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今回紹介いたしますのはこちら。

「うらたろう」第2巻 中山敦支先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。

さて、余命一年の平家の姫、ちよと、不老不死の鬼人・温羅太郎の旅を描いていく本作。
不老不死を目指すちよと、死ぬ手段を探している温羅太郎と目的は全く逆なのですが、不思議と相性の良さげな二人は、降りかかる火の粉を払いながら黄泉平坂への旅を続けるのです。
ところがそんな二人に、また別の闇の手が伸びてきていて……!?


温羅太郎は、ひょんなことからちよの背中に刻まれた奇妙な紋様に気が付きました。
その紋様は、温羅太郎の腹に刻まれたものと同じ。
もしかするとその紋様が、温羅太郎の不老不死と、ちよの余命一年の呪いを結ぶなんらかの要因につながるのかもしれない。
そう思ったのでしょう、温羅太郎はちよに背中の紋様について質問を投げかけました。
が、生まれてこの方ちよは自分の背中を見たことがないとのこと。
一体どんな生活をしていればそんなことになるのでしょうか……
興味の湧いた温羅太郎は、ちよにそっちの方を尋ねてみたのでした。

幼いころから病弱であったちよは、療養のため奥州平泉へと預けられていました。
そこは藤原氏が納める土地でして、療養と同時に和睦のための人質としての意味合いもあったようです。
とはいえ藤原秀衡はちよにとてもよくしてくれて、人質と言えど幸せな人生を送っていました。
そんなちよのもとに、年に一回、誕生日の時にだけ母が訪ねてきてくれます。
そして、それを聞いたのは14歳になるときの誕生日でした。
理由は言えないが、ちよは「16で必ず死ぬ」。
だがこの世には不死と言う伝説が存在する。
このままここに残って幸せに死ぬか、外へ出てくるしみの道を生きるか。
母は
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あなたに生きてほしい。

その後母は、思いバツを受けることを知りながらちよを外に逃がす手引きをしてくれ……こうして千代は旅を始めました。
思いだせば自然にあふれてくる涙。
その涙をぐっと拭い、ちよはいつものはじけるような笑顔で、必ず不死になって、必ず幸せに生きて見せる、と誓うのです。
ちよの固い決意を聞き、一同は旅を再開しようとします。
そのときでした。
ちよと温羅太郎(あとジイの魂)のまわりを、ぐるりと奇妙な怪物が取り囲んだのは……!!
その怪物は、死者に札を張ることで自在に術者の思う通り動かすことのできる死者、キョンシーです。
そしてそのキョンシーを操っている術者は……遠く離れた土地でその様子を見ながら、ほくそ笑んでいます。
一年間、旅は楽しんだかな?
白河関ももう間近だねぇ。
でも私の国から出ちゃだめだよ、おじさん平家に怒られちゃうじゃないか。
さぁ平泉に帰っておいで、ちよちゃん。
そう言ってにやつくその男は……
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藤原秀衡、その人だったのです!!

大量に周囲を取り囲むキョンシー。
キョンシーと言えば、日本の術によって生まれるものではありません。
大陸の術をいったい誰が使っているというのか……?
不可解ではありますが、あまりにも数が多いため、温羅太郎は相手にしないで逃げ出そうかとも考えます。
ですが思いもよらぬものを見かけたことにより、この術を使っているのが藤原秀衡であるらしいことに気が付いてしまいます。
怒りとともにキョンシーたちを再びとこしえの眠りへといざなう温羅太郎……
しかし藤原秀衡は、自分の術が破られてしまっても全く慌てていないようです。
またいっぱい作ればいい、それに……
藤原秀衡がそう言った瞬間のことです。
突然、温羅太郎がガバッとちよを抱きしめたではありませんか!
流石に照れるちよが、慌てて顔を上げると……
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温羅太郎の頭が、食いちぎられているのです!!
真っ黒な狼のような獣が咥えている、温羅太郎の首……!!
あの温羅太郎に防御の隙すら与えないこの獣は一体!?
ちよはこのまま、この獣に襲われてしまうのでしょうか……!!



というわけで、怒涛の二か月連続刊行となった本作。
物語が本格的に動きだし、物語の全容が見え始めます。
ちよがなぜ16歳で確実に死ぬこととなるのか。
藤原秀衡は、なぜちよをにがすまいとしているのか。
そして、この日本が我々の知る歴史とは違った歴史を歩んでいる原因は。
それらが明かされ、ちよに関しての謎が一挙に解明されることとなるのです!

さらに物語の動きはそれだけではありません。
前巻で登場したあの琵琶法師が早くもちよと接触。
そればかりか、誰も予想だにしないビッグネームが参戦し、物語を思いっきり引っ掻き回してくれるのです!!
ド迫力バトルはもちろんのこと、強烈なキャラクターにコミカルな展開を交えつつシリアスなドラマが予想外の方向に展開する、中山先生節が思う存分発揮されていく今巻。
まさに予想不可能な本作、これから先も読めないながら、満足させてくれるストーリーとなることは間違いないでしょう!!
新キャラの活躍とともに、これからに期待していきましょう!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!