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今回紹介いたしますのはこちら。

「屍囚獄」第2巻 室井まさね先生 

竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。

さて、山間の村にフィールドワークにやってきた女子大生たち。
ですがその村では、ここ数十年女性が生まれてこないという奇妙な現象の他にも、宇受女や猿田彦という神話めいたワードや、そこかしこに不穏な気配を感じる異様な空気が漂っていて。
ついには謎の男によって殺人が行われ、女子大生の一人も錯乱のあまり友達を殺めてしまうという事件案で起きてしまいました。
さらに、この村で見かけた唯一の女性である、村長の猿田彦の妻、未智乃は「この村の者は誰も信じるな、逃げろ」と言ってきて……!?


自分の目の前で、天狗の面を付けた男が、村の男の頭を斧でたたき割って殺害した。
そんな衝撃的な場面を見た比奈は、おびえてその場から逃げ出してしまいました。
ですがその時比奈は、その天狗の面の男の目の前にいた友人の沙霧を置いて逃げてしまっていたのです。
しかも比奈、沙霧を突きとばして逃げ出してしまっていて……
自分が助かるためには仕方ないとばかりにそんなとんでもないことをしてしまった比奈ですが……なんと殺されたに違いないと思われていた沙霧は生きていました。
しかも彼女、比奈のことは自分を突き飛ばしてにげたと敵意をむき出しにしたにもかかわらず、自分の目の前で起こった惨劇については全く触れなかったのです!
一体彼女は何を考えているのか?
友人たちを前にしても、その事件のことを一切触れない沙霧に、とうとう比奈は我慢ができなくなります。
食事の場に押しかけ、沙霧に向かっていい加減皆に本当のことを言って呉れ、人が殺されてるのに何で知らん顔をしているのか!?と叫んだのです。
が、沙霧は冷たい瞳を向けて、食事中にそんなは話して、頭おかしいんじゃないのかと取り合わないのです。
そんなことなんてなかったと言わんばかりのそのスタンス……ですが久も引きさがれるはずもありません。
あんただって見たでしょう、あの田岸って親父が天狗の面を付けた大男に頭を割られたのを!!
そう言って食い下がるのですが、それを聞いた猿田彦はピクリと反応してお子槍を入れてくるのです。
その天狗の面は、この家に飾ってあるものと同じだというが、あの面はこの家に代々伝わっているもので、あれと同じ者はよそにはない、あの面はずっとここにあった、と。
そのせいで、すっかり空気はあの迫力あるお面のせいで悪夢を見たんだろう、という空気になってしまい……
比奈はだったら証拠を見せてやる、あの家に今から行こう、と泣きながら声を張り上げます。
が、その瞬間比奈は硬直してしまうのです。
向かい側の扉から姿を見せる、大男……伊助。
それを見た瞬間、比奈はその場から一目散に逃げだしてしまうのです!!
天狗の面を付けた大男。
あんなに大きな男、他にはいない……天狗の面の男は、あいつだ!!
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比奈はそう確信し、一刻も早く逃げようと決意するのです!

そんな比奈のことを心配した美琴。
比奈を探して歩くのですが、どこを探しても見つかりません。
ですが比奈の代わりに、奇妙なモノをいくつか見つけてしまうのです。
飾ってあったはずの、あの天狗の面がいつの間にか消えていること。
そしてどこからか姿を現した猫によって物置から飛び出してきたアルバム。
そのアルバムには、村長の息子である貴彦の幼いころの写真が貼ってありました。
そのあとにもいろいろな節目に撮影されたであろう写真が貼りつけられていたのですが……その写真には、貴彦の母親がどこにも映っていないのです。
それどころか、女性の姿がまったくないではないですか!
しかもこのアルバムは村の歴史を収めたものらしく、さかのぼっていくとどんどんと古いものが出てくるのですが……100年以上さかのぼっても女性の姿は出てこないのです!!
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そう言えばこの村でも、女の人の姿は一向に見えません。
50年女性が生まれないというこの村……いったいなんなのでしょう……

一方、比奈は上がるなと言われていた2階にこもっていました。
携帯がつながらない、と涙を流しながら縮こまっていた彼女のもとにやってきたのは、意外にも沙霧です。
比奈は、沙霧にあの伊助が天狗男だ、逃げないと殺される、と血相を変えて迫るのですが……
沙霧は言います。
あの天狗面の男は、田岸から自分を守ってくれたんだ。
むしろ危ないのは、村長を含めたこの村の男達。
逃げるためには、なんにせよ味方とみられる天狗男に協力してもらうしかない。
そんな会話をしていると……階段を上ってくる人物が現れます。
その人物は……天狗の面をかぶっていました。
おびえる比奈ですが、沙霧はそんな比奈を諭します。
あの時彼がいなかったらあんた……
ですがその言葉は最後まで言い終えることはありませんでした。
天狗面の男は
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思い切り沙霧の頭に斧の背をたたきつけ……
沙霧は崩れ落ち、二度とその体を動かすことができなくなってしまうのですから……


というわけで、更なる惨劇が巻き起こる本作。
続々と犠牲者が出ていく中、今までなんとなくでしかわかっていなかったこの村の風習もヴェールを脱ぎ始めます。
その風習は、予想を上回る陰惨で悍ましいもの。
そして、ここにやってきた女子大生たちもその恐ろしい風習の餌食にされようとしているわけです!!
が、その絶望の世界の中でも、わずかながら希望は見えています。
どうやら村のものに敵対しているらしい男や、この村の異常さを知る人物も登場。
彼らの本当の目的と、そして彼らが女子大生に協力する意思があることがわかれば、彼女たちの希望にもなるのでしょうが……
果たして女子大生たちは何人生き残れるのか?
この村の闇を暴くことができるのか!?
この後の展開も気になりますね!!