ia0
今回紹介いたしますのはこちら。

「アイアムアヒーロー」第22巻 花沢健吾先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、クルスの襲撃で一気に崩壊を始めたアサダ教の居城。
パニックは拡がる中、英雄も建設途中のビルの上と言う逃げ場のない場所に追い詰められつつも、超巨大ZQNに戦いを挑んでいました。
ですが超巨大ZQNと一体化している比呂美は、なぜ英雄が自分を攻撃するのかといらだち、その自我を崩壊させつつあって……?



比呂美の意識が超巨大ZQNに残っていて、その行動をある程度支配していることなど知る由もない英雄。
容赦なく降りかかる銃撃を食らい、比呂美はどんどんと負の感情を増幅させていきます。
いたい、なんであたしをこんな目に合わせるわけ?
樹海でおびえていた英雄君を救ってあげたのに、あの女によそ見しやがって。
自分の手を汚せないくせにアタシが殺してやったら悪者扱いって何だよ。
ia1
渦巻くどす黒い感情を表すかのように、ZQNの意識の中の世界で比呂美はどんどんと異形の怪物へと変わっていきます。
そしてそれを表すかのように現実の超巨大ZQNも頭のような部分が二つに分離するような変化を見せ始めます。
それを、銃撃の効果だと感じた英雄は、さらなる攻撃を加えようかとも思うのですが、その分離した間にできた隙間から、向こう側にあるビルが見え……そこにいるクルスの姿を発見したのです!
生存者かとも思った英雄でしたが、クルスの姿がパンツ一丁だったため、感染者なのかと思いなおします。
感染者がうろついているのか、といらだつ英雄、その後も毒づき続けます。
むこうのサンライズビルにヘリポートがあったのか、選択ミスだった、でも操縦はできないし、どっちにしろどうにもならなかったけど……
そうこうしている間にも、背後からZQNの群れは近づいてきます。
自分を守ってくれているZQNの体もボロボロで、もはや限界が近そう。
やむなく英雄はさらに足場の少ない危険箇所へと移動し、一度に襲ってくるZQNを減らすことにしたのですが……一歩でも足を踏み外せば、数十メートル以上下の地面に叩きつけられ、確実にその命はなくなるでしょう。
ここから一歩踏み出せばそれで終わりか、しかし俺にしちゃあよくやったもんだよ。
ホラー映画じゃ真っ先に死ぬタイプだもんな、もしかして東京で生き残ってるのは俺だけだったりして。
仮に誰かいても、あいつらと戦ってんのは俺だけかもなぁ。
ラストマンスタンディングか……恰好いい響きだけど、生き残っても誰も褒めてくれないし、死んだって誰にも責められない。
……そろそろ覚悟を決めないとな。
誰に聞かせるともなく、一人つぶやく英雄。
背後ではぼろぼろになったZQNがまだ頑張ってくれていますし……英雄はさらに上に登り、正真正銘逃げ場のない最上部へと昇ります。
さあ俺、どうする、と先ほどのサンライズビルに向けて銃口を向ける英雄。
すると、クルスの姿は消えていました。
スコープの倍率を調整して周りを探すと、クルスはすぐに見つかったのですが……ちょうどそこに、コロリ達4人がやってきたのです!!
まだ人がいる!!
驚く英雄、そして対峙するクルスとコロリ……
ia2
三人の主役が、ビル越しとはいえとうとう一堂に会することとなったのでした!!

コロリはいつものように、緊張感なく、どーも、クルスしゃんでしゅか?と尋ねました。
そんなコロリとは違い、おばちゃんはものすごい殺気を放ちながらクルスににじり寄り始めるのです。
あたしゃこいつを殺すためにここまで来たんだ、と!
久喜からの移動中にクルスに出くわし、わずかに生き残った人たちを誰かれかまわず惨殺された……
意味のないその惨劇を見せつけられたおばちゃんは、ヘリで脱出などと言うことよりも、その復讐が大事なようで、コロリ達に縁の確保をするように告げます。
そんな時、クルスの中にいる崇が目覚め、おばちゃんが生きていたことに喜びを表します……が、すぐに崇は引っ込み、別のクルスが主人格に。
崇が殺すなって言うから片目で見逃してやったのに、と不満げに語るのでした。
が、すぐにコロリ一派の女に興味を示したのです。
あれ、お前も仲間じゃないか。
わかってるだろ、こっちにこい。
女はZQNのウイルスに体を侵されていながらも、意識を保っています。
つまり、彼女もクルスの一人なわけです。
女はゆっくりとクルスに近づいていく……と見せかけて、手斧で攻撃!!
クルスはあっさりとそれをよけ、女に組み付きました。
初めてだろ、互角以上の力の相手は。
お前も俺たちも人間を超越したんだ、こっち側に来い、頭をあけてある、のぞいてみろよ。
クルスが女に頭を近づけた瞬間、女はクルスの中にいる誰かの精神世界の映像を観させられました。
太った長髪のクルスの過去の映像であるらしいその映像を見せられた女ですが、そこで映像は途切れることとなります。
おばちゃんが問答無用でクルスに斧を振り下ろしたのですから!!
サッと避けるクルスですが……クルスの体は、いつの間にか映像の主である太った長髪の男のものに変わっていて……?
戸惑う一同ですが……一番戸惑っていたのは、スコープ越しで一連の流れを見ていた英雄です。
何で人間同士で戦ってるんだ!?
英雄の理解が及ばないその間にも、超巨大ZQNは徐々に英雄との距離を詰めてきていて……!!
ia3
物語の鍵を握ってきた人物が集まり、そして、戦う……
いよいよこのZQNパニックの決着が、間近に迫ってきたようです……!!



というわけで、7年半にもわたる連載がいよいよ完結となる本作。
コロリとクルスの対決はどのような決着を迎えるのか。
復讐に燃えるおばちゃんはどうなるのか。
超巨大ZQNと一体化した比呂美は?
そして、英雄は……!!
東京の真っただ中で繰り広げられた最後の決戦は、多くの犠牲者を出しながら決着。
そしてこの戦いの中で、このZQNパニック全体の方向を決定づける出来事が巻き起こることになるのです!!

全ての謎が明かされる、というわけではないものの、様々な明かされていなかった部分が明かされていき、そして迎えるフィナーレ。
この池袋での戦いが決着を見た後は、この最終巻の三分の一ほどを使ってのエピローグと言ったお話となっています。
池袋での戦い以降、一気に色を変えていった世界はどうなっているのか。
英雄はどうなってしまったのか?
謎や不安は残るものの、それでも前へ進む意思を表したエピローグは、ちゃんとお話にしっかりした決着をつけてほしいという方は不満が残るかもしれませんが……これはこれで「英雄の物語」の決着としてはありだと思います!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!