dm0
今回紹介いたしますのはこちら。

「だいたいめる子」 縁山先生 

ワニマガジンさんのワニマガジンコミックススペシャルより刊行です。

縁山先生は、00年代末頃から商業誌で活躍されている漫画家さんです。
それ以前から同人活動で活躍されておりまして、商業誌でも同人でも成人向けの作品を執筆されております。
本作もそんな、成人向けの漫画雑誌で連載されている作品なのですが……成人向け指定を受けていない、全年齢向けの作品となっています。
果たしてその内容とは!?


小柄ながら大人の女性であるめる子さん。
クリスマスイブであるその日、メルコさんは大なべを前に何やらクッキングしておりました。
そんな部屋に響き渡る、チャイムの音。
クリスマスと言えば、良い子にサンタクロースがプレゼントを配る日でございますが、子供でも良い子でもないめる子に届くのは……頼んで忘れていたネット通販サイトの商品くらいでした。
頼んだのが昔すぎて、なぜこんなものを頼んだの顔も出せない……
そんな商品に眉をひそめ、とりあえずそこら辺に放り投げてクッキングを続けるめる子……なのですが、再びチャイムが鳴り響きます。
しかも今回は無視を決め込もうかともしためる子ですが……
今度訪ねてきていたのは、める子の友人の一人、ゆきえでした。
いやぁ、イブだから留守かなと思ったけど、さっき宅配受け取るの見ているんだなと思って、私はイブだから暇じゃないけど、める子はヒマそうだからちょっと覗いてあげようかなーって。
そんなことを言いながらずかずかと家に入ってくるゆきえ。
するとゆきえは、める子が何やら料理をしていることに気が付きます。
チキン・・・…の匂いかと思って中を覗くと、鳥ガラが煮られています。
それに加えて、玉ねぎ、にんじん、にんにく、豚のブロック肉……
ゆきえは驚愕します。
dm1
コイツ、イブの夜に家でラーメンのスープ作ってやがる!
全く恥じることなく堂々と……
ネットを一切遮断し、忙しいクリスマスを装っている自分が小さく見えるぜ!!
驚愕のゆきえをしり目に、作業を続けるめる子。
12時間たったし、そろそろ魚介系入れるかな。
そう言って煮干しを加えはじめるのです。
……ということは、朝から一日中やってるということ……
学生時代からめる子と付き合いがあるゆきえ……彼女がマイペースであることはわかっていましたが、まさかここまで確固たる自分を持っていたとはとさらに驚愕の追撃を受けるのでした。
そんなゆきえに、なぜかめる子は冷たい視線を送ってきます。
今のが口に出ていたのかと慌てるゆきえですが、そうではない様子。
める子はチラチラと目配せしながら、なかばつぶやくようにこういうのです。
このナベさ、おおきくないから3リットルくらいしかスープとれないんだよね、せいぜいラーメン10杯くらいしか。
うーん、これだけ時間かけてたった10杯……
その態度で、ゆきえはいやでも気づかされます。
dm2
コイツ、私に食わせる気ねぇ!!暗に帰れて言ってやがる!!!
最初こそイブにリア充を装う工作に必死だったゆきえですが、こうまでされては逆に何が何でも食ってやりたくなるというもの!
しょうがないな、手伝ってあげる、片付けるまでが料理だって言うし……と持ち掛けるのですが、とうとうめる子は「お前に食わせるラーメンはねぇ、帰れ」とものすごくはっきりと言ってくれやがりました!!
そうやって二人がもちゃもちゃとやっていますと、またチャイムが鳴らされます。
イブの夜にめる子んちに来るのは誰かな?とゆきえが勝手に応対いたしますと……そこにいたのは、二人のお友達であるあてなでした。
イブの夜だというのに、二人(実質一人ですが)でラーメンのスープを作っていたことを知ったあてな……勝手にいろいろ妄想し、お邪魔でしたね、と掲載誌にふさわしいねつ造回想を置いて帰ろうとするのです!!
ここまでくれば巻きこむしかないと考えたゆきえは、お前もラーメンくってけとあてなを取り押さえます。
え、食わせないよと当然のように言うめる子。
あてなはあてなで、何でイブの夜に友達の家でラーメン食べて過ごさないとならないんだ、と両手に同人誌を抱えた状態で言うのです!
むなしい争いが巻き起こる所ですが……そこでゆきえが落ち着きを取り戻し、あてなを開放します。
よそう、何故うぶの夜にラーメンをめぐって独身女性がくんずほぐれつしなきゃいかんのだ……
これも全部める子、お前がラーメンを……と思いの丈をぶちまけようとしたその時のことです。
す、とついさきほどの発言を翻し、める子が二人にラーメンを差し出したのは!!
イブの夜集まってくれた友達、それが一番の贈り物。
人との和こそがクリスマスの本質だって今気づいたから。
そんな星人のような言葉を言いながら、笑顔を浮かべるめる子さん。
なぜそんな心変わりをしたのかは「その時は」わかりませんでしたが……和やかムードでラーメンを食べた後、わかったのです。
……その、これ、クソまず……クソすごいな。
思わず漏れ出るゆきえの感想。
あてなも、ちゃんと血抜きしました?とめる子に尋ねます。
そしてめる子は……笑顔でこういうのです。
友情は喜びを二倍にし、悲しみを半分にする。
dm3
……残飯を処理するスピードは3倍になる……
イブ一日を費やして作った者を自ら残飯呼ばわりか……悲惨だ。
そう言って苦笑いするゆきえ。
そしてあてなは、心中お察ししますわ、と泣いているふりをしながら自分の分をゆきえのどんぶりに移すのでしたとさ……


というわけで、める子とゆきえとあてなの三人の日常を描いていく本作。
この後も、マイペースで結構な自分勝手であるめる子、める子とは違うタイプのマイペースで空気の読めないヘキのあるあてな、そんな二人にツッコミを入れるポジションでありながら、要所要所では爆発力(?)を見せるゆきえのそれぞれの魅力が発揮されていきます!
基本的には、三人のどうでもいい日常のどうでもいいやり取りを描いていくわけですが、たまにファンタジー要素が挿入されてみたり、豊富な小ネタが用意されていたりと、日常ものである主題的な面白さ以外にも注目したいところ!
ハラペコキャラでもあるめる子さんとゆかいな仲間たちそれぞれのキャラクター性や、時折顔を見せるエロスな要素……
さらに描きおろし短編も収録し、ゲストになんとなく縁山先生と同好の士な予感のするA-10先生のゲストコミックも収録するなど130Pとやや薄めの誌面に、これでもかとみっちりと詰め込まれた一冊になっているのです!!

現在も連載中の本作ですが、巻数表記はない本作。
続巻のためにも、興味のおありの方はお手に取ってみてはいかがでしょうか!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!