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今回紹介いたしますのはこちら。

「おかえりなさい サナギさん」第1巻 施川ユウキ先生 
秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックス・タップより刊行です。

さて、様々な雑誌で短編漫画を発表しつつ、別冊チャンピオンで「少年Y」の原作を手掛けるなど活躍の場を広げている施川先生。
そんな先生の原点と言いますと、チャンピオンで連載されていた「がんばれ!酢めし疑獄」をはじめとした4コマ漫画でしょう。
さらに言えば、その後連載された初代「サナギさん」で施川先生の人気が不動のものとなったといってもいいはず!
本作はそんな史川先生の原点、「サナギさん」の続編と言いますか……そのままの続巻といった感じの作品になっているのです!!


望月サナギは中学2年生。
今日も大親友、フユちゃんと一緒に学校からの帰り道を歩いていました。
家につくころにはすっかり忘れてしまうようなたわいのない話をしながら。
そんなとき、二人が通りがかった道端にある電柱の根元に、花束が供えてあることに気が付きます。
交通事故現場だ、痛々しいねと眉をひそめるサナギさん。
フユちゃんは、よくお菓子とかお供えしてあるけど野良犬に食べられたりしないのかな?と心配しています。
そう言われればちょっぴり心配。
そこでサナギさん、じゃあもし、自分が事故で死んじゃったら何をお供えしてほしい?とフユちゃんに質問をしてみました。
フユちゃんは返します。
野良犬に漁られたくないからとりあえず……
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「野良犬」。
もはやお供えじゃなくて見せしめ目的です!!
フユちゃんはもう少し考えて、あとは……なんでもいいや、ゴミでいいや、と投げやりな返答!
良くないし、見せしめにされた野良犬の立場は!?と突っ込まざるを得ないのです!

今度はサナギさんの番です。
何を備えてほしい?
野良犬プラス、何?
なぜか野良犬はデフォルトにされてしまったサナギさん……考え込むものの、なかなかお供えしてほしいものなんて思い浮かびません。
しびれを切らしたフユちゃん、ハイ時間切れ!と、
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お供えの想像図に野良犬をもう一匹追加しちゃいました!!
……なんといいますか、事故で死んでしまうなんて想像したくないわけで。
お供え物とかよりも、フユちゃんが来てくれればそれでいいかな、とサナギさんは笑うのです。
なんだかいい感じにこの話題は〆められた……かに思えたのですが、フユちゃんは
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想像図に自分をプラス!!
なぜか自分が供え物になる想像をするのでした!!

事故多発注意、という看板に立看板を宝くじ売り場で見たと言い出すフユちゃん。
「高額当選者多数!」みたいなそれにならい、「なんと!死亡者15人出ました!」戸かにすれば街が暗くならないよね、などと口走ります。
そんな街やだよ、と冷静につっこみつつ、公園に差し掛かった二人、
そこにはタイヤが半分埋まった感じの遊具や、ブランコのようにぶら下げられた遊具、コンクリートの山状の物にひもでたくさん縛り付けられた遊具などがありました。
埋められたりつるされたりはりつけにされたり、タイヤが処刑されてるみたいに見える……とそんな光景を見てつぶやくサナギさん。
タイヤが落ちる地獄だ、という感想を漏らしたフユちゃんと一緒に、タイヤに乗って遊び、そして鬼ごっこをして遊び……
二人は家に帰るのでした。


というわけで、サナギさんとフユちゃんの掛け合いをひたすら描いていく本作。
今巻でも、施川先生お得意の言葉遊びがどんどん繰り広げられていきます。
もはや職人芸ともいえる二人のやり取りは、にやりとするモノ、クスリとくるもの、思わず吹き出してしまうものなど様々用意されております!
ですから5年ぶりの再連載となった「サナギさん」、久しぶりでどうかな?という心配は一切無用!!
5年の間にも様々な作品を連載していまして、その作品内でもそんな言葉遊びを繰り広げていたわけですから、衰えているわけもなし!
以前と変わらぬキレのあるギャグ、そして以前と変わらないサナギさんとフユちゃんの友情が楽しめるのです!!
そしてたくましい想像力を生かして泣いたり怒ったり生き物を踏みつけたりするマナミさん、その類稀なるネガティブさで様々な出来事を後ろ向きにし上げるサダハルくんと、そんな彼と仲良しっぽいのにいつもイライラに耐えきれずハードなツッコミを入れてしまうタカシくんなどの前作でもおなじみのキャラも当たり前のように日常を送ってくれますよ!!
施川先生ならではのキレあるワードが飛び交う本作、ファンはもちろんのこと、前作を知らない方でも楽しめること間違いなしです!!

さらに惜しまれつつ休刊となった「もっと!」で発表された、珍しいホラー短編や、「オンノジ」の番外編、「もずく、ウォーキング!」のプレ読み切りなどの単行本未収録作品も収録!
施川先生のコラムなんかも掲載されておりまして、読みごたえばっちりの一冊に仕上がっております!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!