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今回紹介いたしますのはこちら。

「それはただの先輩のチンコ」 阿部洋一先生 

太田出版さんより刊行です。


さて、「血潜り林檎」シリーズ以来、久しぶりの単行本刊行となった本作。
本作はそのタイトルが示す通り、チンコを鍵にしたお話です。
取り扱っているのがチンコなだけに下ネタかと思われる方もいるでしょうが……まあその通り。
その通りなのですが、もちろん阿部先生作品ですからただそれだけで終わるはずもありません!!
気になるその内容はと言いますと……!?



坂下さんは、とうとう待望のアレを手に入れました。
それは憧れの、東堂先輩の……チンコです。


彼女が藤堂先輩を好きになったのは、三か月前のことでした。
坂下ってホントちっさいのな。
そう言いながら、頭を撫でてくれた東堂先輩。
それ以来坂下さんは、先輩の全てがほしいと思うようになりました。
いや、全てでなくてもいいのです。
一部でもいい、手に入れたい……
そう考えた結果、彼女はあるアイテムに頼ることにしました。
男子用小便器に仕掛けられた……ギロチン!(チンだけに)
何も知らず、その便器にむけてチンコをまろびだす東堂先輩……
タイミングを見計らって、坂下さんはスイッチをオン!!
するとたちどころにギロチンの刃が落下し、東堂先輩のチンコはボトリと地面に落ちてしまいました!!
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瞬間、坂下さんは釣り竿で針を投擲!!
サッと落ちたチンコをかすめ取り、東堂先輩のチンコをゲットするのでした!!

それからは夢のような時間が待っていました。
ずっと憧れていた、先輩と二人きりでのティータイム。
ひとつのイヤホンを片方ずつ二人で使って音楽を聴く。
相合傘で、濡れてしまうからもっと近くによってと言うやり取り。
一緒にホラー映画を見て、怖いと縋りつく。
ベッドで添い寝……
そんな様々な乙女の夢を、坂下さんは次々と叶えていきました。
相手はまぁ、東堂先輩本人ではなく、そのチンコだけなのですが……
そして二人は、満開の花畑の真っただ中、ベンチに腰掛け……
そっと、
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口づけをするのでした。
ですが夢と言うのは儚く過ぎ去っていってしまうもの。
東堂先輩のチンコは、突然高熱を発し始めたのです。
保冷剤で冷やすものの、全く熱は下がらず。
餌であるスイカを目の前においてもピクリともせず、セクスィーな女性の写真を見せつけてみてもそれこそピクリともしないのです。
鉱物を与えてもダメ、エロスな刺激もダメ。
どうしたらいいのかと坂下さんが絶望していますと、チンコはずりずりと這ってどこかに行こうとし始めました。
その方向は……東堂先輩の自宅のある邦楽……?
これは、帰巣本能!!
慌ててチンコを鷲掴み、チンコの歩み(?)を止めようとする坂下さん。
ですがチンコの力は尋常ならざるもので、坂下さんの体ごと引き摺って移動を続けるのです!!
ダメ!!
そんなの認められない、それを認めてしまったら、あなたはただの……!!
坂下さんはバスケットをひっくり返し、中から飛び出してきた注射器を掴み取ります。
そして、その中の薬液を注射し……
ぐったりとしたチンコをぐるぐる巻きに縛り、宙づりにしてとりあえず自由を奪うのでした。

翌朝になると、忽然とチンコはその姿を消していました。
逃げた!!
すぐに飛び出し、坂下さんは当てもなく街を走り、チンコを探し回ります。
ほどなく再会の時はやってきました。
ですが……それは……車に轢かれて潰れた、
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「ただの先輩のチンコ」と、ですが……

双眼鏡でトイレを除く坂下さん。
東堂先輩のチンコは、もう再生しています。
物憂げな光を灯す、坂下さんの瞳……
彼女の心の中には、一体どんな思いが廻っているのか。
……やがて……鳴り響く、ギロチンの音。
釣竿を抱えて駆けだす坂下さん。
その坂下さんの抱えているのは、きっと釣竿だけではないのでしょう。
きっと、彼女が抱えているのは……!



と言うわけで、少女達とチンコが織りなす青春の一ページを描いていく本作。
この後、様々な少女と、様々なチンコが、様々な接し方で様々な人間模様が描かれていくことになっていきます。
その味わいはどれもが独特。
阿部先生ならではとしか言いようのない、男のチンコは斬られてもそのうち再生するし、単体でもしばらくは牌きちると言う生きていると言う、頭のおかしい……もとい、あまりにも独創的なアイディアはさすがとしか言いようがありません!
下ネタがないではありませんが、なぜか不思議と下品さは薄く、ザ・エロスと言うものを扱っているにもかかわらず、しっかりと心の動きの方を重視している。
そんな本作ならではの楽しさを、是非ともご堪能いただきたいものです!

ちょっとシュールな心の動きを一話完結型で描いていく展開の本作ですが、ラスト近辺のお話はそれまでの話とリンクしている必見のクライマックスとなっています!
描き下ろしのおまけ漫画も含め、何故だがじんわり感動してしまうラストまで、見逃す手はございませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!