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今回紹介いたしますのはこちら。

「うしおととら 完全版」第18巻 藤田和日郎先生 

小学館さんの少年サンデーコミックススペシャルより刊行です。


さて、流の裏切り、母の平手打ちなどの出来事に打ちのめされ、白面の者を強く憎んでしまったうしお。
その憎しみの心で白面の者に立ち向かって結果……獣の槍は、ばらばらに砕け散ってしまいました。
白面の者に対する希望の刃が砕けてしまい、再び日本全土は恐怖と絶望に包まれたかに見えたのですが……?


砕けてなお力を失わなかった獣の槍。
その力によって、うしおは遥か過去の記憶をたどることとなりました。
そこで見たのは、とらと白面の者のあまりにも意外すぎる真実。
その真実はうしおに多大な衝撃を与えたものの、同時に彼が怒りと憎しみで見えなくなってしまっていたものを思い出させてくれました。
再び戦う気持ちを取り戻したうしおは、破片となってなお、光となって日本各地に飛び去っていった獣の槍を見送った後、立ち上がるのです。
破片になってもスゲーな、槍。
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でも俺だって、まだ負けてねえさ。

白面の者が二本を支える柱から飛び立ったことで、日本各地は崩壊の予兆となる自信に襲われていました。
さらに追い打ちをかけるかのように襲い掛かってくる台風……
まさにパニックと言う状況に追い込まれ、日本全土で恐怖と絶望の渦が広がっていました。
しかし、日本全土が同じように絶望していたかと言うと……そうではなかったのです!

遠野では、小夜とオマモリサマが現在の状況を見守っていました。
数少ないうしおととらのことを覚えている小夜は、以前の弱弱しい姿とは打って変わった力強ささえ感じさせる立ち姿を見せています。
強い霊力を持つ白老髪の女の一族である彼女は、日本が絶望に満ち溢れているかのようなこの状況でも、笑います。
この国は沈み始め、獣の槍も失われ、すべてが絶望に満ちているのに、と悲観的な言葉ばかり並べているオマモリサマ。
ですが小夜は答えるのです。
全部が閉ざされたわけではありません。
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すでに前兆は、それがわかる人たちの上に訪れていますから。

静岡県では、自衛隊がキルリアン振動機を携え、婢妖と交戦していました。
目の前に迫る恐ろしい化け物たち、そしてテレビなどでも大々的に報道された、巨大なバケモノ……白面の者が飛び去っていく。
おびえ、逃げ惑う人々の中で……目をキラキラと輝かせる少年がいました。
恐怖にすくむ父親に、少年は言います。
大丈夫に決まってるだろ父ちゃん、ボク見たよ。
あのデカいのの後を、金色のが追っかけてったもん。
少年の名は、タツヤ。
かつてうしおととらによって、あやかしの中から、そして自ら閉じこもっていたからの中から救い出された少年です!

青森でも、避難場所で震える人たちの中にこやかに笑う少女がいます。
少女を抱きしめる母親は、なんで笑ってるの?と問いかけました。
少女は、母親の目をしっかり見て晧、答えたのです。
なまはげ……なまはげとね、おにいちゃんの匂いがする。
彼女は、青森でなまはげに扮した猿の妖怪の手から救い出された、詩織です!!

以前報道は続き、白面の者のニュースが告げられ続けます。
一般の人々は、白面の者が人々の恐怖を喰らってより強大になっていくということを知りません。
何も知らず報道し、それを見て、恐れる。
どんどんと自ら状況を悪化させている、と言うことを知っていて、危機感を募らせているのは本当にわずかな人たちだけで……白面の者の思うつぼじゃないか、と言う焦りばかりが募るのです。

そんな時、空には無数の光が飛んでいました。
それは、砕けた獣の槍の破片。
その破片は一つ一つがしっかりとした意思を持って動いているようで……そのひとつが、軌道を曲げて下降を始めました。
向かう先は……東京、みかど市。
そこには、多くの人々が避難している体育館があり……そこに、麻子の両親が避難しており、ちょうど麻子もその場にやってきたところでした!
ですが喜びもつかの間、避難所は白面の者への恐怖でパニックに陥る寸前となっていることに気が付きます。
麻子達三人は何とかそれを落ち着かせようとするのですが、もうそこまでいけばパニックになってしまうのは時間の問題。
麻子は、名前も知らない槍を持った少年のことを思い出し、負けてられない、きっとアイツだって、と踏ん張って何とかパニックを抑えようとするのです!
するとその時、天井に何か不思議なものが見えました。
天井が透けて、流れ星が見える……?
そしてその流れ星が一つ折れて降下し……天井を通り抜け、まっすぐ自分のほうへと飛んでくるではありませんか!!
麻子がよける間もなく、流れ星は額に突き刺さり……
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その頭の中に巣食っていた婢妖を撃退したではありませんか!!
その瞬間……麻子の中に、何よりも大事だった記憶がよみがえってきます。
うしお。
ついに麻子は……そして、日本中のうしおととらに勇気を与えられた人々は、その記憶を取り戻したのです!!


というわけで、ついに麻子たちの記憶が取り戻される今巻。
麻子たちの記憶がなくなってからのうしおは、つらい目にばかり合っていました。
親しい人々からは忘れ去られ、頼れる存在であるはずの光覇明宗の僧侶たちはみな石と化し、特に慕っていた流は敵に。
母とのつかの間の再会も、うしおの張りつめていた緊張の糸を断ってしまう結果となり……
そんな苦しさしかなかった試練の時が、とうとうここで逆転!!
ここからうしおたちの逆襲が始まるのです!!
今巻ではまだその逆転の始まりまでしか描かれていませんが、この後の怒涛の攻勢を予感させる描写がしっかりとされています。
ここから先はもうノンストップ!!
それはもうすさまじいカタルシスが得られることは間違いありません!!

さらにこの少し前に語られる、白面の者ととらの因縁も見逃せません。
昔のことはよく覚えていないというとらと、よく似た存在である字伏。
とらが字伏であることは間違いない、のですが……それ以上の、驚くべき因縁と、驚愕のドラマが秘められていようとは!!
こちらのエピソードも忘れてはいけませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!