬刃牙!!
彼は、ここでスコットに勝てば、「彼」に会わせてもらう、とご老公に約束を取り付けてもらったようで。
地上最強の座を手にしたこともあるバキですから、いくら凄腕のクライマーであろうと……本気を出した彼にとって敵ではありません。
周りから見ればギリギリでの勝利でしたが、お互いの顔色、汗の吹き出し具合を見れば、実際はバキの完勝であったことがうかがい知れます。
両者はお互いを称え合う握手を交わすのですが……そこで、もう一人スコットに挑戦する男が現れたのです!!
その男は……
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身長2メートル、体重百数十キロは越えようかという大男!!
彼はクライミングの足場の一つに手をかけると……一回振り返り、バキ達に微笑みかけ……
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ブン、と自らの体を上へと放り上げたのです!!
自らの体を、自ら上方へ放り上げた……?
そして、巨大な壁の真ん中ほどでもう一度足場に手をかけ、再び鋭い引き付けで上方へ!!
最後に三度目の足場からの上昇で……彼は、思い切りひさしのようにせり出している天板に激突してしまうではありませんか!!
あまりの自分の上昇力を見誤ったのでしょうか。
男はそのまま地面に落下……するのですが、まるで猫が地面に着地するかのように、重力を感じさせないふわりとした着地を見せるのです。
「二歩」で行けると思ったんだが……
そう呟く大男に、バキは話しかけました。
やれやれ……完全に野見さんだ。
野見さん、だよね。
……そう。
この男こそが、2000年の時を越えて現代に現れた……「二代目」野見宿禰なのです!!



と言うわけで、今度は歴史上の、それも存在すら怪しい伝説の存在である野見宿禰の二代目との戦いが繰り広げられることとなる本作。
とにかく実戦で強いというイメージのない相撲ではありますが、打たれる、と言う覚悟をもって突進してくる200キロ近い巨体を止めることができるのか?と言う考え方をすると確かに脅威なのは間違いありません。
開幕10秒の間ならば、やりたい放題できるのではないか?
そんな考えのもとに板垣先生は本シリーズの幕を開けたそうなのですが……
リアルでは残念ながら、時間を稼がれて体力を奪われ、じり貧になって負けると言う力士の姿ばかりがクローズアップされてしまっております。
そこでこの宿禰の登場と言うわけ!!
勿論現役の上位力士がそのまま戦っても強いわけですが、総合格闘技と言う枠にはまれば武器が少なくて決め手に欠くのは疑いようもありません。
ですが宿禰は、「大相撲」の力士ではなく。
それだからこそ、かつての古代相撲のような、大相撲とは違った相撲の強さを見せることができるのです!!

この同時発売となった1・2巻では、とにかく相撲の凄さと、宿禰の規格外ぶりを見せつけるための攻勢になっております。
第2巻では早速宿禰VSオリバと言う大型カードも組まれまして、そこで早くも宿禰の強さがつまびらかに。
さらにもう二度と出ることはないかと思われていた、バキシリーズの2名の名前のある力士のうちの一人が再登場!!
お得意の時事ネタもちょっぴり絡めた味わいのお話も展開していくのです!!
さらにあの大関まで登場し……?!
バキファン、そして相撲ファン必見の新シリーズ、「刃牙道」や「バキ」での武器アリ上等の戦いはちょっとな、と言う方も安心の、肉弾戦が楽しめるシリーズとなりそうです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!