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今回紹介いたしますのはこちら。

「ファイアパンチ」第8巻 藤本タツキ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、再び怒りの化身、ファイアパンチへと変貌してしまったアグニ。
アグニが向かうのは、アグニ教を作ってその信者たちを先導して村を作り、ユダを攫って何かを企んでいるサンのいる場所。
様々なものを燃やしながら進む、アグニの行きつく先は一体……



ユダを連れて村に帰ったネネト。
ですが村の様子は何やら異様です。
ユダを連れてくることは村人には知らせていないはずなのに、 何故か村人たちはユダを連れたネネトの車をぐるりと取り囲み、雪玉を投げつけてくるではありませんか。
不安を抱きながら車を降りるネネトとユダ。
するとそこには、サンが待ち構えていたのです。

そしてサンは、芝居がかった言葉を紡ぎ始めます。
ユダ、かつてベヘムドルグの善良な民をだまし、その涙と悲鳴を糧として生きたじゃあkぅなる悪魔よ。
俺はサン、お前に火を灯す者の名だ!!
……ユダに火を灯す……?
一体どういうことなのでしょうか。
ネネトはかつてスーリャがしようとしたように、ユダを「木」にしてこの星を温めるためにここまで彼女を連れてきました。
だと言うのに……サンは、ユダはここで燃やす、とはっきり言うのです!!
サンに異を唱えようとするネネトですが、信者に押さえつけられ、身動きをできない状態にされてしまいました。
放せと叫ぶネネトに、サンは黙って聞けよ、と高圧的に語り始めます。
俺は考えたんだ、このまま世界は寒い方が幸せなんじゃないかって。
寒ければ日のありがたみを知ることができるし、抱き合えば他人のぬくもりをより感じられる。
アグニ様を感じる機会も増える。
ネネトがそこで、いずれ缶詰はなくなる、そうなったらみんな死ぬ、と口をはさんでもさんは全く聞く耳を持たず。
死んだらアグニ様の下へ行けるよ、と世迷言を言うばかりなのです。
サンにはもう何を言っても響きません。
そこでネネトは、信者の村人たちを説得しようと声を張り上げました。
皆も聞いて、神様なんていないの、全部説明できることなの!
再生祝福者が朽ちるまで消えない炎を浴びて、炎の痛みに耐えて生きた姿があんたたちの崇拝するアグニ様だ!
神様でも何でもない、ただのかわいそうな人なんだよ!!
……本当のことを行っても、信者は誰一人顔色すら変えません。
それもそのはずです。
サンは、ネネトもか、と言ってあるものを放り投げさせました。
それは……何名かの人間の、生首です。
おそらくネネトのように、サンに何か反抗めいたことをしたのでしょう。
そう言ったものはすべてこうして、始末された後だったのです。
その話は誰から聞いたんだ、実際に見たのか?
ただの可愛そうな人は、炎の激痛に耐えられるのかよ!?
炎で酸素も燃えるだろ、それじゃただの可愛そうな人は空気が吸えないんじゃねえのかよ!
全てが朽ちるまで消えない炎なら、なんでアグニ様の歩く地面は、土は燃えないんだ?
答えてくれよ、全部説明できるんだろ?
俺は説明できるよ、アグニ様の炎は祝福なんてものじゃない、奇跡の炎なんだ。
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ネネトも、見てもいないことを信じてるんだ。
個々の信者たちと同じじゃないか。
俺は実際に体験したんだ、この目で見たんだ。
俺が髪に助けを願うと、アグニ様が来た。
そして俺を覆われた炎で助けてくれたんだ、願う旅に、何度も助けてくれたんだ!!
アグニ様は神様だ!!
薗さんの声とともに、信者たちは「ファイアパンチ」の大合唱。
もはや彼を止められるものはここには誰もいません。
そして、自らの祝福、電気の力で炎を灯し……ネネトにつきつけます。
アグニがただのかわいそうな人間って言うなら、この炎に耐えてみろよ、と。

目の前で惨劇が起ころうとするその時、ユダは声を上げました。
私、木になります!そうすればみんなが救われるとネネトさんに聞きました!と。
ですがその声すら、もはやサンには届かないのです。
お前は木は木でも巻になるんだ、燃えて俺たちの暖になるんだよ。
そのまま手にしていた炎で、ネネトを、ユダを燃やそうとするサン。
ですがその瞬間、ユダの持っていた火のついた枝に「木」が生え、その炎を消してしまったのです。
まぎれもなくそれはユダの力。
燃やすことすらできないと察したサンは、さらに怒りを燃え上がらせます。
悪魔が、悪魔がよぉ!
お前がなぁ、アグニ様の愛を独占するからなぁ!!
そう言って、ユダの首を締めあげるのです!!
するとその時、サンは妙な表情をして……つぶやくのです。
お前、俺に顔似てんじゃんか。
なんで俺じゃ……
そこまでサンがつぶやいた時です。
サンの腕から力が抜け、ユダはネネトの上に落下。
周りの信者は、みな一様に同じ方向を見つめ、手を合わせ始めました。
サンも呆然と見つめるその先にいたのは……
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燃え盛る、ファイアパンチ……アグニ!!
兄さん、とつぶやくユダ。
そして、サンは……
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誰だてめぇ。
そう、吐き捨てたのです!



と言うわけで、いよいよ完結となる本作。
今まで様々などんでん返しが行われ、驚くばかりの展開が連続してきた本作ですが、最後の敵となる人物がまさかサンだとは……藤本先生、どこまでやって下さるんですか!!
アグニ本人を見てなお、誰だお前と吐くサンの心はすでにねじ曲がっているようです。
アグニ本人でも、彼を止めることはできないのでしょうか。
最後の最後になってなお、全く予想の出来ないドラマが描かれるこの最終章、迎える結末はいったいどんなものなのか?
この後物語は再び大きく、大きくうねり……おそらく誰一人予想すらできなかったラストを迎えることとなるのです!!

本作のフィナーレとなる最後のシーンは、予想できないものではありましたが、決して尻切れトンボだったり、モヤモヤを残すものではありません。
こう来るのかと言う驚きとともに、胸に響く独特の読後感が残るそのラスト……必見ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!