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今回紹介いたしますのはこちら。

「ワールドトリガー」第14巻 葦原大介先生 

集英社さんのジャンプ・コミックスより刊行です。

さて、修が自身の成長の手ごたえを感じ始めた矢先に敗北を喫してしまったランク戦。
自分とほかのボーダー隊員との差を縮めるということに頭が行ってしまっていた修でしたが、この敗戦と様々な人の言葉を受け、まず戦力として以外の隊長としてできることを試すことにしました。
そこで修は迅に玉狛第2に入ることはできないかと尋ねたのですが……?


修が新たな戦力を引き込もうと奮闘しているなか、千佳や遊真もそれぞれ転機を迎えていました。
大勢のスナイパーが参加し、実戦形式で行われる捕捉&掩蔽訓練。
広大な市街地の仮想マップの中で射撃戦を行い、ヒットさせられた隊員にはヒットされたことを示すマークがつき、-2点。
ヒットさせたほうは+5点加算され、同じターゲットは二度以上打つことができないというルールで点数を競い合う訓練です。
この訓練では射撃の音や光がないため、ほかの隊員たちの打ち合いなどに乗じて狙撃するというようなことはできません。
独力での索敵能力や、狙撃の正確さ、身を隠す技術などが試されるわけです。

そんな訓練を終え、千佳の点数は的中22、被弾3の104点で19位。
127人が参加したこの訓練で19位とは、かなり上出来といえるでしょう。
上々の成績を収めて帰ろうとする千佳と夏目、そして最近知り合って以来何かと気にかけてくれているB級2位チームのスナイパー、ユズル。
ユズルは普通の的当てよりも実戦形式のほうが成績はいいとは珍しい、と千佳を評します。
千佳からすれば、その珍しいという成績はある程度納得できるもの。
千佳はレイジに射撃を教えてもらっているわけですが、レイジの教えは最初から実践を見据えてのものでして。
打ったらすぐその場を離れて身を隠す。
その身を隠すことを前提にした戦い方をたっぷりと教わっていることで、相手がどこに隠れたいかが何となく見えてくる、ということのようなのです。
それを聞いてユズルは考えます。
ちゃんとした師匠がいるんだ、もったいないな、と。
実戦形式の訓練でこれだけの結果を出しているのですから、今までのランク戦で1点も取っていない方が不自然といえましょう。
「人が撃てない」という弱点が響く千佳。
そんな彼女に、夏目はノーデリカシーにお師匠さんに人のうちからも教えてもらえばいい、とズバリ言っちゃうのですが……
レイジはこう言ってくれたといいます。
お前がちゃんと訓練していることは玉狛のみんながわかっている、あまり自分を責めるな。
人が撃てないのはある意味正常なことだ、戦いたいなら少しずつならしていくしかない。
その言葉の端から、千佳が大事にされていることは伝わってきます。
千佳もそのことはよくわかっているでしょう。
ですが、だからと言ってその緩やかな成長を待つような時間はないのです。
このままではチームの役に立てない、早くなんとかしなきゃ。
そういう千佳の後ろ姿に、ユズルは誰かの後ろ姿をだぶらせたようで……
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雨取さん、ちょっと付き合ってくれる?
……力になれるかもしれない。
本来、ランク戦を争う敵であるはずのユズルが言い出したその言葉。
いったい彼は、千佳に何をしてくれようというのでしょうか?

そのころ、個人ランク戦に向かおうとしていた遊真は、道に迷っていました。
ボーダー本部はどうも似たような道ばっかりだ、と首をかしげていますと、そこに一人の男がやってきます。
遊真の道案内をしてくれるという男性、渡りに船とばかりに遊真は案内をお願いし、目的の場所にやってくることができました。
昔は俺もよく迷ったよ、と笑うその男性に、どなたか存じませんがありがとうございました、といつもの調子で頭を下げる遊真。
ですがその男性、それはないだろうと笑うではないですか。
男性の名は、柿崎。
B級13位、柿崎隊のリーダー……次のランク戦の対戦相手の一人だったのです!
それは失礼したと遊真が謝っておりますと、そこにまた一人やってきました。
今度やってきたのは、先日のランク戦の解説をしていたA級6位の加古隊隊長、加古。
加古は、ここであえてラッキーね、と遊真に握手を求めてきて……いきなり遊真にこんなことを言ってきたのです!!
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あなた、うちのチームに入らない?

そして、修も独自の動きをしていました。
先日のお礼に嵐山隊の作戦室を訪ねていた修、時枝に惜しかったねと声をかけられました。
いろいろ教えてもらったのに、自分は全然だった、とうなだれる修。
ですが時枝は、誰だって負けるときは負けるんだから気にしなくていい、負けから何かつかめたのかと先を見据えるための言葉で返してくるのです。
あの敗北で修が実感したのは、先輩たちから言われていたことの正しさでした。
一朝一夕でできることではないのに、自分自身で点数を稼ぐことばかりに気を取られ、結果としてほかのメンバーに迷惑をかけてしまった……
それをかみしめ、シューターとしての訓練を続けながら、次からはチームでの具体的な戦術を詰めていくと決めたのです。
……その戦術の中で、二人に比べると明確な強みが決定的に欠けている修に何かできることがあるか、はまたこれから考えるところなのですが。
それを聞いた時枝は、修に新たなアドバイスを与えます。
だったら自分や嵐山さんに教わるよりも、木虎に教わったほうが早いかもね、と。
どうしてそこで木虎の名前が出てくるのか分からない修。
そんな修に、時枝はその意外な理由を明かしてくれました。
たぶん木虎は、三雲くんに会った戦い方を知ってると思う。
あいつも三雲くんと同じ、
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トリオンが少なくて苦労した人間だから。


というわけで、玉狛第2の面々がそれぞれ奮闘する今巻。
千佳はユズルに、修は木虎にと、それぞれ教えを乞う展開になるようですが……
千佳は技量的に見ればすでにそこそこの力を持っていますが、問題は精神的な部分。
精神的な部分というのは訓練で修正するのが難しいもの。
果たしてユズルは千佳に何を教えるというのでしょうか?

そして修は、あの気難しい、特に修にとっては特別気難しい木虎にアドバイスを求めます。
現在はともかくとして、かつては鳥音不足に悩まされたという木虎ですから、おそらくその時に培った技術が今の修に役立つでしょう。
ですが、あの木虎が素直に教えてくれるものでしょうか?
こちらもすんなりとはいかなそうですが……

引き抜きにかけられた遊真のほうは、それにホイホイと乗るようなことはないでしょう。
ですが遊真がA級隊員にも一目置かれている存在だということがはっきりとしたわけで、各チームの遊真対策はさらに進んでいくことでしょう。
その包囲網を潜り抜け、ランク戦を勝ち抜いていくことができるのか?
3人のそれぞれの成長が試されるのです!!

そしてこの後、さらに物語に大きな動きが!?
急展開を迎える本あくから、ますます目が離せませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!