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今回紹介いたしますのはこちら。

「黒鉄の太陽」第1巻 白川雷電先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。

白川先生は14年にジャンプのウェブ漫画賞を受賞してデビューした漫画家さんです。
その後15年よりとなりのヤングジャンプで本作の連載を開始し、このたび単行本刊行となりました。

さて、本作は主人公が異世界に迷い込む系のお話です。
異世界とは言っても昨今はやりのファンタジーな世界ではなく、本作のそれは少し変わった者。
果たしてその内容とは……?


朝7時。
目覚まし時計が鳴り響き……その目覚まし時計を殴って止める手が伸びてきます。
その手の主は、神川リン。
17歳の彼女は文武両道を誇る黒髪の美少女です。
今日は期末テストの日なので、いつもより底氏早く学校を出ないといけません。
手早く着替え、台所に入っていくリン。
そこには倫の食事こそ用意してあるものの……両親も、最愛の妹のマユの姿もないのです。
仕方無くニュースを見ながら食事をとるリン。
中国南部で24日以降相次いで地面が陥没する事案が発生していて、大きな地盤沈下の予兆ではないかと見られている。
そんなニュースをただなんとなく眺めているうちに、食事は終わります。
食べ終わった食器を洗って片付けた後、歯磨きへ。
テレビを決して静かになったからなのか、何か奇妙な音が鳴り響いていることに気が付きました。
ゴウンゴウンという、洗濯機が回るかのような……駆動音のような音が。
歯磨きを終えて口を濯ぐと、それまで出ていた水道の水が急に止まってしまうのです。
口を濯いだ後だったというのが不幸中の幸いですが、一体これはどういうことなのでしょう。
朝から家族はいないし、妙な音はするしでおかしなこと続き。
おかしなことの流れでテスト範囲の勘違いなんかがなければいいけど、などと考えながら、靴を履き、行ってきますと玄関の扉を開けると、そこには……何もありませんでした。
文字通り、
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地面すら、何もなかったのです!!
まるでリンの家だけを切り取ったかのように、地面がなくなっている……!?
直後、突然家の乗っかっていた地面が傾きます。
何かのケーブルの類でかろうじてこの体勢を保っていたらしいのですが、それも限界が来たようで……家はどんどんと傾いていきます。
慌てて家の中に逃げ込みますが、このままではどうなってしまうかわかりません。
身を守らなければ、ととりあえず自分の部屋に向かうのですが……90度傾いた家の2階に恐る恐る降りていくと、突き当りだった壁が抜けてしまっていることに気が付きました。
あそこに落ちたらひとたまりもありません。
とにかく動かなければ危険だと思っていても、体は動かず……
そんなとき、脳裏によぎったのは父の言葉です。
いいか、マユは体が弱いんだ。
だからもしもの時は、お姉ちゃんのお前が助けてやってくれ。
……そう、こうなった今、両親や妹がどうなっているかわかりません。
マユの安否もわからないうちに、蹲まっていくわけにはいかない!!
そう言って奮い立ったものの……家は大きく揺れ……リンは真っ逆さまに家ごと下に落ちていってしまうのでした。

幼い日のこと。
マユは、リンに不満を漏らしていました。
どうして自分はみんなと遊んじゃいけないのか?と。
リンは答えます。
マユは手をふれずにスプーンを曲げるのが得意だよね?
でも、たまに誤って違うものを曲げてしまうでしょ?
それをちゃんと使えるようになるまでは遊んじゃダメなんだって。

リンは、切り立った断崖に張り付けられるように作られた家のベッドで寝かされていました。
そして、その傍らには筋骨隆々の大男が立っています。
大男は、じっくりとリンを値踏みするかのように長め、手にしていた本の文章を確認します。
「スカート」、腰から下を覆う衣服、主に「女性」が着用する……これか?
そんなことを呟きながら、大男がその「スカート」をめくり上げると……リンが目を覚ましました。
そしてリンは目が覚めるなり、大男の顔面に飛び蹴り!!
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寝起きの女性のスカートをめくるという所業を行う男に反射的にはなってしまった一撃、さすがに効いた様子。
ですが、大男はリンが「女性」だと知ると、コロッと明るい顔になりました。
やっぱりお前「女」か、初めて見た!なあ、「おっぱい」見せてくれよ、あるんだろ!?

そんな無礼な大男は、クロガネと名乗ります。
彼はこの「崖」で暮らしているようなのですが……自己紹介を終えると、あっさりとリンを崖の下に捨てようとするではありませんか!!
急に蹴ってきたから「敵」なんだろ?
「女」なんて珍しいから拾ってみたけど、もう用事ないし、さよなら。
……あまりにも妙なことを言うクロガネ。
ですがせっかく彼に拾われた命、ここで手放すわけにはいきません!!
しょうがなく「おっぱい」を見せてあげることで捨てないでもらうことになったのですが、その瞬間です。
黒鉄の立っていた場所に、巨大な石柱のようなものが付き立ったのは!!
驚くリンですが、黒鉄にとってはこれが日常のようで。
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「敵」だよ、近づく「敵」は、「殺す」。
そう言って……奇妙な鎧に身を包んでやってきた「敵」に飛び掛かっていったのでした!!
何がなんだか理解できないリン。
ですが……この「崖」は、そんな彼女の理解を待ってはくれないのです!!


というわけで、突然「崖」に突き落とされてしまったリンの物語を描く本作。
この後、リンはこの謎の男クロガネとともに、不可思議な地価の世界を冒険していくことになります。
リンの第一の目的は、マユを探しだし、たすけだすこと。
ですが、そもそも生きているかどうかも分からない一人の少女を、予想を超える広大さを持ち、文明も持っている地下世界で見つけ出すというのは簡単ではないでしょう。
さらにクロガネも、そもそも一体何なのかわからない存在。
彼を頼る以外にはないリンではありますが……

そしてこの後、リンには様々な運命が立ちはだかることになります。
消息のしれない両親はどうなっているのか。
襲い来る「敵」とはなんなのか。
敵か味方かわからない、地下の集落に暮らす民族とは。
倫自身に隠された、ある秘密とは……?
矢継ぎ早に巻き起こる数々の出来事。
苛烈な運命は、リンに、クロガネにどんな道を歩ませるのでしょうか?
激動のストーリーが完結する第2巻は16年1月19日発売予定となっていまして、一気に読み進めるのもよろしいかもしれませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!