ho0
今回紹介いたしますのはこちら。

「星の★王子さま」第1巻 漫★画太郎先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。


さて、唯一無二の作風を持つ画太郎先生の最新作となる本作。
今まで様々な漫画を描いてきては、主人公を爆死させたりトラックで轢いてきたりしてきた画太郎先生。
前作「ミトコン ペレストロイカ」もいつもの感じで終わりましたが、その原型である「ミトコン」を連載していた集英社さんにまさかの出戻り!
そして、そちらもやっぱり例のアレで終わった「罪と罰」に続く名作を原作とした新作、気になるその内容はと言いますと……?



パヤオは追い詰められていました。
彼が操縦していた飛行機のエンジンが故障し、砂漠に不時着してしまったのです。
飛行機に積んであった水は一週間分。
そして乗組員は自分一人……
つまり、自力で一週間以内に飛行機を修理しなければ……死んでしまう!!
パヤオはなれない修理作業に必死です。
自分の命が尽きる前に何とか修理を終え、砂漠を出なければ……!
そんな取り込み中のパヤオに、突然声をかけてくるものが現れます。
ヒツジの絵を描いて!!!
……砂漠のど真ん中でまさかそんな声をかけられるとは夢にも思っていなかったパヤオ、仰天して振り向くと……思わず、はうあ!!と声を上げてしまいました!
そこには
ho1
ほぼ全裸の少年が、巨大な斧を担ぎ、逆の手には見知らぬおっさんの生首を引きずっていたのですから!!

ヒツジの絵を描いて!!
そう連呼する少年に、パヤオは、貴様一体何者だ!!と至極当然のツッコミをします。
ですがそこでも画太郎先生得意のコピー芸を使いつつ、ヒツジの絵を描いて!!と繰り返すばかり。
こいつ、クレイジーだ!
即座に少年の危険性を察知したパヤオ、大人しく絵を描いてあげることにします。
こう言うやからには下手に逆らわないほうが良い。
絵を描き始めるパヤオですが、絵を描くなんて何年ぶりだろう、とそこで少年時代の思い出がよみがえってきます。
無邪気な少年時代、パヤオは象を丸呑みした蛇の絵という傑作を仕上げ、お母さんに見せました。
ですが返ってきたのは、ものすごい勢いで放たれたビンタ!!
やかましい、そんなくだらないものかいてる暇があったら勉強しなさい!!
マジメに勉強しないとアンタもムショ行きよ!!
涙を流しながらそう言ってひっぱたいて来たお母さん……
何があったのかちょっと想像したくありませんが、ともかくパヤオが絵を描くのはその時以来。
その時のショックがきっかけとなり、パヤオはアニメーターになる夢を諦めていたのです。

ねーまだ?という少年の声で、回想シーンから現実に引き戻されたパヤオ。
すまんすまん、と謝りながら、出来上がった羊の絵を少年に差し出します。
空、これがヒツジさんだ、それあげるからもうおうちへ帰りなさい、ママが心配しているよ。
内心のドキドキを押し殺しながらそう優しく語りかけるパヤオ。
ですが、少年の表情はにわかに曇り、
ho2
やだー!!と斧で絵を一刀両断!!
このヒツジ、病気で弱ってる!!
もっと元気な羊がほしー、もっと元気なヒツジがほしーよー!!
そう言いながらヒツジの絵を粉みじんにする少年……!!
すっかりおびえきったパヤオはさっそく絵を描きなおして機嫌を取ろうとするのですが……
元気の象徴として角を足したヒツジの絵を描いても、少年の機嫌は直りません!!
やだー!!と叫び、今度は何と飛行機の尾翼を切断!!
さらに粉みじんにしてしまったのです!!

今度こそ機嫌を取ろうと元気のいいヒツジを描こうとするのですが、一体どうやって絵で「元気」を表現すればいいのかわからないパヤオ。
迷っているうちに少年はしびれを切らし、今度は
ho3
パヤオの左足を切断しやがりました!!
痛みに悶絶するパヤオですが、少年はそれすらも許しません!!
はやくかかないと今度は右足だぞ!!ととんでもないことを言いだし、10、9……とカウントダウンまではじめたのです!!
何を描けばいいんだ、何を描いても文句を言われる気がする……
必死に頭脳をフル回転させ、カウントダウンがゼロになって、少年が死ね!ろ斧を頭に振り下ろそうとした瞬間にその絵が完成しました!!
苦し紛れに描いたその絵は……箱。
箱の絵です。
君の欲しいヒツジはこの箱の中にいる。
そう言うと少年は、これこれ、このヒツジがほしかったんだ、と笑ってくれたのでした……

このヒツジは草をいっぱい食べるかな?とパヤオに問いかけてくる少年。
パヤオは、もちろんいっぱい食べるさ、元気なヒツジだからね、とドキドキしながら答えます。
すると少年は困り顔で言うのです。
ぼくの星、とっても小さいんだ。
……星?
するとこの少年は、宇宙人なのか……?
改めて湧いてくる少年への疑問。
いったい何者で、どこからどうやって来たのか?
何故パヤオにヒツジの絵を描かせたのか……?
パヤオは改めて尋ねます。
しばらくの沈黙の後……少年の口から出てきたのは……!!



と言うわけで、アバンギャルドな星の王子様が描かれていく本作。
画太郎先生らしい、あまりにもアレな展開の連続で進んでいく本作ですが、この紹介した部分は(バイオレンスは別として)意外と原作に忠実だったりするのもまた画太郎先生一流のギャグなのでしょうか……!!
ですがそんな原作再現も最初のうちだけ。
8つの星を廻る、と言う大筋だけを踏襲し、それ以外はところどころ原作のエッセンスを残しながら画太郎先生の好き勝手をやっていくようです!!
第1巻の終盤では画太郎先生の作品にはつきものの「ババア」も出てきますし、さらに付き物のあのネタも、+とはいえジャンプの冠のついた地でやってしまうのはもう……さすがとしか言いようがありません!!

ですがいつもの画太郎先生作品と違うところまありまして、なんといいますか……お話がちゃんと進んでいくのです!!
いつものあれならばコピー芸の繰り返しとかで全然お話が進まないのが常なのですが、今回は荒唐無稽ではあるものの、何となく何をするべきなのかの目的なども明かされますし、違う星にも早速降り立っちゃったりします!
お話の筋はもうとんでもないですが、引き伸ばさずに進めていくのなら、そしてこの単行本が売れれば……ちゃんと(?)終わるのも夢じゃない……かもしれません!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!