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今回紹介いたしますのはこちら。

「しったかブリリア」第2巻 珈琲先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。



さて、知ったかぶりと、その知ったかぶりがばれないための努力によって大学で多くの仲間に囲まれる楽しい日々を送っている理助。
彼はいろいろあって、同調圧力に弱い美少女、みなとみらいとお付き合いするところにまでこぎつけました。
ですがそこにかつて理助と付き合い、そしてフッていった姫姫が姿を現し、何か不穏な動きを見せて……?



木陰の下、理助は姫姫の上に覆い被さり、こんなことを言っていました。
結婚したい!!
そして、その光景を、みなとみらいが目撃してしまう……
なぜこんなとんでもない状況になってしまったのか?
お話は少し時間をさかのぼって始まることになります。

姫姫はここ2週間、必死に心理学を勉強したうえで理助のことを監視&分析していました。
理助は知ったかぶりでありながら努力家、というかなり特殊な性格の持ち主。
もともと持ち合わせているストイックさと、後天的な虚栄心が混ざり合ってそうなってしまっています。
そして姫姫は、そうなってしまった原因は自分にあるのではないか、と思っていました。
だからこそ自分がそれをどうにかしてあげなければならない、と思っているようで。
そこで……姫姫は、
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この一週間の理助の行動を逐一SNSの鍵付きアカウントに投稿し続けて記録!
これを公開すれば、理助が積み上げてきた嘘が全て白日の下に晒されることとなります。
と言っても、これをいきなりみなとみらいに見せたところで、姫姫が望む展開にはならないでしょう。
姫姫は、理助に伝えたいことがあるのです。。
やがて姫姫は、理助の要る場所へとたどり着きました。
理助は友人と雑談している様子。
「久々にやってみたら前よりうまくなってた」ってことはないか?
そんな話に、理助は完全に同意中。
中学の時三年間ブレイクダンスをやっていたんだけど、さっきの体育で久しぶり躍ってみたら現役時よりうまくなってた気がしたんだよ。
……そこに乱入していく姫姫。
それは心理学でいうレミニッセンスね、ダンスをやめる直前にスランプに陥ってなかった?
同じ練習をし過ぎると効果が出にくく抑圧されてしまう、でもそんな時思い切って休むと蓄積された経験値が一気に昇華されて上達する、それがレミニッセンス。
理助はスゲー、レミニッセンススゲー、とはしゃいだ直後、すぐ正気に返って、ああ、発達心理学のな、知ってる、知ってるよ、と知ったかぶりを開始します。
が、姫姫は学習心理学よ、と訂正。
理助はホントは知ることを喜べる素直な人、でも知らないことは負けと思い込んでいて、反射的に抑制規制が働いて知ったかぶってしまうのね。
……姫姫がいきなりそんなことを言いだし、いっきにくうきがおもくなってしまいました。
理助と雑談していた友人はそれを感じ取ってそそくさと退散。
代わりに理助の正面に姫姫が座り……そして、早速本題を切り出したのです。
そう、あの鍵付きアカウントを理助に見せてきたのです!!
それが公開されれば、自分が作り上げてきた張子の虎がハリボテである事がばれてしまいます。
みなとみらいはかつて言っていました。
「ウソをつく人は無理です」。
つまりこれがばれれば、二人の関係は終わり……!!
姫姫はそれを知ったうえで、理助に脅迫めいた要求をするのです!!
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私とヨリを戻すか、このアカウントを公開するか、どっちがいい?
理想の対人関係っていうのはね、互いの良いところも悪いところも肯定してありのまま認め合う関係なのよ。
私なら、いいよ。
私は理助のカッコいいところもダサいところも全部知ってる、私はそれを否定しない。
絶対に私のほうが上手くいくよ。
……たしかに気が気じゃないときはある、もし彼女が俺にがっかりしたら、きっと彼女は傷つくんだろうと思うと……とうなだれる理助。
姫姫はそんな理助をそっと抱き寄せながら、もう無理しなくていいんだよ、と受け入れるのですが……
理助はその隙に姫姫の携帯をかすめ取ったのです!!
……が、それも姫姫は想定済み。
理助が掠め取った形態はすでにロックがかかっていて、姫姫はもう一台携帯を持っています。
そのもう一台の方を取り出し、じゃあ公開するね、ちなみにみなとみらいちゃんだけフォローしてるよ、とほくそ笑み……!!
そちらの携帯も取り上げようとする理助ですが、姫姫はそのまま逃亡。
理助はシークレットシューズを履いているためいまいちうまく走れず、なかなか姫姫に追いつけません。
やがて緑地になっているあたりでようやく追いつき、押し倒す形になって捕えることができたのですが……
姫姫はここぞとばかりに攻めてくるのです。
まだ彼女としてないでしょ、お互いの家行ってなかったもんね。
結局このやり方じゃ上手くいかない。
かわいそうなみなとみらいちゃん、できもしないことを言われて、夢だけ見せられて……
嘘を塗り固めて、都合も悪いことを避けていく。
それでは彼女を幸せにはできない……
姫姫はそう言って、理助を追い詰めるのですが……
理助は、はっきりとこう言うのです。
俺の友達のアメリカ人は、「アリガトウ」「コンニチワ」「スシ」しか言えないのに、「オレは日本語が話せる」と言い切るんだぜ。
国は成果が出るかもわからない研究に何億円も援助する。
格闘家は勝てるかわからない相手にも「絶対に勝つ」と言い切る。
婚約だってな、将来のことなんてわからなくても「お前を一生幸せにする」って言うんだ。
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人間の「出来る」「知ってる」っていうのはそれぐらいで良いんだ、むしろそれぐらいじゃなきゃダメなんだ!
「出来る」って言いきらなきゃ、そもそも人間は始まらねえんだよ!!
そして今自分で言って分かった、もうもたもたしてちゃダメだ。
俺はこの後すぐ彼女の元に行って、「結婚したい!!」って言う!
……そして理助は、こう言い残して姫姫の元を去って行くのです。
見直したぜお前のこと、好きなんだな心理学、勤勉な人は魅力的だぜ。
そしてさっきの「出来るって言いきらなきゃ」のくだりは明言だから拡散しとけ、と……
……とりあえず姫姫の問題はこれで決着がついたようです。
ちなみに例のくだりは姫姫が全然拡散してくれなかったので理助が自分でツイートしたものの、反応はいまいちだったとさ……

いや、この件はこれで終わりません。
何故なら、理助が姫姫を押し倒して「結婚したい!!」と言っていた場面を、みなとみらいが見ていたのですから。
全体の流れを知らない彼女は、告白しようと意気込んでやって来た理助に、先手を打ってこう求めてきます。
話したいことがあります。
今日、先輩の家に行っていいですか。
……理助の部屋は家賃2万のアレな部屋なのですが、みなとみらいには北欧のインテリア雑貨でコーディネートしている、と伝えています。
もしあの部屋を見られてしまったら、全てのウソがばれるきっかけになるかも……?
大ピンチの理助ですが、この後物語は予想を超えるさらにとんでもない事態へと向かってしまうのです!!



というわけで、クライマックスへと向かっていく本作。
知ったかぶりとそれがばれないようにしていく努力だけで構成されていると言ってもいい理助と、周りに流されるまま理助と付き合ってしまったみなとみらい。
ちょっとしたきっかけですぐに崩壊してしまいそうだったこのカップル、姫姫の登場によって一気にピンチになってしまうのですが……
この後、物語は怒涛の展開を迎えます!!
みなとみらいが知った、理助の真実とは!?
全てが白日の下に晒されたとしたら、理助はどうするのか!?
その時二人の関係は!?
まさかの展開を迎え、ものすごい勢いで決着へと向かっていくそのクライマックス、必見です!!!

今巻は理助の知ったかぶりが発揮されるのはもちろんなのですが、そのフィナーレに向かって進んでいく一本のストーリーになっております。
コミカルな描写を楽しみながら楽しめる、二人のアレな恋愛関係はどうなっていくのか?というドラマ。
しっかりとその決着が描かれ、そして収まるべきところに収まる感動(?)のラストをぜひともその目でご確認ください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!