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今回紹介いたしますのはこちら。

「金剛寺さんは面倒臭い」第2巻 とよ田みのる先生 

小学館さんのゲッサン少年サンデーコミックススペシャルより刊行です。



さて、樺山と金剛寺のじっくりと歩み寄っていくような恋愛を、本編とは大きく関わりのなり壮大な物語と交えながら、ドラマチックに描いていく本作。
樺山はおっとりとして思いやりがある鬼で、金剛寺さんは何事も四角四面、真面目で堅物を地で行く女性。
二人の恋愛は亀の歩みのようにゆっくりとしか進みませんが、それでも着実に前へと進んでいきます。
今回そんな二人の間に巻き起こる出来事は一体……?


自転車で海辺にある大きな公園にやって来た金剛寺。
入念に柔軟体操を行い、それからランニング。
ある程度走った後に屈伸を行い、そして今度は坂道をコサックダンスのように上り下りする運動をこなします。
昼食休憩をはさむと、今度は大きな木々の立つ緑地へ。
そこに帯を結び、柔道の打ち込みで汗を流すのでした。

日もとっぷりと暮れた頃になると、金剛寺は銭湯に来ていました。
銭湯のスタンプラリー帳の空欄を一つ埋めてにっこりの金剛寺ですが、その後のお風呂はさらに格別!!
普段からは想像もできないほどの緩み切った表情を浮かべてしまうのです。

と言うのが金剛寺の一日だ、と樺山に事細かに説明し、報酬を得ていたのがその友人である丸井でした。
樺山は付き合い始めてはみたものの、いまだ一度もなされていないデートを申し込むタイミングをうかがっていたのです。
その為彼女のスケジュールに空きがないか知るために丸井に依頼したようですが……このスケジューリングではとてもとてもデートをする時間なんてなさそう……
樺山は無念の表情を浮かべるのです。

が、部活中にまた樺山、金剛寺にまくし立てられてしまいます。
普通付き合っている人はデートする、ともらした様子の樺山に、いつもの調子で普通とは何なんだ、普通が平均的と言う意味ならすべてが平均的な人間なんているのか、誰もがどこかいびつな形をしているはずで、それが普通でただの個性だ、私と君の普通は違うのだ、とそれはもう凄い剣幕です。
金剛寺も樺山のことは好きなわけですから、盆と正月くらいは家に招こうと思う、と言うのですが……流石に年二回と言うのは酷と言うもの。
友人たちもたまりかねて助け舟を出すのですが、インターハイ前の大事な今の時期にトレーニングを減らすわけにはいかない、と頑なな金剛寺。
そこで友人たちは、金剛寺が先頭のスタンプを集めているところをついて、トレーニング後にみんなと一緒にお風呂に行くのはどうだろうか、と提案。
お風呂、と言う単語にものすごい勢いで興奮してしまう樺山なのですが……実は金剛寺さんも同じだったり。
部活の仲間と一緒に、ではありますが、とうとう樺山は金剛寺とお出かけすることができるのです!!
歓喜に打ち震える樺山ですが……実はその時、地中から何かが迫っていました。
得体のしれないドリルのついた乗り物のようなものにはりついた鬼。
一心不乱日常を目指す其れの目的は一体……?
ですがこれは、本編には大きく関わりのない物語、なのです!!

その日はやってきました。
いざやって来てみますと、そこは銭湯ではなく水着で混浴できるスパでした。
金剛寺はやって来たのが戦闘ではないためにスタンプが押せないことを大層悔しがりまして、お湯につかってからも文句を言い続けています。
あと2か所スタンプを押せば集められたのに、これではもう間に合わない、と予定が狂ってしまうことにいら立っているようなのです。
岩風呂、漢方の湯、歩き湯、洞窟風呂、ドライサウナ、檜風呂、寝湯。
様々なお風呂を廻ってもなお金剛寺の愚痴は止まりません。
とうとうそのうち、姫ちゃん先輩がぶち切れ!!
金剛寺さんと口論になり、やがて泣きながら走り去ってしまうのです!!
……すると一緒に来ていた丸井が樺山の肩を叩き、じゃ、と言い残して消えていきます。
もしや先ほどの姫ちゃん先輩のキレもこのための準備だったりするのでしょうか……?
ともかく、二人きりになった樺山と金剛寺。
ですが金剛寺の脳内では今それどころではありません。
子供のころ学校での楽器演奏で言われた、こんな言葉を思いだしてしまっていたのです。
周りの子にもっと合わせてね。
金剛寺は完全にリズムにあった演奏をしていて、むしろ会っていなかったのはほかのみんなの方。
だと言うのに、なぜか自分が注意される……
勿論金剛寺も理屈では解っています。
自分の行っていることは正しいが、それはあくまで理論の上でだけで正しいのだ、世の中は理屈でなく心で回っている、心で回せなければ誰も納得しない。
でもそれを自分の中の何かが許さない。
恥ずかしい……
金剛寺は、樺山に思わずこう言ってしまいます。
君もあきれただろう、と。
ですが樺山はこう言ってくれたのです。
金剛寺さんは正しいです、でも、間違ったことをしても金剛寺さんに会いたいと思ってしまいました、ごめんなさい!!
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きっと樺山以外の今まであってきた人ならば、正しいけど、の後は金剛寺の態度を否定する言葉を続けていたことでしょう。
ですがそれを受け入れたうえで、誠心誠意思いのたけを明かして謝ってくれる。
そんな樺山の言葉に金剛寺はまたも心を動かされ……姫ちゃん先輩に謝りに行く決意をしたのでした。

仲直りが終わった後、改めて気を聞かせてくれた姫ちゃん先輩は樺山の肩を叩いて消えていきました。
残った二人は、再びお風呂へ。
仲良く並んで入浴、とはいきませんが、それでも同じお風呂で手を伸ばせば届くような距離でお湯につかり、金剛寺は漏らすのです。
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極楽極楽、と。
金剛寺をここまで安らがせてくれる人物は、きっと彼女自身初めて会う存在なのでしょう。
金剛寺は樺山に背中を向けたままとはいえ、こんな提案をしてくれました。
週一は難しいかもしれないが、月一、数時間かもしれないが、時間を作るので……
デデデデデ、デートするかね。
その言葉を聞いた樺山はもう歓喜の極み!!
思わず喜びのあまり飛びつこうとするのですが……その時のことです!!
金剛寺の足元にいきなり大きな穴が開き……!!
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樺山の伸ばした手もむなしく、その中へ落ちてしまったのは!!
そしてその穴の中から出てきたドリルに乗った鬼、金剛寺を抱きかかえ……そのまま、地下へと連れ去っていってしまうではありませんか!!
突如として訪れた大事件……!!
ですがそれでも、それでもこの事件は本編とは大きく関わりのない物語、なのです!!



と言うわけで、とんでもない出来事が起きてしまう今巻。
ですがこのシリーズを読んでいきますと、本作でいろいろと巻き起こる重大そうな事件がなぜ「本編と大きく関わりのない物語」なのかがわかる仕掛けになっております。
この重大そうな事件も本作を彩る重要なパーツなだけに、何故大きく関わりがないなどと言うのか?
その理由がわかったとき、思わずなるほどと唸り、そして胸に何かがこみ上げてきてしまうことでしょう……!!
このお話の顛末とその真相、ぜひとも皆様の目でご確認ください!!

そしてこのシリーズ以外にももちろん見どころはいっぱいです。
今までのように二人がちょっとした出来事をはさみながら距離を縮めていく様は、ほほえましくドラマチックで心動かされること間違いなし!!
さらに今後の伏線となるらしい重要なキャラクター(?)も登場しますし、今巻のラストに収録されているお話ではまさかすぎる展開が!?
二人の関係が本作の最大の目玉であることは間違いないのですが、そちらの本編とは大きく関わりのないお話もものすごく気になってしまう、盛りだくさんの一冊となっているのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!