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今回紹介いたしますのはこちら。

「忍ぶな!チヨちゃん」第2巻 設楽清人先生 

エンターブレインさんのハルタコミックスより刊行です。


さて、恋い焦がれる相手であるワタルに思いを伝えたいと常々思いながらも、生まれた時から体に染みついた「忍」の風習によってついつい忍んでしまうチヨちゃんことチヨ代の奮闘を描く本作。
恋をして忍として鈍っていることをよしとしない妹のサヨ代や、父上の妨害など外的要因もあるものの、初めての友人になってくれたタマミの応援に後押しされ、何とか忍ばないように頑張ろうとするのですが……?


ある日のこと。
ワタルが高熱を出し、保健室に運び込まれてしまいました。
心配ではありますが、これはチャンスでもあります。
タマミに後押しされ(ワタルの汗を拭いてそのハンカチを持ってくるようにと言うリクエスト付ではありますが)、ワタルの眠る保健室へ忍び込むチヨちゃん。
ですが、いざ中に入ってみるとベッドはすべてもぬけの殻。
保険の先生もいないようで……
ワタルは早退したのか、とほっとしてしまうチヨちゃん。
ですが、これではいけません。
看病して親密になるチャンスを逃したのに、何事もなかったことにほっとしている。
そんな臆病さを何とかしなければ、忍びの修正云々以前の話ではないか。
肩を落とし、とぼとぼと保健室を出て行こうとするチヨちゃん。
と、その時、
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ソファにかぶせてあった毛布から、ワタル殿が剥くりと起き上がってきたではありませんか!!
あまりの出来事に、反射的に忍術を使ってナース姿に変身したチヨちゃん!
背を向けているチヨちゃんに、誰ですかと尋ねてくるワタル……!!
ドッキリしてしまうチヨちゃんですが、ここは勝負所!!
何とか踏みとどまって、変装したりせず、自分の顔のままで話をする!
意を決して自己紹介から始めようとするチヨちゃんですが、ワタルの熱は相当なものだったようで、チヨちゃんの顔が友達の喬に見えてしまっているのです。
自分はタカシではないと誤解を解こうとするチヨちゃんなのですが、そこではっと気が付き、自分を戒めます。
今一番大事なのは自分をアピールすることではない、ワタルを看病することだ!
そう言い聞かせて、チヨちゃんはワタルの看病を行い……人の顔がタカシに見えてしまう呪いから解放しようと頑張るのです!!

まずは体温計を投擲し、ワタルの脇に装着!!
体温を測ってみれば、やはり39度もあるようです。
熱を下げるためたくさん汗をかかせたいところなのですが、ワタルは寒気を感じているらしく、ぶるぶると震えています。
こまめに水分補給をして体を温めないといけない!
まずは水を用意しようと、コップの中に水遁の術で水を注ごうとするものの(水遁ってそう言う術でしたっけ?)、「物を出す」系の術が苦手なチヨちゃん、
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今回も失敗してワタルに思いっきり水をぶっかけてしまうのです!
一層ぶるぶると震えてしまうワタル!!
チヨちゃんは慌てて全力で濡れたワタルを拭くのですが、チヨちゃんが全力で吹きすぎたために今度はワタル、からっからに乾いてしまいました!!
水分補給はこれで良しとしたチヨちゃん。
今度は暖かいものを食べさせたいと思うのですが、料理の技術が壊滅的に無いチヨちゃん、タマミの慣習なしの料理を食べさせてしまえば逆に殺してしまいかねません!
そこで、あらかじめ用意してきたネギを使うことにします。
ネギを首に巻くと血行が良くなると聞いたことがあるチヨちゃん、そっとワタルの首にネギを巻きます。
しかし、タカシに見えていると言っても、ここまで接近すると言うのは緊張するもので……気が付けば、ワタルの体をネギでがんじがらめに縛ってしまっていました!!
やむなく用意していた隠し刀でネギを切り刻んで助けるのですが、そのせいでワタルの服はバラバラに。
結局ワタルの状況をさらに悪くしてしまうチヨちゃん。
ただの風邪すら看病できないのか?
自分は忍びの仕事……殺し以外のことは何もできないのか。
そう自分を責めるチヨちゃんなのですが、それを認めるわけにはいきません!
こうなったら最後の手段を使うしかない!!
チヨちゃんは、自宅の雀家に伝わる薬をワタルに飲ませることにしました。
しかしその薬、万病によく聞くのは確かなのですが……壮絶に不味いのです。
ワタルはもう何が何だかわかっていなかったようで、タカシが自分のために作ってくれたカレーだ、と誤解して、ごくごくとそれを飲み干します。
すると……ワタルは、それを思いっきり噴射して、ぶっ倒れてしまうのです!!
やはり初心者にはきつかったか、とワタルに駆け寄るチヨちゃん。
するとワタル、助けてタカシ、とすぐそばに駆け寄ってきたタカシに助けを求めてくるではありませんか。
タカシ、いや、チヨちゃんも助けたいのはやまやまなのですが……
チヨちゃんは考えます。
自分が臆病でなければ、今までも治すチャンスはあったはず。
今の薬も、本当の最終手段ではないんだ。
最後の手段は、怖くて実行できなかった……

幼い日の思い出。
病気になったチヨちゃんは、父から勧められたあの薬を飲んで、やはりその酷い味に倒れてしまっていました。
そこで駆けつけてくれたのは、お母さん。
お母さんはチヨ代と一緒に布団に入り、こうやって汗をたくさん書けば風邪なんてすぐ直っちゃうのよ、と微笑みかけてくれて……
その時に感じた、お母さんのぬくもり。
それが、チヨちゃんの汁、本当の最後の手段なのです。

ふと目を覚ますワタル。
先ほどまでに比べると、身体がだいぶ暖かくなっているのを感じました。
熱っぽさはさすがに残りますが、だいぶ回復したようで、タカシの呪いも解けた様子。
ベッドから体を起こし……いつの間にソファからベッドに移ったんだろう、とあたりを見ますと、コップやたらいなんかがある事に気が付き、先生が来て看てくれたのかな?と納得。
したのですが……ふと自分のすぐ隣を見ると、そこには
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見知らぬ女の子……いや、以前自分に虎ロッカ編を分けてくれた、コロッケちゃんが寝ているではありませんか!!
まさかずっと添い寝をしてくれていた……!?
なんで、君がここに?コロッケちゃん……!
顔を赤くして思わずつぶやくワタル。
その時、チヨちゃんも目を覚まして……!!!



というわけで、チヨちゃんが期せずしてとはいえ、とうとうワタルにばっちり姿を見られることになる今巻!
この後の展開次第では、二人の関係に大きな変化が起きることは間違いありません!
果たしてチヨちゃんは、今度こそワタルに対面し、そして自己紹介ができるのでしょうか!?
そして、告白はさすがに無理としても、知り合い、あるいはお友達になれるのでしょうか!?
忍ぶか、忍ばざるか、それが問題なのです!!

そんな大事な大事なイベントがラストに待っている今巻なのですが、前半も見逃せない内容となっております。
サヨ代が本格的に登場する前半では、彼女の歪んだ愛が爆発!
基本的にはチヨちゃんが大好きなサヨ代なのですが、サヨ代はワタルに出会う前の、「零」と呼ばれたときの冷徹なチヨちゃん(の冷たい瞳)が大好き。
その為、ありとあらゆる手段でチヨちゃんにワタルを諦めさせようとしてきて……!!
学校を舞台に繰り広げられる、チヨちゃんとサヨ代、そしてワタルを交えて行われる忍術バトル……!!
サヨ代の偏執的なまでの攻撃に、チヨちゃんはどう立ち向かうのか!?
二人の忍術の応酬、チヨちゃんの異常なまでの用意周到さと乙女心……それが迸る戦い、必見です!
さらにその後、サヨ代のただの敵役ではない魅力が明かされるエピソードも用意されており、彼女のこれからの活躍も期待してしまうこと間違いなし!
ワタルの見た目だけではないイケメンぶりもよりしっかり描かれ、ワタルの魅力もしっかり描写されるなど、チヨちゃん以外の魅力も見どころとなっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!