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今回紹介いたしますのはこちら。

「遺書、公開。」第3巻 陽東太郎先生 

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスJOKERより刊行です。


さて、突如として自らその命を絶った少女、姫山椿。
そんな彼女の死後に前触れなくクラス全員に送られてきた彼女の遺書には、衝撃的な事実が暗示されている文面が記されていました。
彼女の自殺の原因は何なのか?
クラスのパワーバランスを示す謎のランキング「序列」も絡み、事態はみるみると混迷していって……



序列2位にして、序列1位の椿の恋人で会った赤崎。
遺書公開によって、彼の思いもよらない本性が発かれることとなりました。
赤崎の行動が椿を自殺にまで追い込んだ原因なのではないか?
そんな空気もできつつあったのですが、赤崎の真実を椿が知ったのは彼女が亡くなる大分前。
それだけが原因と言うには間が空きすぎているような気もします。
とはいえ、赤崎が行った遺書の偽造と言うのはかなり印象が良くありません。
それは赤崎自身の印象を下げると言うだけではなく、この後、そして今まで行われてきた遺書の公開に意味がなくなってしまうのではないか、と言う点においてもです。
ですがそんな時に声を上げたのが、千蔭でした。
確かにこの遺書を偽造するのは簡単だ、もしかしたら赤崎以外にもやってるやつはいるかもしれない。
ただ、本物の遺書を絶対に他人に見られてないって自身があるなら、ならばだ。
最初自分たちは油断していて、この遺書に対して無警戒だった。
見つけたその場でひろげてたやつもいるし、友達と見せ合ったやつだっているだろう。
金曜日には、必ず遺書を持ってきている。
それを休み時間や移動中、トイレや人と話している間……誰にも見られていないと確信できるか?
クラスのほとんどと仲の良かった姫山椿の遺書を偽造すると言う事は、30人分の目を欺く必要があると言う事。
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それができると思うなら偽造すればいい、ばれたら怪しいどころじゃすまないと思うが。
……一気に静まり返る教室。
そして次に、赤崎が口を開きました。
俺が椿に酷いことをしたからって、自殺の原因とは限らないだろう。
俺以上に酷いことしたやつがいないとは限らないんだから。
そして赤崎は、自分に食ってかかってきている津島も怪しいんじゃないかと言いだします。
自分の遺書も公開していないくせに、誰に対してもそいつが悪いんじゃないかと決めつけ過ぎる、それは他人のせいにして終わらせてしまいたい裏返しだろう、と。
怒りに震える津島は、だったら俺が読んでやると赤崎の椅子を蹴飛ばして壇上に向かいます。
つまりそれは……結局遺書の公開は続行する、と言う事になるわけですが。

彼氏だからこそ問題を抱えている可能性が高い。
赤崎に対して廿日市が言った言葉ですが、それはまた「親友」に対してもいえることではないだろうか。
そもそも公開に参加したくないと言っているやつもいるし、疑わしい人物はまだまだいる……
自らに疑いの目を向けられた赤崎がつぶやくように言ったその言葉は、クラスをさらに疑心暗鬼に叩き落としていき……

その微妙な空気の中で読み上げられた津島の遺書。
津島とは1年の時から同じクラスだった、「ヤマオカリョウ」のいつもをよく貸してくれてありがとう。
ヤマオカリョウのことになると津島は夢中になってしまって恥ずかしがっていたが、周りが見えなくなるくらい好きになれるなんてすごいと思う。
もう自分は新曲が効けなくなるけど、津島は愛し続けてくれ。
そんな特に引っかかることのないようなことでした。
が、そこに引っかかりを感じるものも現れます。
姫川椿と親交の深かった瑞樹が言うには、芸能人や作家などの直接の面識がない人に対して、彼女は絶対に「さん」をつけていた、と言うのです。
その癖が見えないその遺書は、本当に椿の遺書なのか?
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……津島が偽造したのではないか?と……!!
蝋梅しながら、俺は何もしてない、とうめく津島。
ですがそこで、序列21位の南條が手を挙げ、自分の遺書にも「さん」のつけられていない作家の名前がある、と声をあげたのです。
しかし姫山椿は確実に、そう言った面識のないものに対して「さん」付けをしていた、と言う方の主張にも賛同するものが現れて……
混乱する教室内。
そこで、一人の男が思いがけないことを言い始めたのです。
序列6位の沖。
彼の考え方はこうでした。
最初からこの遺書は全部、
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姫山椿の書いたものではなかった。



と言うわけで、思いがけない展開を迎えた本作。
今まで遺書が姫山椿の物であるという前提で進めていた公開が、揺るぎだしてしまいました。
読者はともかくとして、クラスの者達はみんなそう信じていたわけですから、受けた衝撃は大きいでしょう。
……遺書を突き付ける犯人がいたとしたら、その人物を除いて、ですが。
ですがそうなるとまた別の問題も持ち上がってきます。
姫山椿の交友関係を、ほぼすべて掴んでいる誰かがいる、と言う事なのですから!!
一体その人物は何者で、何が目的なのか。
そしてその人物、一人ではない可能性もあるかもしれません!
そんな疑念がわき達、クラスの中にはますます疑心暗鬼の渦が巻いていくわけですが……
その渦の渦中には、思いもよらない人物が関与しているようで……!!

そして物語はさらなる展開を迎えます。
序列、そして姫山椿の遺書。
思いがけない事実が明かされて物語が動いていき……この後も衝撃の連続が待っています!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!