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今回紹介いたしますのはこちら。

「忘却のサチコ」第10巻 阿部潤先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、結婚式当日に逃げてしまったフィアンセ、俊吾さんのことを忘れるために始めたはずのおいしいごはん探し。
最近では俊吾さんと遭遇したこともあり、トラウマを忘れるということすら忘れておいしいものを探し求めている雰囲気も漂ってまいりました!
そんな今巻ではどんなおいしいものが登場するのでしょうか!?



サチコさんは、後輩の小林とともに札幌に来ておりました。
目的は、担当する作家、ジーニアス黒田のサイン会の同行。
基本的に引きこもりの黒田先生、以前は部屋から顔を出させることすら難しい存在だったはずですが、このサイン会には意外にも乗り気のご様子。
書店であった女性ファン、アイドルの桃乃もぎかがファンだったこと。
そんな引きこもっていては体験できない、生のファン(主に若い女性)との触れ合いに、すっかりはまってしまったようなのです。
今回は黒田先生の希望もあってこの札幌の地でサイン会となりまして、2か所の書店を廻る予定になっています。
一体どんなファンが来るのかな、と上機嫌の黒田先生ですが、一日で2か所の書店でサイン会を行うというのは珍しいことですから、サチコさんたちのほうが時間管理など難しい所も多く、緊張してしまうところ。
とりあえず、一件目の書店に向かうのです。

黒田先生は、顔出しNGの作家です。
ですがサイン会と言うからには、絶対に詰めかけている大勢のファンの前に居なければならないわけで……
そこでサチコさんがセッティングしたのは……まるで協会の懺悔室か何かのような、小窓のあいた大きなボックスでした。
黒田先生はその中に入り、小窓を通してサインの受け渡しやら握手やらをする手はずになっているのでした!!

この作戦は功を奏し、黒田先生は大満足で握手会を敢行。
ファンと熱の入った交流を行うのですが……ちょっと熱が入り過ぎてしまっているようです。
予定よりも行列の流れが悪く、このままでは2店舗目のサイン会に支障が出てしまいそうなのです。
やむなく幸子はボックス内で黒田先生に耳打ち。
できれば一人30秒でお願いします、と。
やってみますと変じはしてくれましたが、初めてのサイン会、しかも女性ファンも多いことですし、黒田先生のペースはあまり上がりません。
そこでサチコさん、強硬手段に打って出ました。
長引きそうな気配を察知すると、
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サチコさんが強引に、物理的に黒田先生を引きはがす、という!!

そんなこんなで少し時間が押してしまいましたが、予定の人数を終えた一同、すか座図2店舗目へと向かいます。
やはり時間が気になるところでしたが、ここにきて黒田先生、別人のようにバリバリお客さんを捌いていくではありませんか!
それでいてそっけなさすぎるということもなく、サイン会には十分な誠意ある対応をしているのもすごいところ。
一体どうしてしまったのかと首をかしげるサチコさんたちですが、その原因はサイン会終了後に明かされることとなりました。
黒田先生は、打ち上げにもいかずさっさとその場を後にしてしまったのです。
「あと少しで、桃乃もぎかちゃんのドームツアーが始まっちゃうんだよ。」
……そう言い残して。

すっかりもぎかファンになった黒田先生、サイン会のリクエストをしたのもここでもぎかのライブがあるからだったようです。
ともあれ、問題のある行動などはなかったのでまあいいでしょう!
小林は、じゃあ二人で打ち上げに行かないかとサチコさんを誘い、サチコさんもそれに賛成するのでした。

やってきたのはしゃぶしゃぶのお店。
小林が選んだこのお店、ただのしゃぶしゃぶのお店ではありませんでした。
なんとここで食べられるのは、北海道ならではと言ってもいいであろうラム肉のしゃぶしゃぶ!!
肉用のスライサーを使用して、薄く綺麗にスライスされて運ばれてきたラム肉は、2種類のだしでしゃぶしゃぶして食べるようです。
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まずは、昆布だしのスープで火を軽く通しまして、ジンギスカンの特製だれにつけて一口。
柔らかく、さっぱりしたラム肉の味わいがよくわかるおいしさに、サチコさんは早くもご満悦!
そしてもう一種類の、塩だれと黒ゴマのスープでしゃぶしゃぶ。
こちらは何もつけずそのまま食べるのですが……これもまた絶品!!
ラム本来の味が楽しめるさっぱり昆布だしスープ、塩味のアクセントでまた別の味わいが楽しめる塩だれと黒ゴマのスープ。
味は違えどラム肉のうまみを引き出している点では同じこの2種類を交互に食べれば、どんどんと箸が進んでその手が止まることなし!!
その美味しさは、再びサチコさんを忘却の彼方へと連れて行ってくれるのでした。

幸せな気分でホテルに戻った二人。
ですがそこで、思いもよらないことが起きてしまうのです。
ホテルの手違いで、二部屋予約したはずが一部屋しか開いていないとのことで。
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なんと二人で、一部屋に泊まることになってしまったのです!!
サチコさんは全然気にしておらず、あっさりそれを受け入れるのですが……
問題は、小林のほうです。
彼は最近すっかりサチコさんのことを意識してしまっておりまして……一部屋で一緒に泊まるなんてなればもうドキドキが止まりません!!
おまけに、何も気にしていないサチコさんがシャワーなんかを浴びだしてしまうものですから……もう!!
急に襲い掛かってきたこのシチュエーション、果たして!?



というわけで、札幌で思わぬトラブルに見舞われた今巻。
サチコさんの性格上、間違いが起こるというのはなかなかなさそうではありますが……何と言っても二人ともまだ若い男女、何かがあってもおかしくはありません!!
意識してしまう小林は、そのリビドーを抑えることができるのか?
サチコさんは途中でその気持ちに気付いてしまうのか!?
二人の夜は一体どうなってしまうのでしょうか!!

そんなお話の他、今回もサチコさんは様々な場所で様々なものを召し上がります!
ひょうんなことからマラソン大会に出ることになり、その後の栄養補給に食べる鍋焼きうどん。
まさかの専門店で食べるエビフライ定食。
大分県でまさかの弾丸ツアーを行うこととなり、そこで大変な中でも食べてしまうとり天、地獄蒸し、関サバ。
このほかにも様ざまな料理が登場!!
どれをとっても美味しそうなものを、どれを食べても幸せそうな顔で召し上がれるサチコさんの様子を見守りましょう!!

さらにちょこちょこと出てくるゲストキャラもちらほら登場!
サチコさんにライバル心を燃やすお色気系編集尾野、サチコさんの珍しい敬語以外の砕けた言葉図解や立ち振る舞いを引き出す少年学くん、おなじみの美酒乱先生や紹介のエピソードの後も出てくる黒田先生。
そんな個性派キャラの活躍に加え、サチコさんの様々な顔も楽しめるのです!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!