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今回紹介いたしますのはこちら。

「新・血潜り林檎と金魚鉢男」第1巻 阿部洋一先生 

アース・スターエンターテイメントさんの、アース・スターコミックスより刊行です。

さて、連載していたウェブ雑誌、電撃コミックジャパンの休刊とともに連載が中断された本作。
15年から、こちらは紙媒体からウェブ雑誌に移行したコミックアース・スターで連載を開始したのですが、連載ペースは不定期でして、連載開始から1年ほどが経ってついに単行本刊行となりました!
そんな本作は「新」が付いてはおりますが、完全なる「血潜り林檎と金魚鉢男」の続きとなっています。
野生の血潜り、翠花と和解したものの、大勢の血潜りたちが捕獲されて街に連れ去られてしまった、というところで終わっていた無印の第3巻。
気になるその続くがいよいよ楽しめる今巻の内容は……!?


連れ去られた血潜りたちは、街に戻ると比較的すぐに見つかりました。
が、それはまだまだ技術の未熟な研修生ばかり。
彼女たちを指導する先生や、血潜りたちの長ともいえるばば様の行方は知れないままなのです。
ばば様と先生の安否は気がかりですが、とりあえずこれで血潜りの基地は維持できます。
昊介は、回収した人魚毒を隔離しに行くという林檎とともに基地に向かうことにしたのでした。


基地では、大勢の研修生たちが訓練に励んでいました。
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なにせあの襲撃によって里は壊滅、基地で力を付けて奪還しなければいけないわけで……
田所さんや、子持ちの大ベテラン血潜り、杏先輩なんかの指導のもと一同は力を付けようとするのです。
肉体派血潜り、鬼灯の管理によって金魚毒を補完する金魚鉢のガードはばっちり。
と同時に、頭脳派系の血潜り、紅葉によって金魚毒の解析も行われようとしていました。
ですがいくら金魚毒を調べても、なかなかその全容は見えてきません。
翠花の行動をヒントにして、金魚化してしまった人の中に潜って「すくい」、元に戻す……という計画を実行有するには、現状ではあまりにデータ不足。
何かのトラブルでも起きて昊介の妹の身に何かが起きてはいけませんし、昊介も焦らず調査の進展を待つことにしたのです。

翠花はと言いますと、一人で血潜りの時金魚毒を掬いあげるポイの栽培をしておりました。
研究結果が出るまで金魚の中には潜れないうえ、普通に人に潜るのもまだ辞めておけと言われている翠花、これくらいしかやることがないとぼやいています。
が、そんな翠花に、まだ潜らせないのは基礎もロクにできてないからだろ、と突っ込んできたのは杏先輩。
野生生活が長く、技術がめちゃくちゃな翠花は、まず基本を習わされることになったようです……

ところで、林檎の直属の先輩、苺はどうなったのでしょうか。
彼女がしているのは……犯人捜しです。
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この里を襲撃した事件の犯人と思われる勢力は、ことあるごとに怪文書を残しています。
「もう血潜るな!!人は金魚になるべきだ!!」。
それだけだ書かれた怪文書・・・…
林檎は今日も、その手掛かりを手繰って犯人を捜していたのです。

昊介は、苺の残した言葉を反芻していました。
血潜りへの攻撃が本格的になり始めている。
人の金魚化を望む奴らにとって、私たちは障害でしかないからだ。
金魚毒回収鉢の破壊、里の破壊、ばば様と先生の誘拐、杏に加えられた襲撃。
そんな攻撃からスルーされているのは、研修生の子たちと翠花、そして林檎と昊介くん。
研修生は未熟でまだ血潜りはできないし、翠花は訓練を受けておらず荒削りだし、リンゴはまだ見習いだからでしょうね。
ただ、昊介くんと林檎が組めば一人前と変わらない。
だから、あなたたちは血潜りを続けて。
そうなればあなたたちも狙われるかもしれないけど、金魚鉢男が人を襲い続ける以上、血潜りが血潜りをしないわけにはいかない。
私は奴らを何とかしてみる、翠花の「金魚化した人間をもとに戻せるかもしれない力」が知られたら、奴らに即襲われるだろうから。
……妹を助けるためにも、昊介は張り切ります!
林檎もびっくりのやる気を見せる昊介ですが、もちろん昊介と林檎の二人だけでどうにかなるはずもありません。
そのためには一刻も早く、研修生たちを使える血潜りにしなければいけないわけで……
その訓練の進み具合はと言いますと、意外にも里にいるころよりも成果がある感じ!
それも、練習の指揮をとっている杏が、それぞれの人物の長所を伸ばしたり、生徒が求めるところへ進ませてくれる柔軟な指導をしてくれているため。
里を追われた状態ながら、状況は決して暗くありません!
……と言いたいところなのですが、杏にはどうしても気になることがあるというのです。
それは、研修生の一人、柘榴の存在です。
彼女はひとり、基地のはずれで煙草をふかしていました。
その吸い殻を投げ捨て、足でぐりぐりと消しながら、彼女は言うのです。
まどろっこしいことやってんじゃねーよ。
あんな保守的なことばっかしなくても、ようは
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直接金魚鉢男をぶっ殺しゃ済む話だろうが。
そう言いながら、金属バットの素振りを行う柘榴……!!
過激な行動に出ようとする彼女の存在が、この後とんでもない事態を引き起こすこととなるのです!!


というわけで、ついに単行本の刊行が再開された本作。
物語は、謎の人魚化推進組織との戦いとなる……と思われたものの、この暴走する血潜り、柘榴を中心に進んでいくことになるのです!
柘榴が標榜しているのは、金魚毒を動向よりもまずその元凶を始末してしまおうという過激意見。
金魚鉢男を始末すればきっと金魚毒も消え、金魚にされてしまった人間たちも元に戻るんじゃないか?と彼女は考えているようなのです!
が、本当にそうなるか分からないことが問題なわけで。
金魚鉢男を殺したことで、金魚毒は消えず、今ある金魚毒で研究が完了しなかったら?
今よりももっと悪い事態になってしまう恐れもあるのです!!
それにそもそも、あの得体のしれない存在である金魚鉢男は殺せるものなのでしょうか?
下手をすれば、何かとんでもない事態が起こってしまうかもしれません!!
なんとしても止めなければならない柘榴の暴走ですが、事件は依然金魚鉢男騒動に巻き込まれた昊介の友人、吉田と滝口を巻きこんで大規模なものになってしまいます!!
混迷の事態に陥っていくシリーズ待望の最新刊……二転三転するストーリーに、続きが気になる引きも用意された大満足の一冊となっていますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!