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今回紹介いたしますのはこちら。

「地獄の教頭」第5巻 大沼良太先生 

スクウェア・エニックスさんのヤングガンガンコミックスより刊行です。


さて、椎名の近衛への復習がとんでもない結末を迎えた前巻。
椎名の策略はここで挫かれることになりましたが、近衛の秘めた闇、そして教育への情念はとどまることはないのです。



いわゆる素行不良の少女、藤峰。
毎日のように夜遊びを繰り返し、学校に来たと思えば午後から。
担任の教師はさすがに苛立ち、重役出勤を決め込む藤峰に、3年のこの時期にこんなことでどうする、進路希望調査票をいい加減に出せ、と怒鳴りつけます。
藤峰は耳を塞いでよそ見。
何を考えているかと思えば、うざいキモイ、死んでよ、と担任教師を見下すような事……と、「キョウちゃん」がこいつをぼこぼこにしてくれないかな、と言うことでした。
キョウちゃん、とは……教頭、近衛のことを指しています。
生徒、そして教師への教育を何より重視している近衛は、この藤峰のことも自然と気にかけていました。
なにせ彼女、夜遊びでトラブルに巻き込まれることが多く……
生徒を守り導く立場の近衛はそれを見過ごすこともできない、と言うわけです。
藤峰のほうも近衛をキョウちゃんと呼んでいることからもわかるように、すっかりこの絵に依存しています。
まるで恋人気取りで、近衛にべたべたしてくるのです。

藤峰は、気持ちよくなること、だけを追い求めて日々を過ごしています。
夜遊びをするのもその結果なのですが、そんな藤峰を今一番気持ちよくしてくれるのが近衛なのです。
近衛の、時折見せる裏の顔。
時として藤峰を守るために、乱暴しようとしてきた男たちをめちゃくちゃに打ちのめすなどのバイオレンスな姿になるのですが、その顔を見るのが目下の藤峰の最大の喜びのようで。
そんな顔を見ようと藤峰はあの手この手で近衛を誘惑してみたり、あえて危険な遊びをしてみたりと気を引かんとするのですが……
近衛は、自分は教頭であなたは生徒だから間違いはあり得ない、私が来られないこともあるのだから自分の体を大切にしろ、と受け流すのです。

そんなある日のことでした。
その日も夜遊びをしていた藤峰は、男に乱暴されそうになっていまして、近衛がやれやれと言った感じで助けに来ました。
来たのですが、その日の近衛はいつもとまるで様子が違うのです!!
悪鬼のような表情になったかと思うと、藤峰を強引に引き摺り起こし、口に指を突っ込んで叫びました!!
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吐きなさい!!
どうやら藤峰は、一緒にいた男に薬を飲まされていたようです。
おそらく彼女のことですから知った上で飲んだのでしょうが、そんなことはこの絵にとって関係ありません。
女子高校生に薬を飲ませるという行動をとった男に激怒し、男が持っていた薬をすべてコップの中の水にぶちまけ、強引にその男に飲ませたのです!
この子に飲ませたのならきっと安全な薬なのでしょう、と鬼の形相で飲まされてはもう反抗などできるわけもなく、男はその勢いに圧倒され、もう反抗する気は完全に失せたようです。
そし近衛は、て藤峰を抱え上げ、まっすぐにどこかへと向かい始めました。
藤峰は、じゃあホテルに行こうとのんきに笑っているのですが……

やって来た場所は、まさかのホテルでした。
路地裏にある薄暗いホテルに迷いなく入っていく近衛。
藤峰は完全にその気になり、1人盛り上がるのですが……近衛は一切取り合わずその薄汚れたホテルのフロントと何やら会話をしています。
昨日来たのに今日もか、私としては三日ごとではなくて毎日創始してくれるとありがたい、二日目でもう暴れるんだ、と奇妙な話を振ってくるフロント。
近衛はそれに答えず、一部屋残ってますよね、とフロントに用件だけを告げるのです。
フロントはわかったと鍵を差し出してきまして、近衛は何も言わずそれを受け取るのです。

近衛は、藤峰を部屋に連れていきます。
そして彼女を部屋に入れると、自分は中に入らずに扉を閉めてしまいました。
ちょっとキョウちゃん、と入口を開けようとする藤峰ですが……何とその扉、内側にドアノブがないではありませんか!!
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ドアノブ壊れてるよ、開けられないよ。
そう部屋の外の近衛に話しかける藤峰に……近衛は語りかけます。
あなたはこれからひどい幻覚、嘔吐や痙攣、薬への欲求による渇きなど様々な副作用に襲われるでしょう。
ここでともに乗り越えていきましょう。
……そこでようやく、近衛の真意に気がついた藤峰。
ドアを叩き、罵倒の言葉を投げかけるも近衛が取り合うはずもなく……
……あのホテルのフロントが言っていた、昨日も来たのかと言う言葉。
実はこのホテルには、藤峰と同じように薬を抜くために監禁した人物がもう一人いるのです。
が、そのもう一人は近衛と一緒に居られるならこのままでいい、とホテルから出ることを拒み、この薄汚れたホテルの中から出なくなってしまいました。
フロントは、藤峰もそのもう一人と同じようになる素質があるのではないかと言うのですが……

幻覚や悪寒、痙攣に嘔吐。
様々な症状に苦しむ藤峰。
学校に居ても家に居ても外で遊んでいても、気持ち悪いやつばかり。
キョウちゃんだけだ、自分を捨てないでくれ。
そうぼんやりと考えながら、地面に転がっていた彼女の耳に、扉の開く音が聞こえました。
部屋の中に入ってきたのは……藤峰が気持ち悪いと言っていた、彼女の両親でした!!
近衛は両親を部屋の中に導くと……
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衣食住は私が管理させていただきますので、じっくり家族会議をなさってください。
そう言い残し、両親と藤峰だけを残して扉を閉めてしまうのでした!!



と言うわけで、またも新たな問題に突き当たることとなってしまう今巻。
とはいえ今のところ、近衛にしては比較的おとなしい「教育」のように思えますが……
近衛の本領はこの後発揮されることとなります!!
問題だらけの藤枝、そしてそんな藤枝の今を作り上げた元凶ともいえ両親。
その三人を同じ部屋に閉じ込め、巻き起こることは……?
最後の最後で近衛が見せる教育は、まさしく強硬手段!!
一体それがどんな結末になってしまうのか……必見ですよ!!

そしてその後はまた別のシリーズが始まります。
スクールカウンセラーとして学校にやって来る奥野がひそかに抱えている問題。
そしてそんな奥野に理不尽にやって来る恐怖……!!
そこでも近衛の剛腕がさく裂するのです!!

今巻は近衛の闇に迫るような展開は少しおやすみ。
初期のような、清濁織り交ぜた行動で事件を解決していくお話がメインとなりますが、その解決方法は相変わらずものすごいもの!!
近衛の教育のすさまじさに芽を奪われることになるでしょう!
そして今回、問題を起こす人物のほうもなかなか酷い人物でして……近衛とは違うベクトルのヤバさを持つその人物にも注目ですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!