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今回紹介いたしますのはこちら。

「後遺症ラジオ」第5巻 中山昌亮先生 

講談社さんのシリウスKCより刊行です。


さて、「おぐしさま」にまつわる恐怖をメインに、様々な怪現象を描いていく本作。
今巻でもありとあらゆる恐怖がところかまわず牙を剥いて襲い掛かってくるのですが、今巻は少し様子が違うようで……?



ある少年が慕っていた、カズエおばちゃん。
少年のお母さんの妹であるカズエさんは、いつも少年と遊んでくれますし、少年でもわかるほどキレイな容姿をしていまして。
少年は子供心に、カズエのことが大好きだったのです。

ですが、そんなあるとき、急にカズエがいなくなってしまいました。
少年はもちろんの事、彼の両親もひどく心配していたのですが……数日すると、カズエは当たり前のように普通に帰ってきたのです。
帰ってきたのですが……帰ってきたカズエは、「知らない人」になっていたのです。
見た目は明らかにカズエそのもの。
なのですが、その中には
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「知らない人」が入っている……
少年はそう直感しました。

知らない人になったカズエは、焦点の合わない瞳で少年を見つめ、口を大きく横にひらいて笑い……意味をなさない不気味な声を発し続けるのです。
少年は不安になり、両親に相談。
カズエおばちゃんがなんかへんだよ、へんになっちゃったよ。
少年のその言葉を聞いて、両親はと言いますと……大きくため息をついて、おばちゃんのことをそんな風に言うんじゃない、と腫れものを触るかのような扱いに終始するのです。
両親は何かを知っている、と直感した少年ですが、だからこそそれ以上は突っ込んで話を聞けないこともわかってしまいます。
聞くこともできず、もやもやとした気分を胸にしまったまま生活を続ける少年。
そんな日常の間、常にカズエは、何も言わず……笑みを浮かべながら少年を見つめ続けるのです。
……そして。
夜になると毎日、カズエは少年のもとにやってくるのです。
カテコケトロクケ、コトテタトテル、キキテコテキコク、と意味も何も感じられない不気味な声を囁き……
その合間合間に、こう語りかけてくるのです。
おい、おい。
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山に行くぞ、山に行くぞ、山に行くぞ。
……毎日、毎日、その言葉を少年に。
恐怖なのか、少年ならではの直感なのか。
少年はずっとその言葉を無視し続けることしかできなかったのです……

それから、十数年がたちました。
カズエは、今でもあのままです。
今も誰か……別の何かがカズエの中に入り込んだまま。
そして、年もとらず、あの時のそのまま……

そんな得体のしれない恐怖の襲い掛かるエピソードを収録した今巻。
このほかにも、あの小さな人型の怪異が襲い来る話、おぐしさま関係の話や、単発の恐怖譚など様々収録されておりまして、怖気の立つ恐怖と気味の悪いクリーチャーが堪能できます!!
話と話の合間に差し込まれる暗示的な恐怖イラストも相変わらずでして、その恐怖の質は様々ながら、どこをとっても恐ろしい、いつも通りのハイクオリティな恐怖が楽しめますよ!!

……ですが、実は今回の最大の目玉はそのいつも通りの恐怖ではない所にあったりします!!
本作は連載時、ページ数を一回減らして掲載したことがありました。
その理由は、突然指定難病にかかってしまい、2か月以上の入院を強いられてしまったからなのですが……
実はその前後に、今まで心霊体験的なものを一切していなかった中山先生に、恐ろしい出来事が巻き起こっていたのです!
その件に関して、中山先生は軽く触れたエピソードを減ページの代わりとして発表したのですが……
そのエピソードで中山先生は自身の体験を封印しようとしたそうなのですが……その恐怖の体験はその後も連鎖して起こってしまい、その体験を整理する意味でさらに2話を発表したのです!!
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その「実話版」と題された作品、じわじわとくる恐怖が描かれた実話ならではの恐ろしさを誇っているのですが、その最大のカギとなる部分はあえて伏せられているそうです。
それは……その部分に触れた人物が、不幸に見舞われり、音信不通になってしまったりしたから!!
要の部分は伏せられているとはいえ、もしかすると……感染する、かもしれないその恐怖の実話。
その一端をぜひその目でご確認ください!!



今回はこんなところで!
さぁ。本屋さんに急ぎましょう!!