jg0
今回紹介いたしますのはこちら。

「事情を知らない転校生がグイグイくる。」第2巻 川村拓先生 

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスJOKERより刊行です。


さて、 その目つきの悪さから、クラスで「死神」とあだ名をつけられて無視されていた西村さん。
そんな彼女に、突然何も知らない転校生、高田君がまとわりつき、西村さんはかっこいい、それに可愛い、と何かにつけてかまってくれるようになりました。
そんな高田君のとんでもないポジティブぶりに、西村さん自身も徐々に変わり始めて……?



夏休み、おばあちゃんの家に来ている西村さん。
大好きなおばあちゃんに会えるのはとても嬉しいことのはずですが、西村さんは高田君に会えないことが心のどこかに引っかかってしまっているようで、いつも来ている時に感じたことのなかった「退屈さ」を感じてしまっていました。
ですがなんという運命のいたずらなのでしょうか、こちらでも高田君と会える状況になってしまいます!
こちらでも高田君と遊べることになった西村さんは、嬉しいやら恥ずかしいやら。
ともかく学校に通っている時と同じように高田君といつも一緒に行動するようになるのです、が……?

今日は、毎年恒例西村さんのお墓参りに高田君が付きあうことになりました。
お墓参りなんて子供にとって面白いものではないでしょうが、高田君はそんな様子をおくびにも出しません。
西村さんと一緒ならどこに行っても楽しい、西村さんの死神パワーは毎年お墓参りに来ていることで培われたのかもしれない、などといつもの調子で楽しんでいるのです。
更に、一人で完璧にお墓までの道を憶えている西村さんを、自分なんて自分ちのお墓にどうやっていくのかも覚えていない、西村さんはすごいな、と持ち上げるのも忘れません!
いつもの褒め褒め攻勢に照れながらも、花を取り換え、お線香をあげ、ついでに仏前ではお線香を域で吹き消さないといったルールまで教える西村さん。
そんな様子を見て、すごいね、本当に全部やり方を知ってるんだね、と高田君の褒めが再び始まります。
西村さんは、毎年来てるから、でもちゃんとしたマナーを守れているかはわからないよ、と謙遜し……
これもお母さんが好きだったから、緑茶ではなくジャスミン茶をあげてるし、と自分竜のやり方も混ざっていることを明かすのです。
……そこで、高田君も引っかかったようです。
お母さんが好きだったから。
ということは……
jg1
私お母さんを亡くしてて、今日はお母さんのお墓参りに来たの。
西村さんは、そういったのです。

クラスのみんなも知らないというその事実。
流石の高田君もあわてるのですが、物心つく前にお母さんは亡くなられたという事もあり、今はもう全然さみしくない、と気を使わせないようにフォローする西村さん。
気を取り直し、高田君は西村さんのお母さんってどんな人だったの?と尋ねますと、西村さんは自分と違って綺麗な人だったみたい、と説明します。
高田君は西村さんだってきれいじゃん、今日の服装も超似合ってる、とまた臆面もなく平然とイケメン台詞!!
顔を真っ赤にする西村さん、高田君にこう答えました。
お母さんはね、私が生まれてすぐ亡くなったから、入れ替わりみたいなんだけど……
お父さんとかおばあちゃんがお母さんのこといっぱい話してくれるから、お母さんのこといっぱい知ってるんだよ。
入れ替わりでも、お母さんとつながってる感じがするんだよ……!
だから、ありがとう高田君。
高田君のおかげで大好きなお母さんに、はじめてお友達を紹介できた。
ありがとう。
西村さんの心の底から湧き出た、素直な感謝の気持ち。
それを聞いた高田君は……一気に顔色を青ざめさせました。
「お母さんを亡くしてて」「入れ替わりみたいな感じなんだけど」という、西村さんの言葉。
そして……「死神」と言う、あだ名……
jg2
もしかして僕、いまのいままで、西村さんに酷いこと言ってた……?
西村さん自身は、全くそんなことを考えてすらいなかったのでしょう。
高田君が今までさんざん言ってきたことを翻し、突然そう言いだしたことに西村さんは戸惑いを隠せません。
高田君は……
僕は、西村さんの友達なのに……!!
そう絞り出すかのように言ったかと思うと、
jg3
泣きだしてしまったのです……
西村さんは、高田君に言いました。
私、高田くんに酷いことなんて言われてないよ、そんなこと一度も思ったことないよ?
そう言っても、高田君が泣き止むことはありません。
なので……西村さんは、高田君と手をつないで帰りました。
少しだけ遠回りの道を選んで、街頭の灯りを辿るように、迷わないように。
帰り道を見失わないように……
jg4
そしてそれから高田君は……西村さんを訪ねて来なくなってしまったのでした。



と言うわけで、思いがけない展開が待っていた本作。
今まで良くも悪くもポジティブ一辺倒だった高田君ですが、ここに来てとうとう自分がやって来ていたことが人を傷つけてしまう事だったかもしれない、と言う事に気が付きました。
実際のところ西村さんはそんなことを露ほども考えていなかったようですが……
この事件が起こした高田君のショックは多大なものだったようです。
あれだけかっこいい、可愛いと褒めそやしていた西村さんのところに出向かないくらいなのですから。
一体この後、二人の関係はどうなってしまうのでしょうか。
勿論本作ですから、このまま二人が疎遠になったままで終わる、などということがあるはずもないのですが……
高田君が、西村さんが、この後どんな行動を取るのか?
本作らしい暖かな感情が降り注ぐその展開、ぜひとも皆様の目でご確認いただきたいところです!!

そんな驚きの展開が待っているエピソードの他にも、見どころは盛りだくさん。
ふたりでプールに行ってみたり、風邪をひいた高田君のお見舞いに行ってみたり、写真撮影に勤しんでみたり……
どれをとっても本作ならではのじんわりとくるやさしさに満ち満ちたお話ばかりで、読めばきっと心が洗われるような気分になること間違いなし!
事件が起きても変わらない、心豊かになるお話が楽しめるのです!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!