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今回紹介いたしますのはこちら。

「累」第13巻 松浦だるま先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。


さて、口紅の主導権を野菊に渡し、最後の舞台に立つことを決めた累。
ですが、羽生田の手掛けた脚本を手にした累は、今まで感じたことのない感覚を得て戸惑います。
役を演じるイメージが浮かばないどころか、離れていく、という。
累の戸惑う中、野菊は羽生田にあるものを見せていました。
それは、「海道凪」の手記だったのです。



羽生田は強くその手記を渡すように迫ります。
海道凪の手記を、彼を知る羽生田が読めば今までわからなかったことがわかるかもしれない。
「永久交換」のヒントや、累の思惑が。
羽生田を信じ切ってはおらず、そしてその狙いも読み切れない野菊は渋るものの……自分が読んでも理解しきれないその手記の重要な部分を知りたいという気持ちも大きく。
この場でだけ、そして何かわかったことがあればすべて教えるという条件をつけて、手記を渡すのです。
羽生田はその手記を受け取ると、何かしばらく鋭い目つきで手帳を眺めた後……中を検め始めました。
ほどなくそれを読み終えると、羽生田は野菊に語ります。
ほとんどは永久交換とは何ら関係ないメモ書きだ、ただ、気になることがひとつだけあった。
あの口紅の成分だ。
あれはもともと粉末の顔料の形で見つかったのだが、その成分の60%は未知の鉱物。
残りの40%は、
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複数の人間の血液。
その意外な真実を聞いて、さすがの野菊もショックを受けたようです。
ですがさらにその後、ショッキングな真実が明かされることとなります。
凪の手記が、海道与の下に会ったことが驚きだ。
あの兄弟は仲が悪くてね。
……海道凪と、累や野菊の父親である与が、兄弟だった……
そして、与や羽生田の態度から、凪の失踪は二人が関与している!
野菊は、羽生田やいざなは海道凪とどういう関係なのかを問い詰めようとしたものの、さすがにそこまで教えてくれるほど羽生田もお人好しではありません。
口紅を握られているからここまで教えてやっただけだ、無事返してやるんだから感謝しろと脅してくるのでした。

改めて野菊は手記を読み直してみたものの、やはり自分ではほとんど理解できません。
盛っち自分に知識があれば何かつかめるのだろうか、とうなだれた時、目に入ってきたのはその口紅でした。
鉱物と、人間の血。
その不可思議な成分が気になったのでしょうか、野菊は何となく自らの唇に口紅を引きます。
するとその時でした。
野菊ちゃん。
そんな声が聞こえ……目の前に、
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母親の亡霊のようなものが姿を現したのは!!
もういいのよ、人への恨みなど捨てて、あなたらしく生きなさい。
母の幻は、確かにそう言って……その姿を消したのです。

野菊の目の前でそんなことが起きていようとは夢にも思わない羽生田は、自分の舞台の演出を行いながら、あの手記のことを考えていました。
そうか、「血」……
「血」だったわけだ。
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永久交換に必要だったのは。
羽生田は手記を読んで、「ひとつ」ではなく、もう一つ気がついたことがあったのです。
今は野菊もまだそれに気がついていないようですが、いずれ気が付くことも考えられるわけで……
羽生田はにやりと笑いながら、こう考えるのです。
先手を打たねば、と。



というわけで、いよいよ物語はクライマックスへと向かっていく今巻。
この後、羽生田、野菊、そして累、それぞれのドラマが進行していきます。
母の幻に困惑する野菊。
役に入り込むことができず悩み、苦しみ、追い詰められていく累。
そしてその衝撃的な過去が明かされ、さらにその過去の中の大きすぎる過ちに気付かされることとなってしまう羽生田……!!
物語はまさに待ったなし。
累のある決心により、物語には決定的な楔が打ち込まれることとなるのです!!

次巻第14巻で本作は完結。
果たしてこの人間の情念渦巻く物語は、どのような結末を迎えることになるのでしょうか。
いざなは、透世はどんな思いを残してこの世を去ったのか。
羽生田の舞台はどうなるのか。
そして、この世に生まれ堕ちる前からすでに運命を弄ばれていた累がたどり着く場所とは……?
次々と本作の謎が明かされていき、まっすぐに完結へと向かって進んでいく本作。
迫るフィナーレまで、目が離せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!