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今回紹介いたしますのはこちら。

「囚人リク」第26巻 瀬口忍先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、死の選抜へのタイムリミットが迫る中、脱出のために奮闘する一同。
警備の隙を縫い、リクはなんとか地上に這いだし、この地獄島から見える山の稜線を描くことに成功しました。
脱出への第一歩を踏み出した一同、次なる作戦は……?


死の選抜まで残る時間は15日。
タイムリミットが迫る中、一同は次なる段階へとさっそく進みます。
次にしなければならないのは、この地獄島がどこにあるのか、を確定させること。
そのために、少しでも多くの人にこの稜線を見せて、この地獄島の場所を特定できる人物を探さなくてはなりません。
この地獄島には無数の囚人が収監されていますし、その中にこの山の稜線を見て場所が特定できる人物がいるとも限りません。
砂漠に落とした針を探すような、途方もない話……
ですがそんな困難な状況に向かって真っ先に立ち上がったのは……周龍でした。
リクが地上に行く隙を作るため、極悪非道の看守ギロチンの攻撃をとことん耐え抜いた周龍。
彼の体はもうボロボロで、立ち上がることすら困難なはずなのですが、彼の中で一同を一度裏切ってしまったことへの後悔がまだくすぶっているのでしょう。
真っ先にこぶしをつきだし、山の稜線を知ってる人間は俺が一番最初に見つけて見せる、と豪語したのです!
そのこぶしに、田中もこぶしを合わせて俺もそのつもりだ、と答えると……ほかの一同もこぶしをつきだし……
一同は死の選抜までの15日間に、全力を尽くすことを誓い合うのでした!

早速手分けをして聞き込みを開始する一同ですが、さすがに先日騒ぎがあったばかり、目立つ行動は控えなければいけません。
慎重に、看守の目につかないように聞き込みをしなければいけない……
なんといってもこの地獄島には、数え切れないほどの人間がいます。
これだけいれば、山を知っている人は絶対にいる!とリクは自分に言い聞かせるのですが、やはりそうなってくるとその多すぎる人数がネックになってくるわけです。
この中からその人を見つけられるのか?と考えると、どうしてもリクの心の中を不安が覆い尽くしてしまいそうになってきます。
その不安を何とか振り払い、リクは聞き込みをしようとするのですが、周りを見回すと聞き込みそのものがなかなか難しいことだということがわかってきました。
何かずっとぶつぶつとつぶやいているもの、少し体が触れただけでもたもた歩くなと怒声を浴びせてくるもの、顔面に苛立ちの感情を溢れさせているもの。
ここにいるほとんどが、日頃のストレスでイライラをため込んでいるのです。
変な相手に話しかけ、騒がれでもしたら一気に面倒なことになるかもしれない……
考え込み、思わず足が止まってしまうリク。
そんなリクに、背後から優しい声をかけてくるものが現れます。
新入りかい?
気を付けなよ、ここはまともな人間はほとんどいないからね。
夫立ち止まるな、看守に怒られるぞ。
そう語りかけてくる優しそうな男性。
リクは手始めとばかりにその男性に、腕に描いた山の稜線をみせ、これがどこの山かわからないかな、と尋ねてみました。
帰ってきた答えは当然、
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……いやまさかの、知ってるよ、というものでした!!
あまりのとんとん拍子に驚いてしまった陸はその場で転倒!!
看守に叱られてしまいましたが、すぐにその男性に助け起こしてもらって大事には至りませんでした。
早速この山ってどこの山なの?と聞いてみますと、男性は何やら交換条件をだしてきました。
教えてあげる代わりに、僕と友達になってよ。
この仕事さ、1か月頑張ったら外の世界に解放してくれるらしいんだ、お互い外に出たらずっと友達でいようよ!
驚いただろ、開放してもらえるんだよ!
これはちゃんと看守から直接聞いたんだからほんとだよ!!
夢の中でだけど、夢の中でだけど!!!
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突如豹変し、正気とは思えない表情でまくし立ててきた男性に恐怖し、リクはその場を逃げ出します。
結果として成果のなかったリクですが、ほかのメンバーもやはり収穫なしに終わります。
しかもその聞き込みの中で、レノマや田中はこの島の恐ろしさを再確認することになったそうで。
自分たちがリクを地上に出す隙をつくために利用した看守と、周龍が体を張ってひきつけたギロチン。
その二人が、忽然と消えてしまっていたのです。
おそらく……殺されたのでしょう。
看守であろうとも、少しでも問題を起こせば即処分されてしまう。
自分たちのため、やむなく犠牲にした看守たち。
人の命を何より大事にするリクにとって、それはどうしても忘れられないこと。
重ねた罪は忘れない、絶対裁きは受ける。
でもこのままじゃ、今のこの世界じゃそれはかなわない。
殺して終わり、俺はそんなの絶対違うと思う、そんな世界を俺は変えたいんだ。
そのために俺は、必ずここから脱出する!
静かに決意を燃やすリク。
一同はそんなリクの姿にまた力をもらうのでした。

動きがあったのは、江田の聞き込みでした。
作業をしているなか、ふらついている老人を発見した江田。
その老人は、この地獄島で何回か見かけた弱弱しい老人です。
会うたびにいつも危なっかしいな、と彼を助けてあげる江田ですが、看守の目の届きづらい物陰だ休ませてやると連れていく最中に、老人は江田の腕に描かれた稜線を見つけました。
そうだった、と江田は老人に山の稜線のことを尋ねようとしたその瞬間のことです。
老人は江田の腕をがっしりとつかみ、刺すような鋭い目つきをしながらこう言ったではありませんか!
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地獄島の場所を知って、いったいどうするつもりじゃ。
……何も説明していない段階で、江田の知りたいことすべてを看破したこの老人……いったい何者なのでしょう!!


というわけで、地獄島脱出計画が少しずつ進んでいく本作。
思わせぶりな発言をするこの老人、その正体は一体……?
少なくともこの老人はほかの囚人たちのような危険なだけの人物ではなさそう。
彼がこの地獄島の場所を教えてくれるのでしょうか?それとも……?

死の選抜が近づいていく中、やはり計画がただ順調に進んでいくわけもありません。
迫りくる死に、どうしても恐怖を抑えきれない天野がもたらす不和。
地獄島でも怪しく光る監視の目。
目の当たりにする残酷な現実。
そして……まさかのあの人物の再登場!!
迫りくる死の前に、一同はこの地獄島から逃れることはできるのでしょうか!!
タイムリミットはいやおうなく迫るのです!!


今回はこんなところで!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!