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今回紹介いたしますのはこちら。

「辺獄のシュヴェスタ」第2巻 竹良実先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

さて、自らの育ての親に「魔女」の疑いをかけられ、目の前で無残に殺されてしまったエラ。
彼女は「魔女の子」を集めた修道院に入れられ、そこでひそかに薬物などを使った洗脳を受ける生活を強いられてしまいます。
が、エラはその中で野獣のような鋭い瞳を光らせ続けていました。
すべては、母を殺めた修道会総長・エーデルガルトを殺すため……!!


カーヤとヒルデを仲間に加え、この地獄から脱出しようとしていたエラ。
エラはエーデルガルトを殺すため、二人はいきのびるためになんとかこの地獄からの脱出経路を探そうとしていました。
ですがそのためには、薬の入った食事を食べないようにして、己を保持し続けなければなりません。
準備にどれだけかかるか分からない今、修道院で出される食事以外でなんとか栄養を補給しなければならないでしょう。
それも内密に。
しかし食べ物が手に入る見込みがある「外」に行くためには、とにかくこの建物の外に出なければなりません。
カーヤとエラは、わずかな望みを託し、ひそかに下水道に入ってみたのでした。

カーヤとエラは、明確な戦う意思を持っています。
ヒルデはどうでしょうか。
この下水道の調査にも、起きられずに同行できなかったほどの……良く言えばおっとりした少女です。
本来ならば、ヒルデを巻きこむべきではなかったのかもしれません。
ですが彼女はもうエラたちが薬を抜くために食事を吐いていることを知ってしまっています。
放っておけば、二人の目的の急所になるかもしれないわけで……
そんな会話をしていますと、行く手に出口が見えました。
外に出られる……と一瞬喜んだ二人ですが、その出口には頑丈な格子がはめられています。
どうすべきか、と思ったその瞬間のことです。
足音が近づいてきたのは!!
見張りか!と息をひそめる二人ですが……その足音の主は、自分のすぐ足元にいた二人に気が付かずに格子のはまった扉の前を歩き去っていきました。
それを見た二人は、安堵よりも先に驚きを感じていました。
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その通り過ぎた人物が履いていたサンダルは、自分たちと同じ修道院の一位生が履いているもの。
ということは、宿舎から抜け出したということ!
この宿舎から抜け出す方法が何かあるということなわけです!!

翌日。
テアという少女は、仕事中にあることを考えていました。
院に来た日の夜のことを。
来て早々、鞭で打たれてひどいみみずばれができ、ここまでひどいところだったら場所に乗せられる前に逃げておくべきだった、自分に腹を立てていた彼女。
怒りのままに壁を殴りつけると、五トンという音がしました。
衝撃で足元の壁の一部が外れたのです。
そこにはヘルガと言う名前が掘られていて……どうやらそのヘルガという以前の住人が、ここに抜け道を作ったことがわかりました。
これがあれば、脱走できる!
てアは、次の新月を待って脱走しよう、と考えていたのですが……そこにエラがやってきました。
仕事の手伝いを頼むふりをして、人目の付かないところにテアを連れていったエラ。
彼女の足にあった特徴で、テアがあの外を歩いていた人物だということを突き止め、その抜け道を教えてもらおうとしたのです!
が、自分以外にも抜け道を使うものがいれば見つかるリスクも増え、自分の脱出の妨げになるかと考えるのは当然。
テアはとぼけようとしたのですが……そこでエラは深く追求しない代わり、あの薬入りの食事についての話題を出すことにしました。
脱走するつもりなら、あの食事をとってちゃマズイ、天国から抜け出すのは、地獄から逃げ出すより苦しい、と……

後日、テアは恐ろしい現実を目の当たりにすることとなります。
とうとう出た、修道院からの脱走者。
ですが、修道女たちはその脱走者を探そうとはしませんでした。
周囲が高い壁に囲まれているこの修道院、敷地は相当な広さを持っています。
その中をくまなく探す大変さを考えれば、逃げられっこないのだからと放置しているのでしょうか……?
いや、そうではありませんでした。
修道女たちは、エラたちを「懺悔の壁」なる所に連れていきました。
広大な広さがあるにもかかわらず、逃げ出そうとしたものはみな、この十字架の刻まれた壁に引き寄せられてこと切れる。
そんな言葉の通り……
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逃げ出した少女は、懺悔の壁の下に倒れてこと切れていたのです。
そこには、ここで死んでいったものの名前が刻まれていました。
そしてその中には、あのヘルガの名前もあって……!!
恐怖に恐れおののく一同。
テアもまた、あの抜け道を知っているものでもここで無残に死んでいったのだ、と怯え、ぎゅっと目を閉じて祈ることしかできませんでした……
他のものもみな同じように目を閉じています。
祈るものは目を閉じる。
しかし、その時……
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考えるものは、目を開いている。
エラは一人その壁を見つめ……そして、真実にたどり着くのです!


というわけで、エラの戦いが描かれていく本作。
孤独な戦いをしいられると思われたエラですが、頼れる仲間であるカーヤと、心優しい少女のヒルデを仲間にすることができました。
エラの目的は、3年間生き延びて、そこでエーデルガルトを殺すことです。
3年間心も体も殺されず生き続けるには、食事をとるために外に出ることが必要……
そのためには、テアの抜け道の情報は必須でしょう。
何としてもその情報を得たいところですが……!?

そんな抜け道を見つけ出したとしても、まだまだえらたちの長い戦いは続くことになります。
恐ろしい修道院の実態、周りにいる者たちもふとしたきっかけで敵になるかもしれない恐怖。
その上、修道院に思いもよらない来客がやってくることになるのです。
予想外のその来客の行動に、エラは様々な思いを書きたてられることとなって……
果たしてエラの復讐はどうなっていくのでしょうか?
同志たちの運命は?
憎むべきエーデルガルトの動きは……!?
ショッキングな出来事が連続し、それでも瞳の炎を途絶えさせないエラ……
これから先も、ますます目の離せない展開が続いていくことになりそうです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!