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今回紹介いたしますのはこちら。

「辺獄のシュヴェスタ」第3巻 竹良実先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

さて、修道院とは名ばかりの地獄から脱出し、その修道会のトップに立つエーデルガルトに復讐をしようと画策するエラ。
孤独で果ての見えないと思われていたこの戦いですが、同じように修道院から脱出を考える3人の仲間と、かつて脱出を試みたものの作った抜け穴を発見し、ほんのわずかながらも希望が見えてきました。
ですがやはりこの修道会の闇は深く、まだまだ脱出までにいくつも越えなければならない壁があるようで……


修道院の一位生の間に、奇妙なうわさが広がりました。
思わせぶりなその噂ですが、実際はそれほど大した内容ではありません。
ですがその噂をきっかけとなって、エラたちが孤立しそうになってしまいます。
この修道院で孤立するというのは、絶対に避けなければならないこと。
何かがあったとき、ほかの一位生から生贄として差し出される恐れが強まってしまうからです。
が、この事件はエラたちの機転によって、大事になる前に解決しました。
特に何事もなかったかのように、今まで通りの「地獄」の普通の日々が始まる、はずだったのですが……

噂が終息し、再び隠し通路を通って食料を手に入れようとした4人。
ですが、その隠し通路につながる抜け穴をふさぐ隠し扉がどうしても動きません。
どうやら、その隠し扉が開く先に箱が置かれてしまった様子。
今日の探索はあきらめ、日中に外側のドアからは行って箱をどかそうということにしました。
そんな間も、えらの心の中には不安が襲ってきます。
箱が置かれたのが偶然だったらいいのだけれど……
あれだけ注意して隠し通路を通ってきて、食事を捨てることに関しても気を使ってきました。
脱出計画がばれたとは考えづらいですが、やはりどうしてもその不安は消えないのです。
気分が晴れないまま自分の部屋に戻るエラ。
すると、そこに予想だにしなかった人物が待ち構えていたのです!
それは、普段はほとんど交流することすらない上級生、二位生。
三人来ていた二位生の中のリーダー格らしいジビレは、エラにこう声をかけてきたのです。
残念だわ、総長様への忠誠心は偽物だったようね。
……まさか不安が的中してしまったのか……?
その恐怖を隠し切れないまま、何のことを、と声を絞り出すエラ。
ですがジビレは聞く耳を持ちません。
戯言を、いつまでシラを切れるかしら。
死を持って償わせる、この反逆者を連れていきなさい!
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そう言って、エラを水で満たされた樽の中へ叩き込み、どこかへと連れ去ってしまうのでした!!

エラは、暗く小さな石壁の洞穴のような部屋でようやく解放されました。
苦しそうにせき込むエラに、ジビレはお構いなしとばかりに言い放ちます。
ここは処刑を待つものの独房、あなたの反逆のことはわかっています。
すべてをお話なさい、ナターリエお母様に。
気が付けばそこには、修道女のナターリエがいました。
ナターリエは、あなたの罪はあなたが一番知っている、私から言うことはない、とエラを見下ろしてきて……
そのまなざしを真っ向から見つめ返し、沈黙をもって答えるエラ。
するとナターリエは、エラが何も言うことはないとわかったようで、暗闇と孤独の中で思い知るに任せよう、と独房を立ち去ろうとします。
エラは、なぜ、どこまでばればたのか、少しでも現状を知るためにナターリエを呼び止めようとしたのですが、そこでジビレが立ちふさがります。
容赦なく岩壁にエラをたたきつけ、エラを黙らせるジビレ。
神聖な懺悔の場での大声は慎みなさい、いつまでも隠しおおせはしませんよ。
その言葉を最後に、独房の扉は閉ざされ……一条の光も刺さない暗闇と、蜘蛛が這う音が聞こえるのではないかというほどの静寂があたりを満たすのでした。

どれくらいの時間が経ったでしょうか。
唯一の外界へ続く扉には、体当たりすら許さないよう鋭利な棘が付けられており、抵抗を試みることすら許しません。
暴れることすら許されず、有り余った時間はエラに様々なことを考えさせます。
いつからばれていたのか?
初めからすべてを見透かされて嘲笑われていたのか。
あいつらはこの状況で完全に駆った気でいるだろう。
でも、刑の執行のために連れ出されるその時に奴らを出し抜いてやる!
絶望の中でも復讐の炎を燃え上がらせていたエラですが、その時突然扉の下につけられていた小窓が開き、食事が差し出されました。
お母様のお慈悲に感謝なさい、という言葉とともに差し出された食事。
ですがその食事などより、それとともに差し込んでいた光がエラを打ちのめすのです。
闇に慣れすぎたエラの目に飛び込んできた光はあまりにも眩く……
目がくらみ、エラは何一つ行動することができなかったのです!
このザマでは、処刑に連れ出されるときに戦うことなんてできないのではないか!?
救いの食事と光が、より強い絶望をもたらすこの窮地……
食事には当然あの薬が入っているはずで、口にすることもできません。
心身ともに弱り始めたエラは……とうとう、
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母の幻覚まで見え始めてしまい……!!

弱り切った姿を見たジビレ達二位生はほくそ笑みます。
大分参っていた、無理もない。
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一位生全員が同じように独房に入れられていることなど知らず、皆死刑宣告を真に受けているんだから。
……恐ろしいことに、独房にはとらえられたものの声が漏れ聞こえるような仕掛けが作られていました、
この修道院には、母親が「魔女」の疑いをかけられて処刑され、残された結果ここにやってきた者も少なくありません。
そんな者が苦しみのあまり母親の幻覚を見て、懐かしい面影に救いを求めたとしたら……?
魔女に救いを求めるその声を聞けば、当然待っているのは……!!


というわけで、ギリギリまで追い詰められてしまったエラ。
今までは不屈ともいえる精神で様々な難関を乗り越えてきた彼女ですが、今回ばかりは答えきれないかもしれません。
すべてがばれてしまい、処刑を待つだけと思いこまされてしまったうえ、誰かとの会話も、食事も、光さえも見られないこの状況……
さすがの彼女も正常でい続けることはできず、母の幻影を見てしまったわけです。
ほとんど詰みといえる状況に陥ってしまったエラ。
その状況は危険極まりないものなのですが……
同じく仲間たちもとらえられてしまっているというのがさらに危ないところ!!
4人のうち誰かがまいってしまえば、本当はすべてがばれているわけではないこのギリギリの状況が完全に終わってしまいます。
この危機的状況を打破する逆転の手はあるのか?
この後も手に汗握る展開が待っているのです!!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!