ku0
今回紹介いたしますのはこちら。

「黒」第2巻 ソウマトウ先生 

集英社さんのヤングジャンプ・コミックスより刊行です。

さて、大きなお屋敷で暮らす少女、ココと、その飼い猫であるクロの日常を描いていく本作。
その日常は穏やか……ではあるものの、それはあくまでここから見た主観の話。
この世界には隙あらば生き物に牙をむく化物が潜んでいて、人々はおびえながら暮らしているのです。
そして、飼い猫であるはずのクロも、どうやら普通の猫ではないようで……


ココの家に、お友達のマリアがやってきました。
突然のお友達の来訪に喜ぶココですが……マリアは遊びに来たわけではありません。
怪訝に眉を顰め、尋ねてきます。
クロのこと、本当はわかってるんじゃないの?
その言葉を聞いたココは……わずかに固まった後、戸惑いと怯えの混ざった声をもらし、後ずさりをしました。
クロは自分をその胸に抱いたココが抱いた怯えを感じ取り……口の中から触手をのぞかせ、マリアに対して威嚇の声を上げ始めるのです!
やめて!マリアちゃんはお友達だよ!
ダメだよクロ、やっちゃだめ!
ココはギュッとクロを抱きしめて、そう懇願すると……クロはその職種を引っ込めてはくれたのですが……
ココはそこから逃げるように駆けだし、家の中に入ろうとするのです。
その反応を見て、マリアは慌てて声をかけました。
やっぱりわかってたの?そいつが、化物だって!
逃げ出そうとしていたココですが、その言葉には大きな声で反論するのです。
ku1
化物じゃない、クロはクロだよ!私の家族だもん!!
たまらず寝室に駆け込み、ベッドにうつぶせになって涙を流すココ……
クロはそんな彼女に光り輝く2本の触手を伸ばしました。
この触手には、「治す」力が備わっています。
それは生き物を治療するだけにとどまらず、壊れてしまった物体を壊れる前の状態に修復することまでできる、常識を大きく超越したもので。
そんな触手を見て、ココはクロにこういいました。
ありがとう、大丈夫、病気じゃないよ。
……ココは、普通ではできるはずもないその力をクロが持っていることを知っていて、受け入れている。
大好きだよ、とクロを抱き寄せるココ……
彼女はやはり、クロが猫ではない何か、だということを、知っているのです……

マリアは、ココの友人であるミルクに最近おかしなことはないかと尋ねていました。
ですがミルクは、マリアの質問を聞いていたにもかかわらず、何も答えないままその場を立ち去ってしまうのです。
ミルクの中に渦巻いていたのは、ココの本当の友達は自分だけだ、という身勝手な感情……
ミルクはマリアの思いを無視し、ココの家を訪ねました。
ココは歓迎してくれ、二人で仲良く庭で遊びます。
今日は、二人のお洋服を交換してきてみようという遊びに興じることに。
二人は体格も近いため、サイズはぴったり。
私がミルクちゃんでミルクちゃんがココだよ!はしゃぐココ、私が町に帰らないといけないかな?と冗談も飛ばします。
ミルクはそれを聞いて、街になんていかないほうがいいよ、ここで二人きりのほうが楽しい、とココの手を握りるのですが、ココはこう返します。
二人と一匹だよ、と。
すぐには答えられないミルクですが、そうだね、と簡単な返事だけ返して、今度は髪を結ってあげる、と話を変えました。
ココちゃんの髪、すごくキレイ。
そう言いながら髪を梳っておりますと……その髪の中に真っ白な髪の束が混じっていることに気が付きます。
それが何なのか、ミルクにはわかりません。
ただ、それがよくないものであることはなんとなく察していて……
ちょうどその頃、二人とは別の場所にいたクロは、「食事」をしていました。
最近餌のキャットフードをあまり食べないことを心配していたココですが、外で食事をしていたのですから無理はありません。
ku2
口から触手を伸ばし、その触手が蝶に触れると……蝶は真っ白になり、力なく地面に落ちていき……!!

お昼ご飯を食べながら、ミルクは考えます。
私が親友なのに。
クロがココちゃんを依存させてる。
クロがココちゃんを不幸にしてる。
ココちゃんにとって本当に大切なのは私だってわかってもらいたい。
クロはココちゃんの前から……消えたほうがいい。
ミルクの心の中で何かが決まったようです。
ごちそうさま、と席を立ったミルクが向かったのは、塀の傍で寝そべって毛づくろいをしているクロのもとでした。
クロ、おやつ上げる、と左手で小袋を差し出すその後ろで……持ってきていたバッグから包丁を取り出し、黒めがけて振り下ろしたのです!!
……が、クロがやすやすとそんな一撃を浴びるはずもなく。
さっとその一撃を避けました。
包丁は地面にあたり、石畳で駆けた包丁の先端がミルクの眉のあたりをかすめます。
悲鳴を上げてしりもちをついたミルク……恐る恐るクロの様子をうかがうと……
ku3
クロは全身を激しくとがらせ、いくつもの目に敵意をむき出しにしてミルクをにらんでいて……!!


というわけで、徐々に物語が進んでいく本作。
現実を見ることのできなかったココですが、現実に向かい始める兆しを見せてきています。
ですが現実を把握したとして、それが即現実を受け入れることにつながるとは限りません。
クロが猫ではないとしても、ずっと自分に寄り添ってくれた大切な家族と言う思いは変わらないでしょう。
ですがそのクロにもある変化が現れ始め、今まで通りの生活が続けられなくなる日も目前にやってきていて。
ココとクロの暮らしはどうなってしまうのか?
ココの身を案じるマリアやミルクは?
そして怪しげな行動をとる石の本当の狙いは……?
勢力を拡大していく化物の動向も気がかりですし、先の展開が待ちきれませんね!!

さらに前半のフルカラーでつづられる本編の他、ココやマリアたちの過去を掘り下げたり、謎の多いこの世界の理に迫ったりするサブエピソードが4本と、おまけのお話1本が後半に収録されております。
本編では物語の流れ上なかなか描くことが難しいアレコレが描写されておりまして、この謎多き魅惑的な世界に一層没頭できる内容となっております!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!