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今回紹介いたしますのはこちら。

「錦糸町ナイトサバイブ」第1巻 松田舞先生

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。


松田先生は16年に四季賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
18年より連載が始まった本作が松田先生の初連載作のようで、めでたく単行本刊行となりました。

そんな松田先生の描く本作、そのタイトルから連想されるように、錦糸町の夜を舞台に巻き起こる出来事を描いていく作品です。
ですが、そのハードそうなタイトルとは裏腹に、実際行われるのはハードさのかけらもないような出来事だったり……!?


錦糸町にやって来た小夏。
はるばる秋田から上京してきた彼女の目的は……夜の女王になる事!!
夜の街で羽ばたく蝶になるため、さっそく夜のお店に面接に向かうのでした!!

ですが結果は全敗。
なにせ小夏、見た目が幼すぎるのです。
小学生と見間違えられるほどの小柄で童顔の彼女、正真正銘の20歳なのですが、こう言ったお店で求められるのは大人な感じの女性。
ちょっと……いや、だいぶマニア向けな彼女は取り付く島もなくあしらわれてしまうのでした。

このままでは無職になってしまう、次の店にかけるしかない!!
そう決意を固めた小夏でしたが、視界に入ってきたスカイツリーを横目に見ながら歩いていますと、思いっきり電柱にぶつかってしまいます。
物凄いこっぱずかしさに襲われる小夏でしたが、その衝撃で口から血が滴っていることに恐怖してしまうのです!
こんなとこで死にたくない、歯は、歯茎は無事か?
そううろたえておりますと、一人の女性、奈緒子が声をかけてきました。
どうしたおチビちゃん、ころんだ?
奈緒子は完全に小夏を子ども扱いしておりますが……何でも歯医者さんで働いているとのことでして。
まさしく渡りに船、小夏は彼女に導かれるまま、その歯医者さん、よなか歯科に向かうのでした。
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この歯医者さん、夜間診療がメインになっているようです。
21時から翌朝5時までと言う特殊な営業時間を知り、東京はすごいな、と感心する小夏。
そうこうしている間に、お医者さんがやって来ました。
口ひげに加えた長い顎ひげを蓄えたそのお医者さんの姿はまるで仙人。
その風貌を見て、かなりの名医に違いないと診察されながら確信する小夏なのですが……ほどなくして、その仙人はこんなことを言い出すのです。
お前、小夏か?
名医は口の中を見るだけで名前までわかるのか!?とビビりまくる小夏なのですが……
よくよく聞いてみると、その仙人は10年前に小夏の地元から、一旗揚げてやると東京に上京していった歯医者のじいちゃんだったのです!
思いもよらない再会に驚く二人。
そこで改めて小夏が何故東京に来たか聞いてみますと、「キャバウォーズ」なるドラマを見て、夜の世界にあこがれを抱いてのし上がるためにやって来たのだとか……
何故その先が、スカイツリーの隣の駅なのにガイドブックに載せられない街(奈緒子・談)である錦糸町なのでしょうか?
それにも一応理由がございまして、一緒に暮らしていたばーちゃんが先日亡くなったのを機に東京にやって来たと言う小夏、そのばーちゃんが住んでたと言う墨田区を選んだのだ、とのことです。
そこで歯医者のじいちゃんは、小夏にうちで働かないかと持ち掛けました。
なんでも歯科助手には刺客はいらないとのこと。
診察の補助や道具の準備など、覚えることは多いながらも未経験者も歓迎の仕事なのだというのですが……
小夏には夜の蝶以外の未来は眼中になし!!
じいちゃんにさっそうと別れを告げ、最後の希望であるお店へと向かうのでした!!

が、やっぱりあっさり不採用宣告。
一瞬でこのお店からもバイバイとなる小夏、従業員の男性に連れられて出口までご案内。
ところがその男性、小夏の愛してやまない「キャバウォーズ」の主要キャラ、タケル君に似たメガネ男子だったのです!!
一層このお店で働きたくなってしまった小夏、もう一度アピールしようとしたものの、面接してくれた男性はまたも不採用だっつってんだろ、と冷たい対応。
それでも何とかしようと足掻こうとしたその時、ちょうど店内にゴキブリが出たというトラブルに出くわすのです!
ここで良いところを見せれば採用してもらえるかもしれない、と思ったのでしょう。
小夏は階段の手すりに登り、ゴキブリを退治しようとするのですが……
そこで足を滑らし大転倒!!
あげく、
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お店の高級なお酒を大量破壊してしまうのでした!!
……お店の損害、しめて300万。
その300万、利子は勘弁してやるから1年で返せ、と小夏は告げられてしまい……

小夏ができることは、じいちゃんに土下座して働かせてもらうことだけ。
もともと雇おうと考えていたところですし、土下座までして、面接でへまをして300万必要になったと必死な顔で頼まれては断ることもできません。
奈緒子は小夏に制服を手渡し、夜の女王になってなれるわよ、内は真夜中の歯医者さんだからね、と笑顔で迎え入れてくれるのです。
自分からお願いしたことではありますが、しようとしていたことと全く違う仕事をせざるを得なくなった小夏は、どうしても不満を隠せません。
何でこんなことに、そもそも錦糸町に来たのが間違いだったのか?
これから借金返済とじいちゃんの介護に終われる日々を過ごすのか。
そんなことをぼやいていますと、ほどなく記念すべき最初の患者さんがやって来ました。
その患者さん……
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先ほどのお店のタケル君似の男性じゃありませんか!!
なんでも彼だけでなく、あの不採用通知をたたきつけ、借金まで背負わせた(?)あのオーナーも個々の患者さんなのだとか……!
なんだかとんでもないことになってしまった小夏。
彼女は果たして、夜の女王になれるのでしょうか!?
……無理な気がします!!



と言うわけで、錦糸町の夜間診察をする歯医者さんで奮闘する小夏を描いていく本作。
物凄い借金を背負わされてしまった小夏、やむなく歯医者さんに勤めることになるわけですが……
もちろん様々な問題が巻き起こるわけです!!
歯科助手と言う仕事自体は、法律的なこともあって患者さんには直接触らないお仕事で、資格のある医師であるじいちゃんをサポートする、覚えることは多いもののそこまで難しいわけではないお仕事。
ですがやはり天性のドジっ子属性を持っている小夏、まーいろいろやってくれるわけです!!
とはいっても実際、見た目は小学生で、その精神年齢もそれに遠くはない感じであるものの、小夏にもいいところはたくさんありまして。
良くも悪くも天真爛漫な明るい性格、そして彼女に秘められた思いもよらない(?)特技。
小夏巻き起こす様々な事件を描くコメディでありながら、歯科助手と言う一般的にあまり知られていない仕事の内情を描く仕事漫画で、恋愛要素もあったりするうえ、さらに彼女の成長を描くドラマと言う欲張りな内容となっているのです!!

そして本作のまた別の良いところは、登場人物がいい人ぞろいなところでしょう!
小夏はもちろんのこと、奈緒子やじいちゃんもいい人ですし、あのメガネ男子の賢志郎や、借金を背負わせたオーナーも実はいい人だったり!?
そんなキャラクターたちが生き生きと動くさまも必見ですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!