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本日紹介いたしますのはこちら、「県立地球防衛軍 完全復刻版」第3巻です。
作者は安永航一郎先生。
小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行されました。

さて、九州某県を混乱に落しいれ、本業である材木屋の売り上げアップを目論む悪の組織・電柱組と、その魔の手から某県を守る今津留高校野球部の面々・県立地球防衛軍の戦いを描いていく本作。
とはいっても血を血で洗うような激闘というわけではなく、一見するとじゃれあいにも見えるようないーかげんな小競り合いを繰り返すだけだったり。
果たして今巻ではどんなアレな事件が巻き起こるのでしょうか!?

野球部の部室でくつろいでいる盛田。
ですが森田はもうすでに引退した三年生。
現役の部員たちからは煙たがられている、というほどではないにしろ、歓迎ムードで無いことは確実です。
現役の部員は甲子園を目指して日夜頑張っているわけで、ぼーえい軍ごっこも邪魔になら無い程度にしてくれ、と盛田にチクッとやってくるのです。
よく言うよ、過去三年間で公式戦1勝の弱小野球部が、と応戦する盛田ではありますが、それはあくまでも盛田達の時代の戦績でして。
どうせもうすぐ卒業するんだから早く隠居なさいな、とあしらわれてしまうのです。
が、そこは口から先に生まれてきたような盛田。
そう言う生意気ばかり言ってると、不祥事を起こすぞ!と洒落にならない反撃をしてきまして。
口喧嘩では勝てないと悟った現役野球部員、話題をそらすことでなんを逃れます。
そういえばさっき、先輩を探してた人がいましたよ。
ショートカットの可愛い女の子。
それを聞いた盛田、その子がいたと言う校舎のほうへとダッシュするのでした!!
残された野球部員は、去っていく盛田の背中にこんな言葉を投げかけながら見送るのでした。
くれぐれも不祥事はおこさんでくださいよ!

盛田がその場所にたどり着くと、待っていたのは確かにショートカットの美少女でした。
ですがその美少女と、想像していたようなウフフな展開には決してなりません。
何故ならその少女は、
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盛田の妹の準だったのですから!
来月この高校を受験するそうで、下見に来たとのこと。
どうせヒマだろうから案内してくれ、と気安く言ってくる準。
妹が相手では不祥事も起こせませんし、遠くはなれた実家からせっかく来たのに冷たく袖にするわけにもいかず。
やむなく校内を案内することになったのでした。

そんな案内中、話の流れは恋愛関係になっています。
彼女なんていないだろうとたかをくくってバカにしてくる妹に対し、盛田はついガールフレンドの2人や3人はいると答えてしまいまして。
嘘じゃないなら見せてみろ、今度の日曜日ね!と準は勝手に話を進めて行き、なし崩し的に日曜日にガールフレンドにあわせると言う約束を取り付けられてしまうのでした!!

実は嘘でした!なんていってみようものなら、この後どんなにバカにされるかわかりません。
そこで盛田が助けを求めたのは……
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学校の後輩にして宿命のライバル、バラダギでした!!
電話口で開口一番、今度の日曜映画観にいかんか?と提案したのです!
こういうあれでだまされたりしたことが何度もあるバラダギ、当然警戒心バリバリなのですが……
有無を言わさずよろしくね!と言って電話を切ってしまう盛田。
断り切る間もなく切れた電話を前にして、バラダギはしばし呆然とするのですが……

結局、指定された場所にやってきたバラダギ。
そんな彼女をじっくりと嘗め回すように見回した準は……アニキの彼女としては上出来なんじゃない?といきなり値踏みしたのです。
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ビックリしたのはバラダギ。
わけもわからず呼び出されて、来てみれば彼女呼ばわり。
思わず突っ込もうとするバラダギですが、その突っ込みは盛田の妹の前だからって照れるな照れるな!と言う大きな声でさえぎられるのです!!
その行動で全てを察したバラダギ。
ことさら「盛田君の彼女」という部分を立てて会話を進め、盛田に向かってニヤリとして……
腕を組んで仲睦まじく歩くフリをしながら、後でしっかり礼はもらうからなと囁くのでした。

3人で映画を観て(盛田はおおいびきをかいていましたが!)、彼氏らしく盛田のおごりでランチを楽しみ、ゲームセンターでゲームに興じ、公園で出店のものを食べながら休んで。
そうこうしている間に、日はとっぷりと暮れてしまいました。
これだけエンジョイしたのですから充分でしょう。
兄の偉大さが分かったか?と謎の自身をみなぎらせて胸を張る盛田。
ですが準は、恋人同士というには妙にぎくしゃくしている!とズバリ指摘してきたではないですか!
さすがは俺の妹、と準の指摘にうろたえる盛田と、とてもコイツの妹とは思えんと感心するバラダギ……
いつもの口八丁で乗り切ろうと特を空けた盛田ですが、その瞬間
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バラダギが盛田にキスしたではありませんか!!
あまりのことに固まる盛田と準……!
どう?納得した?と振り返るバラダギですが、実は準、最初から二人の恋人関係が芝居であることが分かっていたというのです!!
兄貴は顔に似合わず奥手だから、こうでもしなきゃ好きな人に声もかけられないだろう、そしてバラダギもキライな相手だったら芝居にのったりしないだろう。
そう考えて、芝居を盛り上げる方に廻っていたのです!!
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……まさかキスまでするとは思っていませんでしたが!
それじゃ、野暮な私は返ります。
そう言って一人家路に着く準。
ませたガキだ、と見送る二人ですが……
盛田はこんなことを言うのです。
また映画でも観ようや、今度は二人で!
バラダギはこう答えます。
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キスの埋め合わせのつもりか?
割り勘なら付き合おう、タダよりこわいものはない!

というわけで、扉絵でこのくささはハンパじゃない!と安永先生がセルフツッコミを入れたほどのエピソードを収録した本作!
なんだかいい感じになった二人ですが、この後距離が急接近するかといいますと……この漫画ですから、ねぇ!
とにもかくにも、くさいと言うことは王道と言うこと、王道と言うことは安心して楽しめるということで。
本作、というか安永先生らしからぬいい感じのラブコメが楽しめるのです!!

で、そんな爽やかなお話のほかはもうどれをとってもアレなお話ばかりです。
盛田と武井、そしてあき子がひたすら自室で暑い暑いとだらけるだけの話から始まり、電柱組に大型助っ人外国人がやって来るお話や、地球防衛軍を外側からつぶそうと電柱組がゴイスな兵器を投入するお話、怪奇トロロ男が跋扈するお話などなど、実にいろいろな方面でヒドいお話がたんまり収録!!
何もかもがどうでも良くなってしまうような、脱力ギャグをおなか一杯楽しめますよ!!

さらに今巻でも、16Pにわたる描きおろしおまけ漫画が収録!!
今度のおまけは、女湯が舞台!?
お色気要素はもちろんのこと、やっぱり安心のヒドさが堪能できます!!

盛田とバラダギ急接近?「県立地球防衛軍 完全復刻版」第3巻は全国書店にて発売中です!!
押し寄せる変態、迎え撃つ変態。
ラブコメから変態まで各種取り揃え、いろいろ色あせながらも強く鈍い輝きを放っている本作、ファンのみならずとも必見ですよ!!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!