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今回紹介いたしますのはこちら。

「じけんじゃけん!」第1巻 安田剛助先生 

白泉社さんのヤングアニマルコミックスより刊行です。



安田先生は、11年にウルトラジャンプでデビュー後、13年にウルトラジャンプで「in THE ROOM」、14年にとなりのヤングジャンプで「KILLER☆KILLER GIRLS」を連載した漫画家さんです。
15年ごろから集英社さん以外の漫画誌にも活躍の場を広げ、現在はヤングアニマル嵐にて本作、くらげバンチにて「私と彼女のお泊り映画」を連載中です。

本作は、そのタイトルに反して(?)事件は特に何も起こらない日常ものです。
ではなぜ事件が起こりそうなタイトルなのかと言いますと、主役キャラクターの人となりにその理由がありまして!?


戸入君、何か云いたいことがあるんなら云いんさい、気持ち悪い。
そんな冷たい言葉とともに、視線を向けてくる長い黒髪に大きな百合の髪飾りをつけた美少女がそう語りかけてきました。
語りかけられた少年、戸入は、恐る恐ると言った感じで、彼女にこう持ち掛けます。
先輩、僕と推理ゲームをしませんか?と。

彼女の名前は、白銀百合子。
その輝くような美貌と優美な立ち振る舞いから、学校ではこうささやかれています。
経てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合子様。
そんな美しさに惹かれ、告白した男子生徒たちは数知れず。
そしてフラれていった男たちも同じ数だけ存在する……
そんなクールビューティーな百合子なのですが、戸入はある日彼女の印象とはかけ離れた姿を目撃してしまったのです。
肩の出るような上着とおしりがはみ出てしまいそうなホットパンツという露出の多い恰好に身を包み、男性と腕を組んで笑顔で歩いている姿を!!
とてもじゃありませんが、今の、普段の百合子の姿からはあんな状態は想像できません。
いろいろ聞きたい!(一緒にいたのが彼氏なら殺す)……と言う気持ちをぐぐっと抑えながら、推理ゲームを持ちかけたのです。

先週の日曜日、三時ごろはどこに?
そうたずねると、帰ってくるのは「一人で本屋に」とぴう当たり障りないものでした。
まあしらばっくれるに決まっている、そう考えた戸入が出した起死回生の作戦が推理ゲームの提案でした。
この白銀百合子と言う人間、頭脳明晰スポーツ万能、芸術に関しても優れた才能を発揮するのですが、そのどれにも深い関心を持ちません、
そんな彼女が唯一愛情を深く注ぐもの……それが、「ミステリ」なのです!

いつもは表情一つ変えない印象のある彼女。
ですがミステリが絡むとなれば、瞳の奥にハートマークが浮かんだかのようなうっとりとした表情を浮かべて夢中になってしまうのです。
そんな彼女に、推理ゲームをしないかと持ち掛ければ……当然食いついてきます!
どんな推理ゲームなのか、と尋ねてきましたので、戸入はいきなりストレートに攻め始めました。
あるところで殺人事件が起こった、犯人の姿は目撃されましたが、犯人はその時間「一人で本屋にいた」と主張しています、犯人の嘘を見破りましょう。
あまりにもストレートすぎる内容……
流石に察せられてしまうかと思われたのですが、
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そんなの証拠見せてと言われたら終わりじゃない!と目をらんらんと輝かせて食いついてきました。
そこで戸入は、先輩に日曜本屋に行った証拠を見せてみてくれないか、と持ち掛けてきました。
なんで?なんかキモいんじゃけど、と言いながらその日のレシートを見せてくれた百合子。
もっともな指摘ですが、犯人もレシートを持っていたんです、が、目撃もされていたんです、とあくまで推理ゲームのほうに修正していきます。
そこで百合子は、レシートなんか別の人からもらえばいいんだから簡単にアリバイは作れると指摘してきたのですが、アリバイを聞かれるとは思っていないはずだからレシートの用意なんてできないはず、と戸入は却下。
殺人事件なら普通アリバイ工作位するだろう、とさらに痛い指摘をされてしまったので、何とか推理ゲームの体裁をとるために戸入は「痴漢事件」だったことに修正するのです。
ですが確かにそれならわざわざアリバイ工作用のレシートをもらったというのは都合いい話になるかもしれません。
そこで百合子は、本当に目撃されたんはその人なんよね?と問題のディテールについて聞いてく見ることにしました。
そのはずですけど……と言いかけたところで、戸入は思い当たることに気が付きます。
先輩、もしかして姉妹とかいたりします?
いきなりそう尋ねてみますと、百合子からはあっさり返答が返ってきました。
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おるけど?双子の妹が。
……謎はすべて解けました。妹だったのか、よかった、と戸入が&する中、百合子は依然うっとりしながら私をもってしても簡単には解けん話を用意するなんて、あなたもなかなかやるようになったわね、と陶酔中。
それで答えは何なん?と興味津々尋ねてくる百合子に、もう目的を終えた戸入はあっさりと、ああ、目撃されたのは双子の兄弟だったんですよ、とまたまた捻りのない返事をして……
直後、百合子の顔は豹変します。
はぁ!?と言う声とともに、全身から得も言われぬ迫力を放出し……
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双子トリックとか、あんたミステリ舐めとるん??
百合子にそう迫られる戸入は冷や汗を流しておびえるのですが……どことなく幸せそうに感じるのはなぜなのでしょうか!!


というわけで、戸入と百合子のミステリ研究同好会の毎日を描いていく本作。
百合子は見た目こそクールビューティーと言った感じですが、その性格はとてもそんなものじゃありません。
クールなのはあんまり見知っていない、心を開いていない人物へ接する場合の話でして、その内実はミステリ大好きで、ミステリがらみのこととなると、推理小説のトリックが見抜けなかったとむくれ、いいトリックが思いついたからとドッキリ的に「現場」を体を張って作っちゃうようなお茶目さんなのです!
ミステリが絡まなくても、カワイイところが数々ある百合子先輩の魅力にひかれること間違いなしですよ!!
戸入はそんな百合子に惹かれ、下心100%でミス研に入学したもったいないイケメン。
しかしミス研にはそんな男子生徒も多く、彼以外の入会希望者はすべて断られています。
もともとこの辺りに住んでいたものの、中学進学とともには東京に引っ越し、高校に入ったら戻ってきちゃったという彼、サッカーではそれなりに注目されていた選手だったにもかかわらず、その道をあっさりあきらめてミステリ研究会に入りました。
そんな百合子に対する多いな執着心を隠しもしない彼、入会を認められたそのスペックはいかに!?

そんな二人がミステリが絡むような絡まないような日常を送っていくさまを描いていくのですが、そのほかに今巻中で二人の新キャラクターが登場します。
イギリス人とのハーフであるアイリスと、戸入と小学校まで親しくしていた四ツ名です。
四ツ名がお話に絡むようになってから、物語は本格始動!
戸入と百合子の関係を描きつつも、四ツ名やアイリスと言ったまるで違うキャラクター性をも二人が絡み、どんどんにぎやかに、楽しく、萌え要素やエロス要素、ラブコメ成分もどんどんもりもりに!!
百合子の魅力がさらに倍増するおまけ漫画もカバー下に用意され、お腹いっぱい楽しめること間違いなしです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!