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今回紹介いたしますのはこちら。

「片恋スクリーム」第1巻 四位晴果先生 

小学館さんのゲッサン少年サンデーコミックススペシャルより刊行です。



四位先生は02年にサンデーの漫画賞を受賞し、翌年デビューした漫画家さんです。
デビュー後、田辺イエロウ先生のアシスタントを務めながら、読み切り作品をいくつか発表。
07年に「メテオド」で初連載、その後09年に連載開始した「よしとおさま!」を連載し、そちらは7年間、12冠にわたる長期連載となりました。

そんな四位先生の最新作となる本作は、いわゆるラブコメディです。
ですが普通のラブコメディとは一線を画す、とんでもない恋愛が描かれていくのです!



高枝先輩、私、壱年の間野あかりって言います、先輩のことが好きです、付き合ってください!!
体育館の裏で、あかりは高枝先輩に告白していました。
高枝先輩は、この手下身を下駄箱に入れたのは君か、と一枚の手紙を取り出し……0点、と言い放ちました。
こんな紙媒体でこんな文章で人を呼び出すから、ドン亜恐ろしいことが待ち受けているかと思ったのに、ただの告白だったなんて。
がっかりだ。
そう言い残し、その場に手紙を放り投げて高枝先輩は去っていってしまうのでした……

あかりの手紙は、紙に毛筆で、「昼休みに体育館裏で待っています」としたためただけのものでした。
確かに達筆ではあるものの、謎の圧を感じるその手紙……
普通ならこんな手紙では呼び出しに応じることすら見込めないような気がしますが……実は、高枝先輩は本来普通の呼び出しにすら応じないような人物です。
そんな人物がなぜこんな手紙で待ち合わせに来てくれたのか?
その理由は……何と高枝先輩がものすごいホラーマニアだから、と言うものでした!!
一人で廃墟や心霊スポットに足しげく通い、カメラを回してはその手のコレクションを集めようとうろつく危ない人物。
あかりの友人は高枝先輩のことをそう評し、フラれて正解だと慰めるのです。
が、あかりはその話を聞いて……なぜかやる気を漲らせてしまいました。
私は先輩のことを好きなのに、何も知らなすぎる。
好きな人の好きなものを理解する、それが勝利への第一歩!!
そう言って拳を振り上げるのです!!
……ちなみにあかりが高枝先輩を好きになった理由は……顔、だったりするのです……

友人の協力を仰ぎ、ホラー映画なんかを夜通し見る勉強会を催したあかり。
ですがどうもあかり、ホラーが大の苦手なようでして。
友人が平然としているような、わかりやすいフェイク動画でも大騒ぎするような有様です。
そんなことをしている間に、あかりはおじいちゃんがやっている習字教室のお手伝いに行かなければならない時間になってしまいました。
くつろぎモードの友人を残し、早速習字教室に向かうのですが……その道中、街角で何かカメラを回している高枝先輩を目撃するのです!!
思わず後をつけてしまうあかりですが……ひそかにつけているつもりだったにもかかわらず、高枝先輩にばれてしまいました。
何か用があるのか、例えばひどい振られ方をしたから、腹いせに刃物で襲い掛かる、とか。
なかなかいいね、すこしドキドキした。
……でも……君、人間なんだよな。
これが幽霊と化妖怪と可だったら、感動もひとしおなのに。
だから今回の出来事は、7点くらいかな。
じゃ、さき急ぐから。
……高枝先生はほんのわずかに微笑んでそう言ったあと……去っていくのです。

それからあかりは猛勉強を始めます。
ホラー的な知識をとにかく詰め込み、再び先輩の笑顔を見るためにチャンスをうかがうあかり。
とうとうその日はやってきて……先輩が一人で、今は誰もすんでいない事故物件に撮影に来た時を狙って作戦を決行!!
0点から7点になったように、すこしでもいい点数を獲得して……あの笑顔を見たい!!
そっと先輩の後をつけ、先輩が事故物件の中に入った瞬間を狙い、部屋になだれ込むあかり!!
するとそこには
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まさかの、ホンモノがいるではありませんか……!!
思わず絶叫し、腰を抜かしてしまうあかり!!
高枝先輩はあかりに、今回はこっちに夢中で気付かなかった、今最高にドキドキしているから邪魔しないでくれないか、とそっけない言葉をかけるばかりで、振り向きすらしてくれません。
一方のホンモノさんは、軋むような動きでこちらをゆっくり振り向こうとするのですが……
そこで、あかりになんかのスイッチが入りました!!
高枝先輩に振り向いてほしくてここにいます!
先輩のことが好きなんです、その女の人よりも私が何倍も何倍も怖がらせますから、私のこと好きになってください!!
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バッグから取り出した包丁(よくできたラバー製の演劇小道具ですが)を突き付け、泣きながらそう叫ぶあかり!!
そのまま先輩に向かっていくあかりですが、先輩は身をかわしてしまいました。
ずっこけたあかり、持っていたバッグの中身を部屋にぶちまけてしまいます。
出てきたのは、得意の習字で書いた自前のお札……!!
そのお札の効力なのか、あかりの必死さにどんびいたのかはわかりませんが、ホンモノさんは忽然と消えてしまったのでした……
そんな決死の行動でしたが、高枝先輩の評価はこうでした。
ボクは、「結局人間が一番怖い」というのがたまらなく嫌いだ。
特に生きてる人間が……ね。

……もう完全に終わりだろう。
あかりはその行動を反省し、翌日の学校でも引きずったまま机に突っ伏してしまいました。
恋愛脳が行きすぎておかしくなっていたんだ。
それに、あんなホンモノがいたんじゃかなわないよ。
……だけど、それでも好き。
沈んだ気持ちのまま、ゆっくり顔を上げるあかり。
するとそこには……高枝先輩がいるではありませんか!
そして彼はこう言うのです。
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今日の放課後、暇ならちょっと付き合ってもらえないか?
……まさかの、先輩からのお誘い!?
一体これはどう言うことなのでしょうか……!?



と言うわけで、びっくりするほどのホラーマニアである高枝先輩に振り向いてもらうため、あかりがものすごく頑張ることになる本作。
恋愛なんて全く興味のない高枝先輩に、振り向いてもらうにはどうすればいいのか。
好きな人の好きなことを理解する、と言うところに答えを見出したあかりでしたが、答えはまさかの「その先」にありました!!
この後、恋人とはとても言えないものの、あかりは高枝先輩「に」付き合うこととなるのです!!

そんな本作、まぎれもなくラブコメディでありながらホラー漫画となります。
ある理由が存在するおかげであかりは高枝先輩と頻繁に行動をするようになり、そしてそこで頻繁に恐ろしい目に会うことになります。
悪魔でラブコメではあるため、ホラー描写は比較的あっさりしていますが、そこで登場するクリーチャーの類はかなり本格的!!
個人的に高枝先輩と同じく、ホラーはオカルトあってのモノだと自分も考えておりますが、そんな自分も納得のクリーチャー&ホラー現象が楽しめます!!
そしてそんなホラー要素+ドタバタラブコメがメインと思わせておきまして、高枝先輩の抱えるなんだかすごそうな闇のほうも今後にかかわってきそうなのもポイントでしょう!!
単なるホラー要素のあるラブコメでは終わらなそうな匂いがプンプンと漂う本作、今後の物語の展開も注目せずにはいられません!!



今回はこんなところで!
さぁ。本屋さんに急ぎましょう!!