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今回紹介いたしますのはこちら。

「サマータイムレンダ」第2巻 田中靖規先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、幼馴染の潮の葬式に参列するためにしばらくぶりの地元、日都ヶ島に帰ってきた慎平。
ですがそこで、想像だにしない事件に巻き込まれてしまいます。
島民そっくりの、記憶まで持ったコピーのような謎の存在が姿を現し、島民を殺していく、という!!
そのコピーに殺されてしまった慎平でしたが、その時さらに驚くべきことが巻き起こるのです。
死んだはずの自分が、この島に着く直前の時間にタイムリープする……!!
この力を使って、慎平は島のみんなを救おうとするのですが……!?



夏祭りの夜、海辺で慎平は思いもよらない人物に出会ってしまいました。
一昨日葬式を済ませたばかりの、潮に……!!
完全に死んだはずの潮が目の前にいる。
ということはこの潮は、あのコピーである事は間違いないでしょう。
ですがその潮のコピーは、まるで自分がコピーであるとは夢にも思っていないようで、自分を潮本人だと思い込んでいる様子。
見た目が潮で、素振り間で潮である彼女をどうにかすることなどできず。
祭りに行きたがる潮を、何とか人目につかないようになだめすかしながらついていくしかないのでした。

そうこうしているうちに、慎平の元に澪から電話がかかってきます。
そしてあろうことかその電話に澪が出てしまい……!!
すぐに慎平が奪い取ってフォローしたものの、最愛の姉の声を聞き間違えるはずのない澪は不審に思ったようで……
とにかく慌てて澪や窓の要る場所へと戻る慎平。
潮に後で迎えに来るから出てくるなと厳しく言い、お前が澪のことを守れって言ったんだ、俺はもう後悔だけはしたくないと駆け出すのでした。

祭りはクライマックスを迎えています。
海から流れ着いたものに神が宿るという信仰のある籠島には、漂着神信仰が根付いていまして。
蛭子命、ヒルコ神と呼ばれ、漁業の神として崇められています。
なので漂着物を捨てずに集め、夏と冬の二回「黄泉送り」という儀式によって焚きあげて神に返す、というのがこのお祭りです。
そのお焚きあげの真っ最中、盛り上がる中でどうしても考えてしまうのはあの潮のこと。
影の記憶を失っているとは、あいつのアタマが直ればたすかるんだが。
そんなことを考えていると、ぼーっとしていたようで、考え事ですかと窓の妹である時子に声をかけられて正気に戻ります。
気が付けば、澪と窓が物陰で何やらふたりきりの話をしているようです。
時子によれば、なんでも窓は澪に告白するつもりなのだとか。
実は窓、既に澪には二回告白されていまして、二回とも断られております。
三度目の正直、と窓は言っているのだそうですが……二度あることは三度ある、という言葉もあるわけで。
それでももしかしたらということもあり得なくはありません。
だと言うのに時子は、こう言いました。
でもアレは無理です、だって、澪には好きな人他にいますもん。
へえ、と漏らす慎平。
誰?とストレートに尋ねますと、時子はヒェッ!とへんな声を出して口を抑え、私の口からはちょっと、と言いよどむのです。
すると、様子を見ていたことに気が付いていた窓は大きな声で慎平に、時子に、そして澪に言い始めました!
こんな時に言うことではないかもしれないが、こんな時だからこそ言わせてくれ。
やっぱり俺、澪が好きだ!
だから澪のことこの俺に守らせてください!
そう言って、三度目の告白を決行したのです!!
澪は……皆聞いてるよ、とほほを染めながらしどろもどろになり、そして……気持ちはうれしいけど、窓くんとはいい友達でいたいから、と断るのでした。
と、その直後。
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良いものを見せてもらった、とお面をかぶった奇妙な人物がそこに登場したのです!!
……潮です。
どうみても。
勿論それは、慎平だけでなく……その場の三人にもすぐわかってしまいました。
最初こそとぼけようとしていた潮ですが、やはりとぼけきれないことは嫌でもわかるわけで。
時子に着せてもらったのか、澪、浴衣が良く似合っている、とお面を取るのです。
……が、澪の反応は彼女が予想していたものとは違っていました。
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違う。
その顔は、脂汗が滴り、憎々しげでさえあり……
何してんの慎ちゃん、早くそいつから離れてよ!そいつはお姉ちゃんじゃない、化け物だ!!
そう叫ぶ澪なのですが……
慎平は……こいつはもう離さんよ、と潮の方とて首を強烈な力で握りしめるではありませんか!!
……慎平は言うのです。
どうも、俯瞰的に考えてよ、ばれるに決まってるわな、葬式まですんだ人間と入れ替われるわけがない。
始めからお前、入れ替わる気なかったな。
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何でいうことを聞かないんだ、お前まさか、声が聞こえてないのか?
そう言った慎平の顔には……モザイクのようなものが走っています。
……潮は気付きます。
誰?みんな、逃げて!
そう言い終わる前に、慎平は潮の手首を握りつぶします。
もう遅い。
……そう、この慎平は慎平ではないのです。
すでにできていた慎平の「影」が、慎平のふりをしていたのです……!!
その時、島中をてらすほどの閃光が走ります。
そして……慎平の影は、ほくそ笑むのです
時間だ、と。



というわけで、急展開を迎える本作。
潮と言うイレギュラーな影が現れたことで、物語は動き出す、かと思われた矢先に起こる出来事。
それは予想をはるかに上回るほどの大きな動きで、サスペンスとしてじっくり動いていくかと思われていた本作が、この出来事をきっかけに猛烈な勢いで違った方向へとかじを取ることとなるのです!!
じわじわと侵攻をしていくかに思われていた影の思いもよらない行動は見るものを驚かせること間違いなしです!!

目を覆わんばかりの惨劇、またも現れる謎の存在、迫るタイムリミット。
物語は少しずつ、少しずつ謎を明らかにしながら、緊迫感を加速度的に増していくことになります。
次々姿を見せる謎の存在、というのも気になるところ。
影たちと関係であるであろう得体のしれない存在、影たちの存在を知っているらしい人間の存在、そして影に立ち向かっているらしい存在・……
未だ目的や正体がはっきりとしていないそれらの目的が果たされるその時こそ、本作のクライマックスとなるのでしょう。
今わかるのは、あの影は慎平一人の手でどうにかできるものではなさそうだと言うこと。
慎平が持っている武器は、タイムリープくらい。
そしてそのタイムリープにもそう遠くない限界がある事がわかり……
ますます追い詰められていく慎平は、本当に澪を、島を救うことができるのか。
そんな謎深まるサスペンス要素に加え、アクション要素も加わって一層エキサイティングになっていく本作。
読者の興味もますます増して、今後の展開がより楽しみになると言うものです!!

さらにカバー下のおまけや、巻末の資料などにも本作の鍵となりそうな



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!