さて、プロゲーマー・ウメハラさんの足跡をたどっていく本作。
セイヴァー編、ZERO3編を経て、今巻ではとうとうスト2編に突入！！
格闘ゲームの元祖ともいえるスト2で、ウメハラ三はどのような戦いを繰り広げていくのでしょうか！？


対戦で盛り上がる、秋葉原のゲームセンター。
そこに、学生服に身を包んだ中学生がゆっくりと入っていきます。
迷いなく向かった対戦台にコインを入れ、どっしりと腰掛ける少年。
足を組み、少し体をひねって組んだ足を筐体の横に出す形で座っている彼こそが……中学生だったころの梅原なのです！！

対戦された相手は、ちょうどこの時点で9連勝していたところ。
10人目はもうちょっとあとに来てもよかったのに、と漏らす彼はヤギヌマというこの店の常連です。
そんな彼が使っていたのはブランカ。
スパ2Xでは今一つパッとしないキャラであるブランカに対し、梅原が選択したキャラクターは……バイソンです。
それを見て苦々しげな顔をするヤギヌマ……
ヤギヌマの舌打ちなどお構いなく、開始する試合。
第1ラウンドも、第2ラウンドも、梅原バイソンの圧勝！
ちなみに第2ラウンドはパーフェクトというおまけ付きでした。
ノリノリだったヤギヌマがあっさりと負け、驚く取り巻き立ち。
ですが当のヤギヌマはショックというより、つまらなそうな顔をして大きな大きなため息をつくばかり。
バイソンでブランカにかぶせるとか、もとからムリゲーなんだ、と漏らすヤギヌマ。
確かに、スパ2Xではブランカにとってバイソンは天敵と言ってもいい厄介な相手。
にしても、ここまで一方的にぼこぼこにされるのはさすがにただ事ではありません。
名のあるプレイヤーかも、と考え、顔を見に行くヤギヌマですが、そこにいたのは細身のちょっと変な座り方をしている中学生。
だれだよこいつ、ガキじゃねえか！
そんな名もなき中学生に負けたことをしり、怒りがさらにこみ上げてきたのでしょう。
一旦は帰ろうと思っていたヤギヌマですが、思い直して乱入することにしたのです。
取り巻きの一人は、そろそろアイツら」が来る時間だから……と帰宅を促したのですが、ヤギヌマはもう止まりません。
よく分からないガキに大きな顔させられるかよ、ココの門番としてテストしてやる！と息巻くのです。
ですが不安なのは、あれだけぼろ負けした相手に勝てる見込みがあるのか、ということ。
しかし、ヤギヌマは自信満々。
勝てない相手には戦いを挑まない、といった挙句、こんな謎の持論まで繰り出すのです。
ここは野生の王国、危険なサバンナなんだよ。
俺たちはそこに住み付いた野生動物、弱者は食われるのが自然の摂理。
その弱者に教えてやらないとな、野生の掟を！

ヤギヌマが悪い顔でそんなことを言っているその時、梅原はちょうど別に乱入してきた春麗を片付けたところ。
それを見たヤギヌマは、バイソンが不利な春麗に勝てるということは、それなりにできるということか、と冷静に分析。
そして、にやりと笑って、ザンギ行くか、とつぶやくのです！
ザンギエフは、バイソンに対して有利と言われているキャラです。
ですがそれだけでなく、ヤギヌマはザンギエフによるバイソン対策をかなり仕上げているとか！！
相手のキャラを見て、それに有利なキャラクターを選択する「被せ」。
ブランカにバイソンを被せてきたってことは、逆に被せ返されてもいいってことだよな！？
お子様に1回100円はつらかろう、だがこれも野生の宿命！
秋葉の洗礼受けてみよ！！
そう言ってヤギヌマは、梅原に乱入するのです！！
が、その直前にヤギヌマの取り巻きがその乱入を止めようとしていました。
実はその声をかける少し前に、彼があることに気が付いていたのです。

数か月前、彼が真サムスピの対戦に負け、右京を相手にするならどのキャラだろうなどと考えていたときのことでした。
そのゲームセンターの一角に、とんでもない人だかりができていることに気づいたのは。
興味本位で近づいてそこに言ってみると、そこではヴァンパイアハンターの対戦が行われています。
その連勝数を見てみると……なんと、連勝数を現す表示が「WIN255」と表示されているではありませんか！！！
その連勝を重ねているパイロン、256戦目も勝利を収めたのですが……
カウントはまだ1勝もしていない時の「CHALLENGER」に戻ったのでした！！
普通ならばあり得るはずがないほどの256連勝を、涼しげな顔でしているその人物……
そう、それが梅原だったのです！！


というわけで、ヴァンパイアハンターで行くところまで行った梅原が挑戦するスパ2X。
この後、梅原はこのゲームセンターの猛者たちと出会い、そしてその実力をさらに磨いていくことになります。
スパ2Xというゲームは、じっくりと間合いを見切る地上戦と、飛び込みと対空という格闘ゲームの基本中の基本に加え、投げ抜けとそれに関する攻防、ゲージの管理と言う現在の格闘ゲームに欠かせない要素も確立した作品です。
ここで様々な訓練を積み、現在のウメハラさんの実力が出来上がったと言っても過言ではないわけです！
そんなウメハラさんのもともとあった実力に、さらに確固たる肉付けがされていく様子が楽しめる本作。
前巻までにもあった、梅原を取り巻く周囲の人物のドラマや、様々な個性的な格闘ゲームプレイヤーの活躍はもちろんのこと、ウメハラさんのお姉さんの異常なハイスペックぶりや、ゲーム以外の部分の梅原のポテンシャルも描かれるなどなど、見どころは満点！！
さらに今後のライバルとなるであろうキャラクター、クラハシさん……もといナラケンも登場し、今後の展開も気になっちゃいますよ！！！


今回はこんなところで！
さぁ、本屋さんに急ぎましょう！！