sr0
今回紹介いたしますのはこちら。

「囚人リク」第36巻 瀬口忍先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、鬼道院の野望を打ち砕くため、動力プラントの破壊を狙うリク達。
動力プラント内への侵入には成功したものの、鬼道院側の警備兵はすでにその動きを察知し、大規模な捜索が始まってしまいました。
鬼道院のクーデター開始まで残された時間はあとわずか。
果たしてリク達はこの地獄島から脱出し、邪悪な野望を止めることができるのでしょうか……?



警備兵たちはこうしている間も迫ってきています。
ぐずぐずしてはいられない中、田中はこう提案してきました。
操作室には自分が行き、制御システムを破壊する。
だからみんなには5分間時間を稼いでもらい、5分経過した後は爆破宇tに巻き込まれないよう各々脱出。
その命、子の瞬間より俺が預かる、絶命は許さん。
必ず地獄島から出してやる!

動力プラントが荒れる中、田中は無事に操作室にたどり着いていました。
中に入るのは当然初めてですが、予想通り油圧制御システムが動いています。
自動制御されているこのシステムを止めてやれば、油圧ポンプが際限なく高圧化して爆発させることができるはず。
そうなれば鬼道院の出発を阻止、さらなる騒ぎとなって地獄島からの脱出も果たせるはずなのです。
ですが、その前に二つしなければいけないことがあります。
ひとつは、連動安全停止機能を無力化すること。
そうしなければ、油圧制御システムの停止と連動して油圧ポンプも緊急停止してしまう。
……そう言いながら、操作室に内海が入ってきました。
事故防止のためにそのくらいの対策をしていることはお前ほど頭が切れる男なら気がついているはずだ。
だがその説明がなかったのは、別に危険のないことだから省いたのだろう。
そして、制御システムを「破壊」する、と言うのはお前なりの配慮か?
……内海はおもむろに壁にかけてあった銃器を手に取り、制御システムに向かって乱射しました。
ですが制御システムには傷一つ突いていません。
これだけ大きな施設なのですから、これくらい堅牢な作りになっているのも予想できているでしょう。
ではどうやって制御システムを停止させるのか?
その答えも田中には想像がついています。
システムを停止する際にしなければならない事……それが、二つめの問題です。
sr1
自らの命を、絶つ……!

内海は負傷している田中を操作室の中から放り出し、中から鍵をかけてしまいました。
制御システムを止めるための手動レバーを引く必要があります。
油圧制御を手動に切り替えた際の安全装置として、そのレバーには生体センサーがついていました。
万一操縦者の身に何か起きた際、自動的に制御システムをシャットダウンさせ、油圧が上がらないように停止させる安全装置。
制御を手動にし、レバーを引いた状態で操縦者が死んでしまえばその生体センサーは正常に作動せず、ポンプは圧力をましていくばかり。
そして、やがて爆発する……
内海は、自らが殺めた椿への贖罪を兼ね……人身御供になる道を選んだのです。
帰りを待つ塀の外の愛しい人物の顔を思い出し、こめかみに銃口を押し当てるのです。

田中は必死に扉をたたき、内海を止めようとしていました。
このままでは内海は死んでしまう。
どうすればいいのかと頭を抱えていると……そこに、
sr2
リクとレノマがやってきました!!
田中の体調がすぐれないことを心配していた二人が何か助けがいるかもしれないとやって来た二人、田中は心配をかけまいと、何でもないからと二人を脱出させようつするのですが……
レノマはその時の間が引っかかり、田中が何かを隠していると看破!!
凄まじい蹴りで操作室の扉を蹴破って中へ突入したのです!!

そこでようやくリク達は、今の誰かの命を引き換えにしなければポンプを爆発させられないという事実を知ります。
それを聞いたレノマは、ふざけんな、と田中と内海の顔面を思いっきりパンチ!!
勝手に死ぬことなど許さない……と言うレノマの怒りが爆発したわけですが、だからと言って現状をどうにかする方法が他にあるかと言われれば……
内海は、ここで田中を失うわけにはいかない、俺が犠牲になって他の8人が逃げる、それしかないんだ、とレノマにはっきりと言い切ります。
ダメなんだ、誰かが死ななきゃ。
内海がそうダメ押しをしようとしたところ、今まで沈黙を守っていたリクがこんなことを言いだしたのです!!
いや、死なないよ、誰も。
レノマ……
sr3
一旦俺を殺せ、体の小せえ俺の心臓ならオメエの本気の蹴りで一発だろ。
その後、心臓マッサージで生き返る。
……荒唐無稽と言っていい、あまりにもリスクの高いその言葉……誰もがにわかには受け入れられないものだったのですが、それでもリクは言うのです。
レノマ、俺はお前を信じてる。



と言うわけで、動力プラント爆破を前に、とんでもない大商が必要になることがわかった今巻。
田中はこの作戦に対して欠かせないブレインですし、そもそも一同を陥れようとしていたうえ、椿を殺めた内海がその命を捧げると言うのはある種納得のいく選択と言えるでしょう。
ですがリクやレノマは、その選択を許しません!!
椿と言う犠牲を払ったからこそ、これ以上の犠牲者は出さない、と言うのがリクの目指すゴールなのですから!!
ですが、だからと言ってリクの提案した、いったん死んで生き返る、と言うムチャクチャな作戦を選ぶというのはとても普通出来るものではありません。
ありませんが……普通ではない正義漢でここまでやって来たのがリクなわけで……!!
瀬川先生らしい、これでもかと言う青臭い、それでいて気持ちのいい正義が振りかざされるこのシーン、目が離せないものになっています!!

そしてこの後、とうとう鬼道院の右腕と言っていい人物、司令長官・剣崎が登場!!
鬼道院への母性で膨れ上がる剣崎は、この地獄島での最終ボスと言っていいでしょう。
果たして剣崎とその部下たちが厳重に警備を敷く地獄島から脱出ができるのか!?
動力プラント編、そして地獄島脱出、相次いでのクライマックスとなるのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!